パインとココナッツとお母様【4】
私的に言うのであれば、ココナッツ様とパインの二人が和解しました……で終わらせたいんだけど……とかって、若干の恣意的な思考が生まれていた中、りんごさんが地味に苦々しい顔をみかんに見せて行く。
恐らく、りんごさんを茶化す感じで声真似していたのが癪に触ったのだろう。
地味にぶりっ子風味に真似されていたのにも関わらす、ビミョーに似ていたりもするから……まぁ、癇に触る可能性は否めないな。
少なからず、私も同じ事をやられたのなら、やっぱり腹立たしい。
「うるさいわね! 別にそんな『微笑ましい光景ね☆』なんて思ってないわっ⁉︎ 単純に純粋に、今ある光景を見て、母親としてホッと安心しているだけよ!」
「……一人の男を奪い合っている光景を見て安心する母親なんているのか? いたら、世も末だぞ……?」
「いちいち癪に触る事を言うのねぇ……ともかく! これは、アンタには関係のない話よ!」
「そうだな……みかんには関係ない話だ……が、りんご。お前も関係なくね?」
「私は母親だから関係あるのよ!……ああ、もうっ! 腐れキノコと話しをするとイライラして仕方ないわ! ともかく放って置いて頂戴! パインとココナッツの二人が、私の知っている普段通りの二人に戻った事を確認出来たから満足よ! 後は、若い子同士でやれば良いのよ!」
「ぷっ……まるで年寄りみたいな言い方だな、りんご?……ああ、そうか。りんごは確かに大年増だった」
「私よりも年長者のアンタにだけは言われたくないわよっ!」
「みかんは二十歳だぞっ! お前より全然若いわっ!」
「なんで、自分の姉が妹の私よりも年下になってんのよっっ!」
みかんとりんごの会話は、相変わらずグダグダだった。
りんごさんはみかんの妹だし、この手の会話は慣れているのかも知れない。
きっと慣れたくもない話しなんだろうけど、第三者の視点で岡目八目を置いている身としては、そう見えてならなかった。
「……リダ様、ご無事で何よりです」
みかんとりんごさんによる、なんともビミョーな会話を見据えながらも苦笑混じりになっていた私がいた所で、ユニクスの声が転がって来る。
全身泥だらけと言う、実に残念な格好をしてはいるが、外傷的な物は一切見当たらない。
恐らく自力で這い上がって来た所を、アリン辺りが回復魔法を発動させていたのだろう。
どちらにせよ、勇者の力を得たユニクスが、あの程度の事で死ぬ様なタマではない。
私としては、むしろ腑抜けた戦闘をやっていたのに業を煮やしていたぐらいだぞ……全く!
個人的に言うのなら、アホみたいに手を抜きまくったユニクスに小言の一つでも言ってやらねば気が済まないのだが……今回の所は止めて置こう。
私は何もして無かったのだからな!
「取り敢えずはお疲れ様とだけ言って置こうか……かなり、テキトーな攻防戦ではあったが、ちゃんと戦った部分だけは評価してやる」
「テキトーではありませんリダ様! 私は……私は、誠心誠意! 愛を込めて、リダ様が私を助けてくれると信じて戦っておりました!」
それがテキトーって言うんだよ!
自分だけでどうにかなる戦いに、私を強引に巻き込むんじゃない!
「……ともかく、次は真面目にやれ……じゃないと、次は爆破な?」
「いきなりの爆破予告っ⁉︎」
ユニクスは『ガーンッ!』って顔になって白目を剥いていた。
どうしてそこでショックを受けるのか、私にはサッパリ分からないのだが?
「終わったんだお? アリン、何もして無かったけど、終わったお? そう言えば、か〜たまも何もして無かったお?」
……言うんじゃない!
程なくして、アリンが途方もなく素朴な台詞を口にしていた。
三歳児らしい、歯に衣を着せないストレートな台詞と言える。
私だって一応は分かっているんだよ。
……けれど、私は思うのだ。
何もしないで物事が解決するのなら、そっちの方が楽じゃん!
「アリン、それは違うぞ? 人には人の立場と言う物が、大人の世界には存在するんだ。互いに互いのプライベートな部分に土足で上がる物ではない……何より、今回は相手のデリケートな部分を着手する、極めて困難な戦いだった。よって、私達には私達なりの立場を持って、この複雑な問題を解決させるに至った!……そう思わないか?」
「か〜たま……わざと分かり難く遠回しに言ってうけど……結局、パインさんとココナッツしゃまを『見てるだけで解決した』と言ってるお〜? やっぱり何もして無かった気がするんだお〜?」
可愛気のない三歳児だなぁ……くそ。
いかにもそれっぽい言葉で纏めようとしていた私に、しっかり反論して来たアリン。
私だって、単なる旅行で終わってしまったから、ちょっと困惑しているんだよ。
取り敢えず、頑張った!……って言う事にしておきたいんだよ!
頼むから、ここで反論しないでくれないかなっっっ⁉︎




