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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第八編・編末オマケ短編
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上位魔導師のお仕事【25】

 率直に言って、こんな事をした所で、何がどうなる訳でもない。

 なんなら、むしろ自分達の立場を余計悪くしてしまうだけだ。

 

 もちろん、その事実は自演と言っても良いだろう盗んだ犯人……ミィクだって分かっていただろう。

 そして、盗んだ犯人を知った支部長も。


 犯人が誰なのかは、すぐに特定されていた。

 厳密に言うと、支部長は即座に気付いた模様だ。


 よって、支部長はミィクを説得しようとしていた。

 どうにかミィクを宥めて、事を穏便に済まそうとしていたのだ。


 ……と、言う所で私達とバッタリ出会う。


 当初のアレフ支部長は、今回の一件を軽く考えていた為、ルミ姫に危害が被らないと踏んで、私達へと仕事クエストの話しとして振った。


 所が、この『ルミ姫がいる』と言う部分が、ミィクの逆鱗に触れてしまったのだ。


 もっと厳密に言うのであれば『ニイガの』姫と言う所がダメだったのだ。


 結果、ミィクは屋敷タイプのダンジョンを自宅と偽り……私達を一泡吹かせてやろうと企んだのであった。


 ミィクが言うに、ルミ姫を殺すつもりはなく、単純に多少痛い目を見て貰い、それで気が済んだのだならトロフィーを返すつもりだったらしい。

 もしそうであったのなら、私も演技で怖がっても良かったかな?

 結局、ミィクの気が晴れれば、それで全てが丸く収まったのだから。


 しかしながら、問題はもう一つ生まれた。


 冒険者協会・会長の私がいた事だ。


 ………。


 ここに関しては、私も少し軽率だったと思う。

 つい、うっかり口を滑らせて、自分の素性を語った事で、ミィクの闘争本能に火を付けてしまった。


 最強の魔導師を自負していたミィクだけに、世界最強の冒険者と誉れ高い、私との戦いを選択してしまったのだ。


 自分より強い相手と戦ってみたい。

 ……その様な欲求がミィクに生まれてしまった模様だ。


 しかしながら、その結末は……さっきの通りだ。


 会長ラスボスを相手にするには、まだまだ役者不足と言う所だな?

 ハッキリ言うのなら、現状のフラウに毛が生えた程度の実力と言える。

 それでも、炎神アグニを完璧に召喚出来るだけの実力があるので、ランク的にはSS程度の実力があったのではなかろうか?


 あるいは、レジェンドの域にまで達していた可能性だってある。

 ここに関しては、結局……ミィクが完全に自分の実力を発揮する前に戦意喪失してしまった為、私にも良く分からない部分もあるんだがな?


 どちらにせよ、現状で最強の魔導師を自負しても、全く問題ないだろう実力の持ち主である事だけは間違いなかった。


 ただ、私とは比較対象ではない……それだけの話しだな!


 さて、自画自賛もそこそこに。


 その後、ミィクは素直にトロフィーを支部長へと引き渡し……今回の一件は幕を下ろした。


 今後は絶対に賄賂の誘惑には乗らないと言う制約を交わす事で、全ての事柄を不問にした。


 他方、賄賂話しを持ちかけた相手に関してなのだが……こちらもルミ経由で犯人が特定され、厳重注意と言う形になったのだと言う。

  

 罰則を設けなかったのは……まぁ、あれだ。

 賄賂を貰おうとした側にも、一定の罰を設けないと言う形を取ったので、ニイガ側も罰を与えないと言う形で話しが纏まったからだ。


 しかしながら、ニイガ代表がトウキ代表を騙したと言う結果だけは残った為、イメージ的に言うのならニイガ代表選手の心象を悪くした事だけは間違いないだろう。


 事が公になる事はなく、飽くまでも身内でとどまっていた為、そこまで大事にはならなかったし、八百長疑惑は噂話し程度に収まりそうだ。


 ……しかし、八百長ねぇ。

 実際に、そんな愚かな事をする人間がいるとは思わなかったぞ。


 今回はそこまで大々的な事件にこそならなかった物の……パパラッチ辺りにスッパ抜かれていたら大変な事になる所だった。


 今後は、その様な軽率極まる行為を悔い改め、正々堂々と戦って欲しい所だ。


 とにもかくにも。


 かくして、無事にトロフィーが戻って来た事で、今回は一件落着……と言う形で、全てが終わって行くのであった。




          ●●●●●




「……はぁ……支部長って、既婚者だったのか……」


 大きく肩を落として項垂れていたのは……まぁ、それが誰なのかを言うのも野暮と言う物だろう。

 フラウだ。


 ……って、普通に名前を言ってたな。


 まぁ、そこは愛嬌だ。

 フラウは茜色に染まる夕焼け空が、なんとも似合うだけの哀愁をナチュラルに醸し出していた。 

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