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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第八編・編末オマケ短編
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上位魔導師のお仕事【18】

 そんな感じで引き伸ばされた空間は、元来なら1平方メートルしかない筈なのに、その十倍にも百倍にもなったりする。


 この関係上……外観の建物よりも圧倒的に広い空間が、凄まじく不自然に存在すると言う……違和感の塊染みた邸宅があったりもするのだが……今回は、それと同じ様な気がするのだ。


 もう一つ予測する事も出来る。


 それは、この屋敷が『ダンジョンである』と言う事だ。


 ダンジョンと言うと……みんなが思い浮かべるのは、塔であったり洞窟だったり……地下迷宮だったりするだろう。


 しかし、この世界の場合はその限りではない。


 中には、街の郊外にある古びた屋敷がダンジョン……なんて事も、普通にあるのだ。


 私の経験談からすると……トウキの街中にある、くたびれた屋敷がダンジョンの入り口だった事もあるぞ?

 外見だけを見れば、築数十年のくたびれた洋館で……いつ解体されてもおかしくない様な、くたびれた家屋ではあるのだが、その屋敷の入り口を開けると、普通にダンジョンが広がっていた。


 屋敷の中にいる様な状態ではあったが、ダンジョンと述べて間違いないだろう。

 外観は三階までしかないと言うのに、フツーに十階まであったからな?

  

 ポイントは、ここだ。


 外観は三階しかないのに、中は十階までフロアがあった事。


 ダンジョンの場合は、外の世界とは全く異なる概念から構築されている。

 

 端的に一例を述べれば、西から太陽が登る事だってあるし、真夏だと言うのに、ダンジョンの中に入った瞬間猛吹雪に見舞われたり……上に登っている筈なのに、何故か下へと降りていたり……と、様々だ。


 ダンジョンの中にある秩序ルールは、外の世界とは根底からして異なる代物なので、自分の知っている常識を当てはめると痛い目を見る場所でもあるのだ。


 ……で、だ?


 つまり、何が言いたいのかと言うと?

 ここがダンジョンの類であったと仮定すれば、外観以上の広さがあっても何ら不思議ではないと言う事。


 そして、ここが単なる屋敷だと思って甘く見ていると、ダンジョン特有と言えるだろう常識破りかつ破天荒な現象で不意を突かれ、大目玉を喰らう危険性があると言う事だ。


 ……ま、飽くまでも可能性の問題だが。


 ただし、ここがダンジョンである可能性も視野に入れて置けば、より万全であるに違いない。

 どんな事にも用心に越した事はないのだ。


 反面、気掛かりな部分もある。

 犯人の根城として、支部長が連れて来た場所が『ダンジョンである』のなら、どうして最初に私達へと言わなかったのだろう?


 ここがダンジョンである事に気付かなかったのか?


 ……いや、その割には、結構この屋敷に詳しそうな口振りだった。


 少なからず言える事は、最低でも一度はこの屋敷へとやって来ているだろう。

 その時に気付かなかったとでも言うのだろうか?


「……うむぅ」


 私は考える。

 やっぱり、何か見落としの様な物がある気がしてならない。


 こうぅ……さり気なく伏線染みた物が、これまでの中にあった様な……?


 しかし、実際にそれが何なのかは分からない。


 一つ言える事は、


「次の扉を『右に回して』中に入って下さい。そうしないと、中に入る事が出来ませんから」


 やたらピンポイントなナビをして来る支部長の言葉が、やけに手慣れていると言う事だ。


 ………。


 なんだろうな?


 妙に胸騒ぎがする。

 私的には、支部長の言葉を鵜呑みにして良いのか?……疑念が生まれていた。


 現状の支部長が、私達へと何らかの危害を与えたのかと言えば、何もされていない……と言うのが答えだ。

 むしろ、パーティーの同行者として私達をナビゲーションしてくれている。

 よって、疑いの余地はどこにもない。


 そして、通路に出てから以降、大きく変わった物もある。


 ……トラップが消えたのだ。

 正確に言うのなら、通路に入ってから以降……トラップと言うトラップがない。

 

 ロビーの方には、笑ってしまうまでに沢山たくさん設置されていたと言うのに……だ?


 私が知る限りで百ぐらいの罠が仕掛けられていたな?

 どれもこれも、稚拙で些末な代物ではあったが。


 そうなれば? 今歩いている通路だって、それ相応のトラップが設置されていても、何らおかしな事ではない。


 トラップがお粗末過ぎて、私には全く無意味である事実に気付いた結果、トラップを取り払ってしまったのか?


 その可能性も無きにもあらずだが、


「わざと……か……」


 私はボソッ……と、呟いた。


「……? 何がわざとなの?」


 直後、私の背中にべったりとくっ付いて離れないルミが、不思議そうな顔をして私に尋ねて来た。


 どうでも良いが……お前、とうとう人の背中に体重を掛けてふら下がろうとしてないか?

 もはや、どっかの妖怪ジジイと化してるのだが?

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