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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第八編・最終章
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パインとココナッツとお母様【6】

「それじゃあ、今回の所は『母親として』リダさんに御礼を言うだけに留めて置くわ?……でも、貸し借りは別として、困った事があったら言って頂戴ね? シズ1000のタブレットを持っている筈だから、そこで私との連絡は取れる筈よ? その時は空間転移テレポートしてでもトウキに駆け付けるから、素直に言って頂戴?」


「……はは、ありがとう」


 小粋な笑みのまま答えたりんごさんに、私は一応の相づちを打った。

 冗談半分な言い方ではあったが、きっと本気で言っているのだろう。


 だけど、りんごさんの助けが欲しいレベルの難題なんて、早々滅多に起こる様な物ではないと思うんだが。

 それこそ、世界が滅亡の危機に瀕する程のスペクタクル大事件とか……そう言うレベルじゃないのか?


 そう考えるのであれば、ここは素直にりんごさんの好意を受け取る事にして置こうか。


 ……でも、これが何らかの伏線になる……なんて事はないよな?


 ………。


 ない……よ、ね?


 ちょっと不安になって来たが、ここは前向きに受け取って置こう。

 毎回毎回、思わぬ角度から想定外な事件が発生する事に慣れてしまった為……変に身構えてしまう私がいるのだが、実際にはりんごさんに悪意がある様には全然見えないし、不安要素が存在しているのかと言うのなら、微塵もないと言うのが実情だ。


 うむ、そうだぞ! リダ・ドーンテン!

 お前は少し用心し過ぎだ!

 りんごさんの善意を水疱に帰しては行けない!

 なんなら、むしろりんごさんに失礼と言う物だ!


 ……と、思い込む事にした私は、ここからしばらくりんごさんと和気藹々とした雰囲気で雑談をした後、キータの中心市街へと戻って行くのであった。




             ◯◁◯◁●




 ココナッツ様と再び顔を合わせたのは、キータの中心市街地に戻ってから一時間程度の事だった。


 パインと一緒にミナト争奪戦(?)の様な事をしていたココナッツ様は……その後、卒倒したミナトを自宅の荒屋あばらやまで送り届けていた為、こちらに顔を出す事が出来なかったらしい。

 

 詳細は分からないが、ココナッツ様もイヴの一人であり、当時のアダムにして現在のミナトを心から愛していた乙女でもある。

 そこらを汲み取るのであれば、私達の為に一時的でも顔を出してくれたのだから有難いと言えば有難い。


 ココナッツ様と無理して会う必要もなかったんだけどな!


「色々と恥ずかしい所をお見せしてしまいました……本当に、ご迷惑をお掛けしてすみません」


 中心市街地の商店街にある弁当屋で朝食を購入し、それを神殿の一角でまったりと雑談しながら食べ終わっていた所で、私達の元へとやって来たココナッツ様は、開口一番に頭を下げていた。


 私はちょっと苦笑する。


「別に迷惑って程ではありませんよ?」


「そうだお! 迷惑ではありましぇんでしたお! パーピーちゃんもプラムちゃんも華岳ちゃんも貰えたので、幸せ一杯でしたお!」


 苦笑混じりに答えた私がいた直後、近くにいたアリンが、鼻息を荒くしてココナッツ様に叫んでいた。


 事実、アリンの場合はむしろ僥倖であったろう。

 そして、私的にはまた頭痛の種が増えた……と表現する事が出来る。

 だってアリンのヤツ……人形を出しっ放しにするから、本当に片付けるのが大変なのだよ……全く!


 しかしながら、今回に限ってはヨシとして置こうか。

 オモチャ売り場付近に向かうと、決まって余計な物を買って欲しいと強請ねだり捲るからな!


 今後は、しばらくアリンの強請ねだりも無くなるだろう。

 ……ってか、強引に私が無くしてやる!


 ともかく、だ?

 この調子であるのならば、ココナッツ様も私へとあの請求書の代金を私に支払えとは言って来ないだろう。

 私的には、まずはホッと一安心と言うべきだ。

 普通に馬車が買えるレベルの請求額だったからな!


 しかも、その翌日とかの請求を加算されたら……地方なら土地買えそうな額になっていたからな!


 本当に解決してくれて良かった!


 心密かに安堵する私がいる中、


「それでは、私達は帰ります……もう、この地に来る事はないと思いますが、精々元気で暮らしてください」


 態度だけは慇懃いんぎんと形容出来るだけの代物ではあったが、口調は地味に喧嘩でも売っていそうな語り口だったユニクスが、ココナッツ様へとゆっくり頭を下げてみせた。


 きっと、ユニクス的にはもう勘弁して欲しいのだろう。

 思えば、ユニクスだって本意で勇者になった訳ではないのだ。

 女神の使徒パシリなんて、もう二度とやりたくない……と言う態度が、アリアリと出ているのが、私の目にも映った。


「そうですか……もう少しゆっくりしていらしても良かったのに……でも、不必要に止めるのも失礼ですよね?」


 ユニクスの言葉に、ココナッツ様も素早く頷いた。

 ちょっと残念そうな台詞を社交辞令スペシャルに使っていた。

 もちろん社交辞令だった。


 きっと、ミナトの元へと向かいたいのだろう。


 気持ちは分かるけど、もう少し残念そうな顔をしようよ!

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