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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第八編・最終章
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パインとココナッツとお母様【5】

「……まぁ、そう言うなよアリン? リダ様はリダ様で色々と頑張ったんだぞ?」


 程なくして、ユニクスがアリンの頭を軽くポンポンっと叩きながらも答える。


「……私の事は助けてくれなかったけど、リダ様は二人の女神が和解する事を願ってはいたのだ……私の事は見捨てていたけど!」


 そして、笑みのまま再びアリンへと口を開いていた。

 語気や態度は、アリンをそれとなく諭す様な感じではあったのだが……台詞の内容だけを見ると、確実にさっきココナッツ様にボコられていたユニクスがいると言うのに、素知らぬ顔して観戦者をしていた事を、思い切り根に持っているらしい。


 あれはあれで仕方の無い事だと思うぞ?

 だって、わざとボコられているんだもの。


 だからと言うのも変な話しではあるのだが、


「アリンも見てたけど、ユニクスは全然本気じゃなかったお? 見捨てるも何もないと思うんだお?」


 しれっと、アリンにも私と同じ様な考えを口にする。

 ユニクスは口元を引き攣らせてしまった。


「いや、そう言う問題じゃないだろう? アリン! 例え本気では無かったとしても……だな? 普通は仲間のピンチを助けるのが筋と言う物なんじゃないのかっ⁉︎」


「お? ユニクスって、仲間だったお?」


「仲間だと思われてないっ⁉︎」


 ナチュラルに小首を傾げて答えたアリンの言葉に、ユニクスは再び『ガーンッ!』って顔になって白目をむいてしまうのだった。


 程なくして、アリンが『冗談だお〜☆』って感じの言葉を、お日様笑顔で答えていたのだが……白目状態になっていたユニクスの耳に届いていたかは……まぁ、ビミョーだった。

 取り敢えず、三歳児ジョークだったのだろう。

 それにしては、かなり本気度の高いジョークと言うか、演技力のあるブラック・ジョーに見えたな?

 取り敢えずユニクスで良かった。

 私がこれをアリンちゃんにやられたら、三日は立ち直れない自信があるぞっ!


「そう言えば、リダさん達はこれからどうするの?」


 ……と、答えたのはりんごさんだった。


 パインとココナッツの二人がしっかりと仲直りを果たし、破滅の女神化したココナッツ様も無事に元の状態に戻った事で、みかんパーティは散開する形でキータの中心市街へと戻って行ったのだが、りんごさんだけ一人残る形で私達へと声を掛けて来た。

  

「これで用事は済んだろうから、もう少ししたらトウキに戻ろうと思っているよ」

 

 りんごさんの言葉に、私は答える。

 破滅の女神を封印ないし討伐する事が、私達の目的ではあったのだが……もう、その必要は無くなった。


 パインはもちろん、ココナッツ様も破滅の女神化する事はないだろう。

 ……そこにミナトが居る限り。


 それなら、二人が破滅の女神化する可能性は極めて薄いだろう。

  

 仮に、何らかの突発的な出来事が重なって、破滅の女神がキータに降誕する事になったとしても……それは今ではない。

 当面の間は様子を見る事になった……と言うのが、現状の話しだ。


 よって、私達の役目もまた、ここで終止符を打ったと言う事になるのだ。


「そう。トウキに帰るのね?……ふふ、私の娘の為にトウキから遥々足を運ばせちゃって……ごめんなさいね?」


「いや、こっちもこっちで、観光しかしてないと言うか……あんまり役に立てなかったから……その、申し訳なく思っているよ」


「ううん、そこは良いのよ? むしろリダさんが先陣切って行動を起こす……なんて事になったら、パインが大変な事になっていたかも知れないわ? リダさんが慎重に行動してくれたからこそ、今の結果になれたと思うの。判断としては的確だったわ? 流石は世界冒険者協会の会長さんね?」


「はは……おだてても、何も出ないよ?」


 正直、何もしないと言う判断をしてたら、勝手に褒められている様な物なんだからな?

 ……けれど、実直にココナッツ様の言葉を、私が額面通りに捉えていたら……話しは更におかしな方向へと転がっていたかも知れない。


 ……うむ! そうだよな! その通りだ!


 そう言う事にして置こうっ!


「特におだてるつもりは無かったんだけどね?……ま、良いわ? ともかく、これは借りにして置こうと思うの? いつか、リダさんが困った時にこの借りを返すわ? いつになるのかまでは分からないけれどね?」


「へ? い、いや! 別に大した事なんてしてないし! 気にしなくても構わないよ!」


 割と真剣な顔になって答えたりんごさんに、私は思わずアセアセした状態で叫んだ。

 事実、ほんとぉぉぉぉぉぉに、何もしてないからな?

 

 そんな状態だと言うのに、変な恩を着せるなんて事は、人間としてやっては行けないと思ってるよ!


「欲のない人ね? 私に貸しを作って置けば、間違いなく後で大きな財産になると言うのに」


「仮にそうであったとしても、私は何もしてない事に変わりはないからなぁ……やっぱり、ここは気にしないでいてくれたら嬉しいよ」


「……本当に謙虚ね? ビックリしちゃうわ? うちのメンバーだったら、絶対に言わないわよ? むしろ余計に恩着せがましい態度とか台詞を付け加えて、更なる要求を厚かましく言って来るわ?」


「それはみかんパーティーの連中だけだと思うぞ?」


 真剣な顔で答えたりんごさんに、私は少し引いた顔になって答えた。

 みかん達は、もう少し人としての道徳を学んだ方が良いと思うのだが……?

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