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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第八編・編末オマケ短編
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上位魔導師のお仕事【17】

 これはまだ断定している訳ではないし、支部長とミィクがそれなり面識のある関係であると言う部分も含めるのであれば、そこまで不自然な事ではなかったのかも知れない。


 しかし、支部長の言い回しは……あたかも『二階には行かないで下さい』とでも言いたであったのだ。


 その証拠に、フラウのヤツが『二階もなんかありそうだね? ちょっとだけ覗いてみようか?』って感じの台詞をそれとなく答えた直後、アレフ支部長は大きく拒絶するかの様な語気で『いえ! 一階にしましょう? 二階に行く必要は欠片もない事を、僕は知ってますから』と、フラウの言葉に反対していた。


 実際問題、本当に二階へと行く必要がなかったから、そう言っているのか? あるいは……二階に行くと、何らかの不都合でもあるのか?


 ここらは、まだ甲乙付け難いな。

 もう少し、自分なりに考えを煮詰めてからでも遅くはないだろう。

 暗に答えを出すのは早計と考えた私は、敢えてその場を見過ごした。


 ……程なくして、支部長の言われた通りに、一階のドアを開ける。


 ギィィィ……


 ひしゃがれた、鈍い金属音の様な音を出しながらも、ドアが開いた。


「はわっ! はわわっ! こ、これはヤバいよリダ! 絶対何か出て来るって!」


 鈍い開閉音と同時に、私へと引っ付いている両手の力を強くするルミ……ああ、わずらわしいっっ!


 確かに耳障りだったのは間違いないし、ただでさえ不気味な空気をいたずらに醸し出してはいるんだけど、私からすればお前が終始! ずっと! 徹頭徹尾! 無駄に密着している事の方が不快度指数的には上なんだよっ!


 本当……今だけで良いから、ルミがショタ系の可愛い美少年へと変身してくれないだろうか……?


 ふと、あり得ない希望を、心中でのみ呟く私がいる中、


「アレフ支部長……わ、私……怖いです」


 微妙に顔を青ざめると言う口頭テクニック(高等ではなく、口頭。つまり口だけのテクニックだ)を披露するフラウがいた。

 

 どうして口頭……なんて言う、ある意味で荒唐無稽な形容をしたのかと言うのなら、


「そうかい? はは……うん、そうだね? ちょっと怖い雰囲気とかある様には見えるけど……でも、さっきまで全然怖そうな顔とか見せてなかった様な気がするんだけど……違うかな?」


 この様な台詞を口にする支部長の言葉通り、本人だけが上手く行くと思っているだけのテクニックであったからだ。

 

 まさに、口だけのテクニックであり……実用性はおろか、凡庸性にも欠ける。

 つか、単純にあざといだけ。


「そんな事はありませんよ、支部長! だって、私も女の子なんですもの!」

 

 答えたフラウは、さり気なく支部長にくっ付いていた。

 

 ……くそ。

 別段、支部長に特別な感情を抱く事はないのだが、個人的にはルミに引っ付かれている現状よりは百倍マシだと思えた。


 そして、フラウも本気なのだろう。

 本気で支部長にまとわり付いて、あわよくば異性としての関係を構築したいに違いない!


 思えば、支部長は中々の優良物件だ。

 顔は良く、気さくで明るい性質を持ち……そして年収も良い。


 魔導師協会の支部長が、一体どの程度の給与を貰っているのかは知らないが、年間一千万程度の収入はあると予想出来る。

 とどのつまり、上手く落とせば将来は安定!

 顔の良い旦那なら、子供だって美形!


 明るい未来は確約された様な物だ!


 …………とでも、フラウは考えているのだろう。

 相変わらず、皮算用でしか物を考えてない打算女と言える。

 こんな残念女であっても、若くして上位魔導師になれるんだから……世も末だ。


 ともかく、今回の仕事とは別に、フラウ的なメイン・ターゲットを仕留める為に、一人豪快に空回りを見せていた。


 ……ま、ここは気にしないよ。


 だってフラウだもん。

 どーせ、アホみたいなオチとか付いてるんだろう?


 自らフラグを回収する事に於いては、私よりも優れた回収性を持つフラウだけに、今度はどんな笑いを私に提供してくれるのか? それだけを考える様にしていた。


 一階ロビーからドアを開けると……長い廊下の様な所にやって来る。


 ……ふむ。

 どうやら、結構な広さがある屋敷なんだな?


 一応、それとなく外観から、結構な規模の屋敷ではあると考えていたのだが、中に入るとより屋敷が大きいと言う事が実感出来る。


 ……と言うか、外観よりも広い可能性があるんだが?


「ふむ……これは、空間魔法の一種だろうか……?」


 結構な長さのある通路をゆっくり歩きながら、私はポツリと呟く。


 この世界には、魔導によって生まれる特殊な空間が存在している。

 厳密に言うと、空間の広さを変える魔法が存在しているのだ。


 通常、1平方メートルの空間には、額面通り1平方メートルの空間しかない。

 所が、この1平方メートルの空間を引き伸ばすと言う……凡そ、科学の定理ではあり得ない魔法が存在しているのだ。


 この魔法を発動させると、さっきも述べた通り、空間が引き伸ばされる。

 抽象的に言うと、ゴムの様な感じで両端から力を加えて引き伸ばす感じだな?

 

 ……ま、飽くまでもイメージであって、実際には少し違うのだが、観点としてはその様な感じだと思ってくれたら幸いだ。

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