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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第八編・編末オマケ短編
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上位魔導師のお仕事【10】

「……いや、流石にデートとか、そう言うのは難しいけど……うーん……そうだね……一つ、僕とパーティを組んではくれないかな?……あ、もちろん報酬は弾むよ?」


「え! 本当ですか! アレフ支部長と二人で仕事デートをっ⁉︎」


 苦笑混じりに答えたアレフ支部長がいた所で、フラウはキラキラお目々のまま返答する。

 さり気なぁ〜く『仕事』のルビが『デート』になっていた。

 何処までデートをしたいんだ、お前は?


 つか、だ?


「……なんだよ? 二人だけで良いのか? んじゃ、私は行かなくても良いな?」


 普通に私とルミの二人をハブって来たフラウがいた所で、私は半眼のまま言う。


「あ! 本当だ! ど、どうしよう……でも仕事デートは二人で行く物と、相場じゃ決まってるしなぁ……」


 フラウはかなり真剣な顔をして悩んでいた。


 すると、少しへりくだった態度を見せたアレフ支部長が、私達へと声を向ける。


「お二人と言うか……ルミ様がクエストに参加しないと言うのであれば……僕も遠慮したい所だけど……それじゃ、ダメかな?」


「えぇぇっ! ルミと仕事デートしたいのですかっ⁉︎」


 フラウは『ガーンッ!』って顔になって、大きく叫んでいた。

 根底からしておかしいだろ?

 そもそも、仕事と書いてデートと読んでいる時点で、おかしい事に気付いてくれよ⁉︎


 人見知りのコミュ障を自称している癖に、美男子にはやたらと節操のないフラウの物言いには、私も何を口にして良いか分からないな。


「そうですか……そうなんですね……分かりました。つまり、アレフ支部長はルミが居ないと仕事デートしてくれないと言う事ですね? ルミの事を慕っていると言う事ですね? 私は二号を目指すと言う、重いハンデを最初から背負っていると……」


「いや、待ちたまえフラウさん。君は大きな誤解をしている。それも、基本的な部分から絶望的なまでの誤解だ。そもそも、僕はデートの誘いを申し込んでいる訳ではないのだから」


「それなら、私の心はどうでも良いと言う事なのですかっ⁉︎」


 ……面倒臭い女だな……おい。


 恐ろしく困った顔になって答えるアレフ支部長に対し、猛然と叫ぶフラウの姿があった。

 

 このまま行くと、フラウの病気が更に拗れてしまいそうなので、そろそろアレフ支部長に助け船を出してやろうか。


「支部長の誘いは受けたいのだが、内容によりけりと言うべきかな? こっちは曲がりなりにも一国の王女……しかもニイガ王国の姫がパーティーに加わる訳だから、あまり危険な仕事クエストには乗れない……と言うか、乗りたくはないのだが?」


 私は、話のベクトルを変える為に、敢えてアレフ支部長へと話しを振った。


 すると、アレフ支部長は即座に私へと視線を向けては、


「もちろん、ルミ姫様に指一本触れさせません! そこは同行する私の誇りに懸けて、絶対に遵守するつもりです。危険度は多少高めではあるのですが……その分、僕があなた方を全力でサポート致します!」


 やたら語気を強めて答えた。


 ルミ姫を全力で守ると言う強い意志があったからこその言葉であったのかも知れないが、やっぱりフラウのあちゃらかな会話を強制終了させたかったと言う気持ちもあるのだろう。

 私も、立場がたがえば間違いなく同じ事をしそうなので、否定する事は出来ないな!


「その意気は買いたいが……問題の仕事クエスト内容についても聞きたい。どちらかと言うと、そっちの方が重要だしな?」


 私は笑みを交えて答える。


 そこら辺で気付いた。 

 支部長を相手にタメ語で口をきいてた事に。


 ……うむ、どうしよう。

 自分で言うのも変だが、微妙に偉そうな態度だ。


 ………。


「そのぅ……それで、仕事クエストの内容を教えては貰えませんかね?」


 少し間を置いてから、私は苦笑混じりに言い直す。

 もっと早く気付けよ、私ぃっ⁉︎


「そこまで低姿勢で来る必要はありませんよ? リダさん。あなたはルミ姫様のご友人である時点で、僕は卑屈な平民である事を強要されている様な物

なのですから」


 背後にキラキラオーラを出しつつ、温和に語るアレフ支部長。

 その態度や表情……物腰は実に柔らかな物だったりするのだが、いかんせん台詞は無駄に卑屈過ぎて、返答に困る内容であった。


 まさか、ルミ姫関連で、私まで妙に畏まられる羽目になるとは思わなかった。


 まぁ、良い。

 アレフ支部長の態度が低姿勢だからと言って、特に困る事もないだろう。

  

 むしろ、無駄に踏ん反り返られるよりは百倍マシだ。


「……それなら、普通に話しをさせて頂こう。それで? 仕事の内容を聞いても構わないか?」


「ああ、そうでしたね?……では、少々込み入った話しになりそうなので、僕の部屋へとご案内します」


 私の言葉に、アレフ支部長は笑みのまま声を返し、穏やかに微笑みながら私達をエスコートする形で自分の部屋へと案内して行くのだった。

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