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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第二編・編末おまけ短編
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リダさん、裏山探検に向かう【8】

「いいか? こう言う空を飛んでるヤツの場合、二つの方法がある」


 巨大な翼を大きく広げて、虚空へとはばたいた巨大飛竜がいた所で、私は軽く周囲のメンバーに説明して行く。


 説明と同時に、巨大飛竜の口から強烈な炎がやって来た。

 ......ふむ。


 多少は強いな。


 ......多少は。


 ジュッ......


 猛烈な勢いでやって来た炎を、私は右手で振り払って見せた。

 

「ええぇ......」


 フラウが引いてた。

 ......こらこら、そこは引く所じゃないからな?


「一つは、体術を駆使して、敵と同じ高さにジャンプする事。これと同じ要領で飛行魔法レピテーションを使うと言うのもアリだな」


 そこまで言い終えた私は、


 シュッ!


 ......と、風を切る感じで跳躍して見せる。


 一瞬で巨大飛竜の眼前までジャンプした私は、そのまま飛竜の顔面にかかと落としを決めた。


 ドコォォォッ!


 飛竜の顔面が陥没しそうな勢いでかかとの一撃を受けた巨大飛竜は、ロケット砲にでもなったかの様な勢いで床へと墜落して行った。


 ドドドンッッッ!


 墜落と言うより、衝突にも近い勢いで床に落ちると、大音響を周囲に撒き散らして床に大穴を開ける。


「おおー! 流石リダ! 男だったら告白してるぞ!」


 ルミ姫は絶賛してた。

 私が男だったとしても、ルミはちょっと......なぁ。

 姫だし、天然だし、私の前だと楽ばっか考えてるし。


 百歩譲って、友達だろう。

 ......いや、そこはどうでも良かった。


 スタッと、綺麗に着地した後、私は周囲に再び説明をして見せる。


「こんな感じで、相手に奇襲を掛ける事も出来る。自力で飛ぶ力がないと見られガチの私達人間の場合、相手はこっちが飛ばないと、飛べない物だと勝手に勘違いしてくれる。逆に言えば向こうは勝手に油断して来るから、こっちは奇襲が掛けやすい訳だな」

  

「なるほど」


 フラウはウンウンと何回も頷いて見せた。

 

「つまり、空を得意としているモンスターがいた時に、いきなり浮遊魔法レピテーションを使って迎撃しちゃうと、こっちの手の内を一つ見せてしまう事になるってわけか」


「つまり、そうだ」


 納得混じりに言うフラウに、私は即座に頷いた。

 中々に飲み込みが早い。

 流石は優等生って所だな。


「飛ばないと戦闘に参加出来ない環境下とか、そう言う例外はもちろんあるが、そうじゃない場合はなるべく飛べないフリをしておけ。世間一般では人間は飛ばない」


 ......と、そこまで説明をしていた所で、


 ボンッッッ!


 大穴から、巨大飛竜が飛んで来た。


 ......なるほど。


「あの一撃で沈まないか」


 こりゃ、確かに......異変は危機に変わっているな。


 今更かも知れないが、確実に異変を実感した瞬間でもあった。

 アインの様な化物の場合、異変なのか元からそうなのか......今一つ実感が沸かなかったんだが、コイツは違う。


 本当なら冒険者の卵達が練習で倒す様な相手だ。

 ダンジョンもかなり深い階層まで来てるし、難易度もそれなりに上がってはいるが......それでも、チュートリアルよりは大変程度の相手である筈なんだ。


 しかし、私の前にいる巨大飛竜は、S以上の冒険者がパーティーで戦っても勝てるかどうかの強さを持っている。

 もはや、チュートリアル所のレベルではない。


 ブゥゥゥンッ!

 

 炎ではダメだと学習したのか? 巨大飛竜は右手の鋭利な爪を私に向かって振り抜いて来た。


 だが、私の右手によってピタッと止まる。


 序でに、右手の爪を全部へし折った。


『ファギュォォォァァッ!』


 巨大飛竜は悶絶するかのような絶叫を上げた。

 ......なんだ?

 今時の飛竜は、爪にも痛覚があるのか?


 間もなく、本気で怒った巨大飛竜。

 一旦、退くと......同時に巨大火球を連発で吐いて見せた。


 ボウッ! ボウッ! ボゥゥゥッ!


 三メートルはありそうな炎の大球が、私目掛けて超速で飛んで来る。


 びしっ! ばしっ! ボンッッッ!


 私は右手で、飛んで来た火球を往復ビンタの要領で全部左右に弾き飛ばした。


 刹那、


 ビュンッッ!


 今度は飛竜の巨大尻尾が怒濤の勢いで私に向かって、右から左に凪ぎ払おうとして来た。


 スパッッッ!


 面倒だから切ってやった。

 瞬間的にオーラブレイドを生み出して、私に向かって来た所に狙いを定め、逆に尻尾を切り落とした。


『グギャァァァァツ!』


 尻尾を切られた飛竜は......激痛に抗う事が出来ずに、のたうち回っていた。


「オーラブレイドも奇襲には使えるな。まぁ、これは剣聖杯でルミがフラウを騙し討ちしてるからわかるかもだけど、だ?」


「人聞きの悪い事を言わないでよっ!」


 補足する形で説明を入れた私がいた所で、ルミがすかさず喚いて来た。


「なるほど、私もこの技は覚えよう」


「フラウも感心してるんじゃないのっ! 何?『そのアイディア頂き!』的な顔はっ! やめなさいよっ!」


 一つ勉強になったと、ホクホク顔のフラウと、バカにされてる気がしてお冠になって騒ぐルミ。

 物語的に割愛されている為、今一つ分かりにくいかも知れないが、剣聖杯でフラウとルミは二回戦っていたりもする。


 対戦成績は一勝一敗だったのだが、この時にルミがフラウからもぎ取った一勝が、オーラブレイドでの一勝だった。


 オーラブレイドと言う切り札を隠して、フラウに奇襲を掛けた事がルミの勝因になった訳だな。

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