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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第二編・編末おまけ短編
132/1397

リダさん、裏山探検に向かう【13】

『ば......ばかなっ!』


 衝突する勢いで壁にぶつかり、かろうじて意識があったガルムもどきのアナンシは、そこからなんとか態勢を建て直そうとして見せる。

 だけど、さ?


「まだやるのか?」


 もう、流石にアホの子だって分かる筈なんだよ。

 

『ぐ......くそぉ』


 凄まじく悔しそうな顔になってるガルム風味のアナンシ。

 

『これで......これで、学園の生徒達をやっと見返せると思ったのにっ!』


 ......はい?


 私の目がテンになった。


「どう言う事だよ?」


 とうとう、変化の能力を保持する事が出来なくなったのか? 元の青年に戻った所でへたり込むアナンシに対して、ちょっとだけ不思議そうな顔になる。


「私は......見ての通り、実力で行けばこんな最後のラスボスをする様な強さはなかった......飽くまでも生徒達に最後の試練として心の強さを示す為に存在していた張り子の虎でしかなかった」


 まぁ、否定はしない。


 ......ああ、そうなるのか。

 練習ダンジョンだからってのも加味しているんだろうけど、コイツがここに配置されていたのは、勇気を試す為の最終試練だったのか。


 通常であれば、13階層もあるダンジョンの最下層なんて潜ったら、戻るだけで大変な労力を使う。

 労力もそうだが、時間も掛かるだろう。

 現実的に本当のダンジョンに潜った時、戻るだけで一苦労の状況で凶悪なモンスターと戦う最終決戦を強いられた時、どれだけ強い精神力を保持する事が出来るか?

 それを擬似的にやっていたのが、今回のアナンシとなる。


 実際、本当に強いのを配置してしまうと、難易度的に問題があったのかも知れない。


 ......もっとも、この練習ダンジョンには魔導ゴンドラが設置してあるので、戻る事はそこまで困難ではないのだが。


 13階層からリスタートする事も可能だ。


 ......うぅむ。


 そうか、そう言う事か。


 これはダンジョンを作った構築側が悪いな。

 本来なら、心身共にギリギリの状況下で、擬似的ではあるが最悪の状況を『演出』するのが目的で作られた最後の門番であった筈なのに、13階層からリスタートも切れる仕様である為、本来の目的を見失ってしまったのだ。


 結果、どうなったろう?


 答えは、アナンシの口から出た。


「こけおどしのラスボスとか、見た目は魔王だけど、強さはスライムとか......もう、私の心はズタズタだ。私だって学園長から給料を貰ってやってるだけの、雇われトリックスターだって言うのに」


 給料もらってるんだな......。

 てか、学園長から貰ってるって事は、遡って行くと冒険者協会から予算を貰ってる訳だろ?

 こ、こんなのに予算が費やされてるのか!


「どうでも良いけど、お前......ここにいるのに金貰って嬉しいのか? てか、使えるの?」


 げんなりと呆れを程よくミックスした私の言葉に、アナンシは軽く右手を指差してみせる。


 すると、程なくして淡い光が浮き上がり、人が一人入れる程度の魔法陣が出現した。


「生徒がこの階層にやって来ると、私は召喚される仕掛けになってるのさ。一応は私も精霊の仲間だからね。それ以外は自由......職員室でお茶を飲んでたりもしているよ」


「......なるほど」


 空間転移に近い方法ではあるんだが、召喚による瞬間移動はこの世界において理に違反していない。

 どうしてなのかは忘れたが......確か、召喚術は空間転移を目的としていなかったから......だったと思う。


 時空を主目的として使うと、運命を左右してしまう事件が起こるかも知れないが、そうではない場合はそこまで事故が起きる可能性が低い。

 ......と言う理由だった気がしたが、詳しい事は忘れた。

 ま、知ったかぶりの戯言だと思ってくれ。


 そこはともかく。


「私は連中達を見返してやりたかった......見かけ倒しの非力なラスボスと言う汚名を返上し、真のラスボスとして君臨する時を痛烈に夢見た......その時だった」


 ああ、そこで出て来るのな。

 毎度の事だけど......本当にロクな事をしない。


「私の元に『あの方』が降臨なされた! そして、私は『あの方』から見た目だけではない、相手の全てをコピーする事が可能なスキルを伝授してもらう事になった!」


 そして、現在に至る......と。


「やれやれ.....相変わらず、面倒な事ばかりして来るなぁ......本当に」


 答え、私は嘆息した。


「そうだね......けど、今のレベルだと、ラスボスとして丁度良いんじゃない?」


 ......とは、フラウの言葉だ。


「うーん......」


 私は両腕を組んで唸ってしまった。

 確かに、一部の生徒なら踏破クリア可能な実力程度ではある。

 けれど、多分......私の予測だけど、本当に一部だぞ?

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