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女神と剣聖と勇者様【18】

 ……う〜ん。


 何となくだが、私は思った。

 もしかして、パインと言う人物は余り信用性のない女神なのでは?


 思えばココナッツ様も腹黒いと言うか、その兆候を良く見かける。

 そりゃもうぅぅぅっ! うんざりするまでになっ!


「ちょっ……ミナトさん! 違いますよっ! 私をなんだと思っているんですかっっ! 本気でお巡りさんに手錠的な事を、この全てに置いて良識あるパインさんがやると思いますかっ⁉︎」


 パインは心外と言うばかりにミナトへと叫んでいた。


 すると、ミナトはニコッ……と笑みを爽やかに作りながら返答する。


「思うから言ってるんじゃないか」


 ……言い切ったよ。

 しかも、心からの笑みを朗らかに浮かべて。


 ………。


 やっぱりこの女神、全然信用ないんじゃ……?


「思わないで下さいよ! そんな事なんかしてませんからっ⁉︎」


 爽やかな笑顔で、ナチュラルに言えるまでに信用されていなかったパインは、瞳から虹が出てしまう勢いで涙を流しながらもミナトに訴えてみせた。


 ……何だろう? この、いきなりやって来た珍妙なコミカル路線は?

 ついさっきまであった、やたら感情的なシリアス路線とは別に……こっちはこっちで『どうしてこうなった⁉︎』と、言いたくなる様な空気が、無意味に出来上がっているのだが?


 ま、まぁ……と、ともかく!


 突発的に生まれた、謎のコミカルな空気を払拭すべく、私は二人へと口を開いた。


「私達は、確かに衛兵……いや、こっちの国では警察でしたか? ともかく、国の人間と言う訳ではありません。飽くまでも女神・ココナッツにより、この自宅にやって来た者です」


「……そうですか」


 私の言葉に、ミナトは一応の相づちを打った。


 そこからミナトなりにちょっと思案する。

 自分なりに、現状で起こっている出来事を整理したかったのだろう。


 果たして、ミナトは私へと答えた。


「良く分かりませんが……お巡りさんの事情聴取とかじゃないのなら、帰って貰えませんかねぇ……女神とかなんとか? まぁ、宗教的な物は、ちょっと俺には良く分からないんですよ? 実際にパインがアホな事をしたのであれば、俺も一緒に警察に行って、しっかりと事情聴取に付き添った上で謝りに行きますんで……」


 ……へ?


 私はほけ〜って顔になってしまった。

 

 地味に道理だったから困った!


 キータ国では、基本的に国家の治安を任されている専門の治安組織がある。

 ここは、まぁ……日本と同じと言った方が手っ取り早いな?

 つまるに、お巡りさんがいるのだ!


「いや……その……それは困ると言うか……」


 私は顔を思い切り引きらせて声を返した。

 ハッキリ言って笑えない。


 現状をありのまま答えたとするのなら、非があるのは私達の方になりそうであったからだ。

 しっかりとキータ国の法律に基づいた理由からパインの身柄を確保するのであればまだしも、単純に女神ココナッツの命を受けたから……では、拘束理由にはならない。


 むしろ、宗教的な事情で強行手段に出ている……なんて事となってしまった場合、お巡りさんに目を付けられるのは、私達の方になるだろう。

 よしんば、ココナッツ様が上手に取り次いでくれたといても、警察署へと連れられて行く危険性が高いのは、間違いなく私達であり……面倒な取り調べを受けるハメになるのは免れない!


 くそっ!

 流石は民主主義国家・キータ国民!

 しっかりと法律的な部分で攻めて来るではないか!


 けれど、法律上で言うのなら、パインを自宅に引き込んでいる時点で、アンタもお巡りさんに色々と尋問される立場じゃないのか?

 常識で行けば、自宅に女の子をお持ち帰りした時点で、一定の刑法に触れている可能性があるぞ!


 ……と、こんな事を考える私がいた頃、


「あのぅ……こんな事を俺が言うのもおかしいのですが……キータは法治国家なんですよ? 法律を犯したと言うのなら、俺も素直に『申し訳ない』と言うつもりはありますし、そこを否定するつもりもないんですが……失礼ですけど、あなた達はパインを拘束する理由と目的……その二つを『法的に』持ってないですよね?……その上で『本人の同意すらなく』拘束するって……もはや犯罪ですよ?」


 ミナトは困った顔のまま、更に私へと言って来た。


 ………。


 困った。

 確かにそこも道理だ。

 普通に痛い所を突いて来る。


 仮に私が、パインを自宅にお持ち帰りした事実をミナトに突きつけたとしても……否、むしろその事実を突いたのなら、間違いなくミナトはお巡りさんへと今の言葉を投げつけ、私達へと反論して来るだろう。


 つまり、ミナトもただでは済まない反面……私達もただでは済まないのだ!

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