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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第二編・編末おまけ短編
131/1397

リダさん、裏山探検に向かう【12】

「じゃあ、なって見ろよ?」


 そう答えたのは、パラスだった。


 どうにも信用出来なかったのか?  

 パラスは完全に疑念の目でアナンシを見ていた。


 まぁ、でも、ナンシーさんだしなぁ......私もちょっと驚きはしたけど、なんだかんだでハッタリなんじゃないかって思えてしまう。


「良いでしょう......私の力が偽物ではないと言う事、とくと見るが良い!」


 そうと、アナンシが気迫を込めて叫んだ瞬間......ヤツは化けた。


 見る間に変化した怪物は......えええぇぇ。


 私は口元を引き釣らせた。

 ヤツが変化したモンスターは、ガルムと呼ばれる怪犬。

 

 四つの目を持ち、常に口から血をしたたらせる冥界の門番。

 ここでも門番してるからか? 門番繋がりなのか?

 ともかく、ケルベロスとかと同じ扱いの怪物犬でもある。


 当然だが......本物同然の能力があるのなら、洒落になってない強さを持っている。


 くそ......こんな所で、予想もしない難敵に出くわすとは。


「下がれ、みんな......ここは、私がやる!」


 叫び、真剣な顔になった私は、


 スーパー攻撃力上昇魔法オフェンスアップレベル99!


 スーパー防御力上昇魔法ディフェンスアップレベル99!


 スーパー身体能力上昇魔法スピードアップレベル99!


 ドラゴン呼吸法ブレイズ【極】


 瞬時に最強状態になって見せた。


 ドンッッッッ!


 刹那、急激な能力上昇によって、私の身体から急上昇したエネルギーの余波が衝撃波になって周囲に撒き散らされる。


 この衝撃波により、


「うきゃぁぁぁっ!」


 半べそのまま、ルミが吹き飛ばされ、


「リダのばかっ!」


 フラウが悪態を吐きながら吹き飛ばされ、


「な、なんだこれはっ!......うぉわぁっ!」


 最後に、なんとか踏ん張っていたパラスまでも吹き飛ばされていた。


 ......いけね。


「悪い悪い......まさか、全員吹き飛ぶなんてさぁ......」


 私は思わず苦笑しながら、周囲にいる全員に謝って見せた。


 ......ん?


 ......全員?


「......あれ?」


 小首を傾げた。

 さっきまでいた、口から血を流している四つ目の怪犬までいない。


 ......ってか、一緒に吹き飛んでるのですが?


『なんだと......貴様! この姿の私を気合いだけ吹き飛ばすだと......? どんな化け物だ!』

 

 ガルムになってたアナンシは、ワナワナと身体を震わせていた。

 ......いや、ちょっと?


「本物のガルムなら、あの程度の衝撃波なんて......そよ風だぞ?」


 うーむぅ。


 ちょっと聞きたいんだが......。


「なぁ、ガルムになってるナンシーちゃん?」


『せめてアナンシと呼んでくれないか?』


「いや、まぁ、そこはなんでも構わないんだけど......」


 私は額に人差し指を当ててから言った。


「お前......ガルムの強さがどの程度なのか知ってるか?」


『今の私と同等だ!』


「......」


 私の目が半眼になった。

 やたら自信を持って言ってる様だが、私の見立てでは......。


「今のお前は、強さ的に言うと本物のガルムの十分の一程度しかないぞ? 下手すればそれ以下だ」


『な、なんだとっ! 言いがかりはよせっ!』


 言い掛かりかどうかは、多分すぐに分かる事だと思うんだがなぁ......。


「つまるに、こうだ。お前は確かに変化する事で、コピーした存在と同じ能力を手にする事も可能になった。ここは事実なんだろう......が、だ?」


 そこまで言った私は神妙な顔付きになり、ビシッと指を差して叫んだ。


「お前の身体が持つキャパシティー以上の能力は完全にコピー出来ない!」


 よって、ヤツは一定以上の強さを越える事が出来ない。

 上限値を越える能力をコピーしてしまうと、ヤツの身体がその膨大なエネルギーに耐えられなくなり、変化したと同時に身体が崩壊してしまうからだ。


 この辺は自分でも無意識にやってるのかも知れない。

 何せ、自分にリミッターが付いていた事に気付いてないみたいだしな。


 余談ではあるが、この上限値は努力次第で底上げする事が可能なのかも知れない。


 ......しかし、だ?


「本物の十分の一にも満たない実力で、この私に勝てると思っているのか?」


 私は不敵に笑った。

 ガルム本来の力なんか、コイツが見ている訳がない。

 しかし、十分の一程度であっても、ヤツからすればかなりのパワーアップだ。


 そこでヤツは勘違いしてしまうのだろう。

 自分は、全ての能力を完全にコピーする事が可能になったと。


『だまれっ! その高慢な態度をすぐに矯正してくれる!』


 叫んで、ガルムになったアナンシが私の首筋を食いちぎろうと襲い掛かる。

 

 ......はぁ。


 これだけ言っても、まだ分からないのかねぇ......この駄犬は。


 首筋までやって来て、鋭い犬歯を見せつつも口を大きく開けて来たガルムもどきに、私は右手を軽く捻って見せる。


 ヒュッッ! 


 捻る感じの右手は、


 ガンッ!


 裏拳の状態でガルムもどきの左頬を痛打して見せた。


 この一撃で、ガルムもどきは一瞬で吹き飛んでしまう。

 裏拳チックに左頬にめり込むと、音速以上の早さで吹き飛んで、


 ドカァァァァァッ!


 広間の壁に激突していた。

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