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魂の追憶【6】

 ……くそ。

 私はそんな面倒な事なんてしたくないと言うのに。


 しかしながら、凄味を効かせて来るルミの状態は、私にとって未曾有の脅威にすら匹敵する!

 なんだかんだ言って、コイツに口喧嘩の挑戦状を叩き付けても、一分もしない内にこちらがボコボコにされてしまう。


 ……そう!


 本気モードになったルミには、口では勝てないのだ!

 この状態でルミに勝てるのは、頑張ってルゥ姫ぐらい!

 屁理屈三段の三歳児・アリンちゃんですら敵わない!


 よって、ここは素直にルミの要求を飲んだ方が得策と言えるだろう。


 ま……実際問題、家に帰っても動画見るぐらいしかしてないしな。


 ………。


 い、いや! その他にもちゃんとやる事はやってるぞ!

 掃除とか洗濯もしてるぞ!

 夕飯の準備とかもしてるし、買い出しもしてるからな!


 ただ、最近はアリンちゃんが色々と出来る子に成長してくれたお陰で、動画を見る割合がほんのちょぉぉぉぉっと増えただけの話しだ!


 よって、学園を軽く案内する程度の時間は、とってやらんでもない!

 つまりはそう言う事なのだ!


「え? 別にリダは居なくても良くない?」


 フラウは口を尖らせて言う。

 きっと、フラウ的に私は邪魔で仕方ないのだろう。

 なんなら、ルミだって邪魔だと思っているに違いない。

 親友とか言ってるけど、友情なんて取らないに100マールぐらいは賭けられる!


 だけど、ルミはその真逆だった。


「何言ってるの! 私達三人は、このクラス随一の仲良しトリオじゃない! 切っても切れない強い絆で結ばれている仲でしょう?……ほら、思い出して? あの時に誓った約束を!」


 そんな約束はしてない。


 だけど、ルミが友情を大事にしている事だけは分かった。

 

 ……やれやれ。

 フラウとは違って、純粋に友達として私を頼って来ている事を知った私は思わず苦笑してしまう。


 困った時に助けるのが、本物の親友だ。

 ここは、私も一肌脱ぐのが筋か。


「仕方のない奴だ。大した事が出来る訳でもないが、可能な限り協力はしよう。これで良いか?」


「あはっ! やっぱりリダは私の親友だね!」

 

 ルミは満面の笑みで私へと頷いていた。


 そんなルミを尻目に『それは良くないと思います!』とかって、アホな事をほざくフラウがいたんだけど、そっちは聞こえない事にして置いた。


 こいつの都合に合わせていたら、話しなんかちっとも進まないからな?


 ……と、この様な会話を経た後、交換留学生とやらがやって来るのだろう三日後を向かえた。


 フラウ情報だと、爽やかなイケメンとの事だったのだが……実際の所はどうなのだろう?


 特段の興味があった訳じゃないのだが、朝のホームルームの時間となり、間も無くやって来るだろう交換留学生の顔を軽く拝んでやろうと、物見遊山的な感覚で席に座っていた頃、


 ガラッ!


 教室の扉が開いた。


 やって来たのは担任のリーナと、交換留学生なのだろう少年。


 ……うむ。


 なるほど、確かに顔は良いな?

 フラウ情報を疑っていた訳ではないし、むしろ美形に対しての情報収集能力は群を抜く特殊能力を発揮する為、かなり正確な情報を掴んでいる物と思っていたが、やはりフラウの情報は的確であったと言わざる得ないな。


 ただ、ちょっと……守護霊オラが、なぁ……?


 顔は確かにイケメンで、いかにも爽やかそうな雰囲気を無言で醸し出していた。


 ……その反面、彼の持つ守護霊の色は……醜悪だ。

 

 ここまで真っ黒な奴なんて居るのか?……ってまでにドス黒い。

 ズバリ言って、ここまで黒いのはかなり珍しいだろう。

 守護霊の持つ色は、白ければ白い程、性格が良く……逆に黒くなれば黒くなるだけ、ロクでもない性質を持っている事になる。


 つまるに、これは……ちょっと友達にはなりたくないレベルの黒さだ。


「知っている者は知っていると思うが、今日からオーサの学園から交換留学生としてやって来た、リンネル君だ。期間は二週間程度らしいが、それまで仲良くやる様に。特にリダさんはいじめない様に」


 どうして私だけ名指しっ⁉︎


 しれっと私の方を軽く見ながら答えるリーナ。

 どうして私がそんないじめっ子ポジションにいると思っているんだ?

 むしろ、変な嫌がらせを受けていた方だと言うのにっ!


 ハッキリ言って理不尽極まりない物言いではあったのだが、なんらかの嫌がらせをして来るなんて、リーナからすれば挨拶にも等しい。


 ……くそ。

 その内、仕返しをしてやるから覚悟して置くんだな!


「リンネル・ケル・ササキと申します。短い間ではありますが、よろしくお願いします」


 程なくしてリーナに紹介されていたリンネル君が、礼儀正しくお辞儀をしながら、自分の名前を名乗っていた。

 

 途中、私の方に目を向けていた様な気がしたのは、気のせいだろう。


 そして、


「えっ!……い、今……私の方を向いて微笑んでくれなかったっ⁉︎」


 頬をほんのり赤らめながらほざくフラウの言葉も、デッカい勘違いであったに違いない。

 

 ま……夢ぐらいは見させてやるべきか。

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