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魂の追憶【4】

「友達かどうかで行くのなら、可能性からして違うだろうな? 知人である可能性は否めないが、そこは顔を見ない事には始まらない」


 ジト目で見て来るフラウの問いに、私なりの考えをありのまま答えてみせる。


 実質、私は顔だけはちゃんと覚えられるのだ。

 もう、一度でも顔を覚えれば一生忘れない程度には記憶出来る。


 その反動なのか? 名前だけはどうしても覚えられないんだよなぁ……これはこれで、地味に困る。


 どちらにせよ、顔を見ればハッキリするだろう。

 私にとって知人であるのか否か……と言う問題に関しては、だが。


「ふぅ〜ん……ま、ただの友達なら問題ないから、私は全然構わないけど? でも、さ? こないだのフェル君の時だってあるじゃない? 私はまだ覚えているからね?」


 私はもう忘れておりました。


 地味に敵対心のある視線を向けて答えたフラウに、私はソッコーで目線をあさっての方向に向けた。


 フェル君とか言うのは……確か、チャンピオンの名前だった気がする。

 チャンピオンに関しては、七編目のオマケ短編を軽く参照してくれ。


 取り敢えず美形の人気者なのだが、どう言う訳か私に告白を迫った結果……今のフラウみたいな逆恨み女が私へと陰湿な悪戯をする行為が多発した。


 ただ、この悪戯行為も最近はパタッ! っとんでいる。


 ちょっと図に乗り過ぎだったな?

 頭にきたので、悪戯っぽい事をして来た逆恨み女供に、無条件で不幸が訪れる呪いを掛けておいた。


 厳密に言うと、そう言う呪いが掛かるトラップを敷いて置いた。


 簡素に述べるのなら、私へとなんらかの嫌がらせ行為をすると発動するトラップを設置し、悪戯をした瞬間に呪われると言う具合だ。


 効果は、私が破呪の魔法を発動させるか死ぬかのどちらかでしか解けない。

 つまり、今後一切私に迷惑を掛けませんと土下座させた者のみ、呪いが解かれると言う寸法だ。


 ちなみに、土下座で懲りない馬鹿女には、更に私の加護を強引に付与した。

 この加護は、ユニクスも受けている代物だな?


 私に絶対服従を誓うのであれば、私の力をほんの僅かではあるが貸し与える事が可能になる。

 よって、加護の一種でもあるのだが……同時に凶悪な呪いでもある。


 私に逆えば、髪の毛が真っ白になり……それでも更に逆らうと、髪の毛は朱に染まる。

 

 こうなると最悪だ。

 全身から血液が噴射され、事切れるその時まで全身から血飛沫ちしぶきが放出されると言う……なんともスプラッタな状態に陥ってしまう。


 流石の逆恨み女供も、自分の命を引き換えに、私へと悪さをする気にはなれず、私に対する嫌がらせはこれにて終焉を迎えるに至るのであった。


 余談だが、フラウは悪戯こそして来ない物の、


「フェル君はリダに譲って上げるから、リンネル君は私に譲りなさいよ! 知り合いとか友達なら秒で紹介しなさいよ! 私もリア充したいお年頃なの!」


 チャンピオンを出汁だしにしては、自分の都合に合わせた話しを私に振って来る。

 そもそも、リア充したい年齢適齢期ってあるのか?

 ……てか、私だってリア充には憧れているんだけど?


 いつもの事ながら、フラウの身勝手さには目が余るのだが……こんな自己中女でも、一応は親友だ。

 なんだかんだで、この学園へとやって来てから1、2を争うまでに付き合いのある友人でもある。


「私がソイツを知ってたらな」


「え? ほ、本当⁉︎」


 快く承諾した私の言葉に、フラウは超が付く程のハイテンションで声を返して来た。


 私は苦笑する。

 まだ、私の知人と決まった訳じゃないだろうに。


「ちゃんと紹介しなさいよ? 知人じゃなくても紹介してよ! 赤の他人でも、頑張って友達になってから、私に紹介しなさいよ!」


「なんでそこまで私がしないといけないんだよっ!」


 一見すると、冗談の様に聞こえるかも知れないが、私は知っている……フラウはマジだ。

 どうしてコイツは、ここまで男に飢える様な残念女へと転落してしまったと言うのか……?


「……んで? その交換留学生とやらは、いつ頃こっちに来る予定なんだ?」


「三日後だってさ?……実はもう、内々ではある程度決まってた見たいでさ? 手続きもあらましが終わっているみたい。だから、よっぽどの事情でもない限り、三日後に来るんじゃないのかな?」


 ……ふむ、なるほど。

 そうなると、この話は結構前から決まっていた事柄なんだな。


 それにしても、交換留学生……ねぇ。


 何処の国からやって来るのかは知らないが、同じトウキの学校であるのなら、別にこんな学園と交換留学する必要性なんてあるのだろうか?


 ここ、冒険者の養成学校だし。

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