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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第八編・編末オマケ短編
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上位魔導師のお仕事【23】

『それに、契約であるのであれば、お前と我が交わした契約の方が『序列では上』だ。契約が重なった場合、より序列の高い相手との契約を優先するのは当然の事……と言う事で、我は失礼する』


「なるほど、じゃあ、上位の契約者として言おう。私とたたか……」


 シュゥゥゥゥンッッ……。


 私の言葉が言い終わるよりも早く、アグニは魔法陣の中へと入って行った。


 ……あんにゃろう……逃げやがったな。


「流石はリダだね! 炎神様ですら、リダとは戦いたくないんだもの」


 直後、未だ背中に張り付いているルミが、陽気な声音で私へと語った。

 

「う、うるさいなぁ……アグニは私と友達だったから、戦いたくなかったんだよ」


「そうかなぁ?……どちらかと言うと、リダの様な魔王すらも裸足で逃げ出すモンスターと戦うぐらいなら、契約とか無視して逃げた方がマシ……ああ、うんうん! そうだよねぇ〜? リダは色々な人と友達関係にあるし、リダも友達を大切にするからね? その気持ちが届いたんだよね!」


 ルミは朗らかな笑みで私へと答えた。

 ちゃんと分かっているではないか。

 

 ちょっと背中へと右手を向けてやったりもしたのだが、その行為は関係ない。

 しっかりとルミは私の気持ちを汲み取ってくれたのだ。

 やはり、親友は違うな!


 ……と、さて。


「……で? さっきのがワイルド・カードとかかしてたな?」


 炎神が(逃げる様に)去った後、私はゆっくりとミィナへと近付く。


「……あわわわぁ……っっ!」


 ミィナは、顔面蒼白のままガタガタと震えていた。

 今時『あわわわぁ!』なんて台詞を使う奴がいたんだな。

 私的には、そっちに驚いたぞ?

 実は私も使うんだけど、そこは内緒だ!


 完全にへたり込んでしまったミィナは、早くも万策尽きてしまった模様だ。


 ともすれば、まだまだ余力を残してはいるのかも知れないが……私に通じる技や魔法があるのかと言えば、絶無と形容しても過言ではないだろう。

 少なからず、絶望的な顔を露骨に見せながらも、瞳から涙を流している姿からは、現状をひっくり返す逆転技を持っている様には見えない。


 ……ま、私としてはコイツの技も見てみたかったのだがな?


 そちら方は、機会があった時にでも見せて貰おうか?


「じゃあ、トロフィーを返して貰おうか?」


 私は言う。


 ……右手をミィナの前に向けて。


「………」


 ミィナは無言だった。

 もはや絶句と言っても良い。


 てか、ちょっとヤバいかな?

 なんと言うか、完全に追い込まれてしまい、頭が思考停止状態になっている様な気がする。


 下手にパニクられても困ると言えば困るが、困窮しまくって思考停止されても困ると言えば困る。


 やれやれ、どうした物かな。


「なんだ? 何も言わないのか? だんまりを続ければ、私が何もしないとでも?」


 仕方ないので、一発爆破してやろうか?


 思い、右手に魔力を込めた……その時であった。


「待って下さいっ!」


 突然、予想外の所から、予期せぬ声が転がって来た。


 声の主は……支部長?


「……どうなってるんだ?」


 私は眉をひそめた。


 支部長が、この屋敷の何処かにいる事は、私なりに予想はしていた。


 但し、この屋敷に幽閉されている……と言う意味で。


 さっき、ドアノブを左回しにした時に、地下牢へと繋がっていたからな?

 てっきり、その地下牢辺りで監禁されている物かと思っていたぞ。


 所がそうではなかったらしい。


 素早く私達の前にやって来たアレフ支部長は、ミィナの前にやって来ると、彼女を庇う様にして抱きかかえてみせた。


 ……?

 いよいよ、訳が分からない。


 魔導師ミィナは、トウキ支部にあるトロフィーを盗んだ犯人ではなかったのか?


 現状で、ミィナがどうしてトロフィーを盗んでいたのかは知らないが……私達を欺いて、こんな屋敷風味のダンジョンへと誘導した挙句、私達を亡き者にしようと企んでいた様に思える。


 少なからず炎神まで使って来たのだ。

 偶然私はアグニと仲良しだったから、特に何も起こらなかったが……時と場合によっては、ここで大激戦が繰り広げられる事になったかも知れない。


 もちろん、場合によっては命を落としていた危険性だってあったのだ。

 それらを総合的に踏まえると、ミィナに殺意がなかったとは言わせない。


 ただ、私の予測が一つだけ外れていた事がある。


 支部長アレフの存在だ。

 ミィナは支部長に成り済まし、私達をミィナの自宅と偽り、この屋敷タイプのダンジョンへと案内した。

 

 この時点で、本物のアレフはミィナに拉致られ、監禁でもされているのかと思われたのだが……どうやら違ったらしい。


 理由は言うまでもないな?

 普通にミィナの前にいるからだ。


 何より、ミィナを庇っている時点で、アレフ支部長の行動は矛盾しかないだろう。

 これは一体、どう言う事なのか?

 私の中にある謎は深まる一方だった。

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