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女神と剣聖と勇者様【22】

 けれど、これからどうするのがベストなのか……私としても悩む。


 これまでの話しに出て部分で、ポイントだけを重複すると……まず、破滅の女神が『大昔に降誕していた』と言う部分が大きなネックだ。


 確かに破滅の女神は存在するし、実際にチアキの地下迷宮から再び目覚めている。


 しかしながら、目覚めた破滅の女神は、大人しい気質を持った清らかな乙女その物であり……かつてあったとされる、凶悪な姿は塵も欠片も存在していない。


 これだけで終わるのであれば『もう大丈夫そうなので帰りますね?』で、終わる話しだった。


 けれど、実際の所……清廉なる女神とも言えるパインの中には、未だ破壊の権化とも言えるだろう破滅の女神になるだけの爆弾を抱えていた。

 いつ、何処で、どの様な形から、破滅の女神としての姿へと豹変して行くのか分からない以上……パインをそのままにして置く事など出来ない。


 ……そうと、ココナッツ様は私達に主張している。


 次のポイントがここだ。


 パインが破滅の女神になる条件って、現状で揃っているのか? と言う話しだ。


 率直に言おう。


 既に、パインが破滅の女神になる得るだけの条件は『揃っている』と、私は見た。


 別に、酒代を払いたくないから、そう言っている訳ではないぞ?

 実は、ちょっとそこらも加味した上での忖度も多少はあるんだけど……そうではないぞ!


 かつてのパインが、破滅の女神になってしまった素因は……なんであったと思う?


 アダムの死だ。


 優柔不断な馬鹿が、結局自分の意思で片方を決める事が出来ず……結果、自殺をするとか言う、とてつもないやらかしを仕出かした希薄な精神の持ち主により、残された二人のイヴの一人……パインが絶望する事で起こった、強い憎しみと悲しみの果てに生まれた強烈な憎悪が、破滅の女神を生み出してしまった。


 そして、封印間際に深い眠りに就く事となったパインが望んだのが、再びアダムに出会う事。


 アダムは再びこの地に転生する。

 いつになるのかまでは分からないが……いつか、きっと、ここキータの地に戻って来る。


 そして、深い眠りに就いたパインが、長い永い時を経て、神話の時代から現代の世に変わってようやく目を覚ましたのだ。


 そんな彼女の近くには、ミナトとか言う少年が居る訳で。


 そして、パインはミナトと言う少年の近くにいる事を、みずから好んで行っている。

 恋愛感情を封印され、相手に恋情を抱く事が出来ない筈だと言うのに……しかし、彼の自宅に住んでいた。


 この二つを組み合わるのなら……もう、答えは一つしかないだろう。


 ミナトはアダムだ。


 かつて、神話の時代にやらかしてくれた事で、清廉な女神を破壊神も真っ青な惨状へと仕立て上げた立役者の一人でもある。


 その時に、せめて片方を選んでいてくれたのなら、この様な事にはならなかったと思うし……面倒な事をしてくれた物だと、私は呆れて物も言えない状態ではあるんだが……まぁ、ここは大目に見よう。


 起こってしまった事をあれこれ考えた所で、建設的な思考なんぞ生まれる筈がないからな?

 ここは、もっとしっかりと、これからの事を真剣に考えた方が、より建設的であり、健全だ。


 ただ……ここでも困った事がある。


 当時のアダムが好きだったイヴはもう一人いた筈だ。


 ここまで述べたのなら、もはや答えを言っている様な物だろう。

 

 ……そう。

 ココナッツ様が、もう一人のイヴと言う事になる。


 すると……どうなるだろう?


 奇しくも、かつて破滅の女神が降臨した役者が、この時代で揃ってしまった事になってしまうのだ。


 よって、ココナッツ様は大きな憂慮を示しているのだ。

 

 今すぐ……直ちに、破滅の女神が降臨する事はない。


 しかし、もし……もしも、だ?

 なんらかの理由で、再び転生したアダムが……ミナトが不慮の死を遂げてしまった場合、どうなるのだろう?


 まだまだ若い少年が、早々簡単にくたばる様な事はないかも知れないが……反面で、私はミナトに対してかなり気になった部分がある。


 彼の態度が、かなり世馴れている所だ。


 見た目は地元の高校に通っていてもなんらおかしくない程度の年齢ではあるが……もう既に社会へと出ている可能性がある。

 少なからず、そう言った行動をナチュラルに見せている……と、私には思えてならなかった。


 そして、一番気になったのは……ココナッツ様が見せる何気ない変化を即座に察知して、無難な方向へと話しを持って行こうとしていた態度、それその物にあった。


 その態度が、実に冒険者臭い態度だったのだ。

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