表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1260/1397

女神と剣聖と勇者様【16】

 シズ1000とういういさんの口喧嘩はさて置き。


 この様な形から、既にチェック・アウトしていたういういさんと合流する事は叶わず……そのまま私達だけでパインの自宅へと向かう事になったのだった。


 こうして現在に至る。


「そうですか……えっと、それでどの様なご用件でしたか?」


 やや怪訝な顔をして私へと声を返す、黒髪美少女がいる現状に……だ。


「率直に要件だけを言おう……破滅の女神を拘束しに来た」


 私はやんわりとした笑みのまま答えた。

 ……まぁ、穏やかな顔をして言う様な台詞ではなかったんだがな?


 序でに言うのなら、実際にそこまでするのか? と言われたのなら、実はそうでもない。

 今回は軽い顔見せ……その感覚で来たのだ。

 

 仮に拘束と言うか、パインが一緒に来てくれると言うのなら、まずは色々と本人から事情を聞こうと思っている。

 私達が知っている情報は、ココナッツ様から聞いている情報のみだ。

 これでは余りにも一方的過ぎる。


 それに……なんと言うか、ココナッツ様は地味に心を許せない相手だからなぁ……。

 これら、ココナッツ様の狡猾さ加減を考慮するのであれば、パインの言葉にもある程度は耳を傾ける必要性があるだろう。

 

 つまるに『拘束』と、かなり強めの表現をしてはいるが、実際にはそこまで悪い事はしない。


「…………え?」


 私の言葉を聞いた彼女は、瞳を真ん丸にしながらも声を返す。

 その顔にはうっすらと困惑の色合いが含まれているのが、私の目からも見て取れた。


 無理もない話しか。

 この家に居ると言う事はパインと同居しているのだろう。

 どの様な経緯があったのかまでは知らないけど……家族同然の様に暮らしているんじゃないのか?

 そうであれば、いきなりパインを拘束する! なんて言われたのなら、絶対に困惑するし……なんとかして私達を止めに入るに決まっている。


「分かりました! お手柔らかにどーぞ☆」


 …………おい。


 彼女はにこやかな笑みを浮かべながら、自宅へと招く様な素振りを見せ、普通に私達を遠そうとしていた。


 いや、少しは抵抗しとけ? 

 何がどーなると、その様な態度を取る様になるのかは知らないけど、薄情過ぎるだろうが!


「なんで通すんです? リオさん?」


 程なくして、自宅の方から声がした。

 声の主は……渦中の存在でもあるパインだ。


 こないだパッと見た時も思ったのだが、やっぱりココナッツ様そっくりだな。

 シズ1000の話しから、二人は双子の姉妹である事を聞いていたから、今では割と腑に落ちている内容ではあるんだが、それでもやっぱりメチャクチャ似てる。


 正直、同じ格好のまま隣に並ばれて、シャッフルさた日には、どっちがどっちなのかマジで分からないぞ。


「……リオさんなら、私がここにいる事を黙ってくれると信じておりました……例え、私が『どんな女神』であったとしても……です」


 パインとココナッツ様の対比なんぞを軽く考えていた頃、パインが悲壮的な表情を作りながら黒髪の彼女へと声を吐き出していた。

 話しの流れ的に行くと、黒髪美少女の名前は『リオ』と言うらしい。


 よし、リオだな?

 短い名前だし、きっとこの程度なら覚えられるだろう。


 ……多分っ!


「………」


 悲壮的な顔になって答えたパインがいる中、リオは目を下に下げ、顔を俯かせた。


 程なくして、リオは俯かせていた顔を上げ……一念発起する形でパインへと語気を強めて叫んでみせた。


「黙っている? 冗談でしょ? だって、パインさんはこの世界に危機を及ぼす、危険な女神なんでしょう?……そんな怖い相手が自分の家にいるなんて耐えられる訳……」


 やたら感情的に叫ぶリオであったが、そこで言葉が止まってしまう。


 理由も簡素な物だ。

 雑言とも言えるリオの言葉を耳にしていたパインが、瞳から大粒の涙を流し始めたからだ。


 どうなっているんだ?

 事情を知らない私にはサッパリだ。


 もちろん、アリンやユニクスだって分からないだろう。

 見れば、アリンやユニクスも、突発的に始まったリオとパインの二人によるドラマティックな現状に、大きく戸惑っている様子だった。


 実は私も以下同文であって。

 本当、二人の間にどの様な不破が発生した結果……かくも感情的な対話をする形になったのか? もはや、当人達からしっかりと話しでも聞かない限りは無理だった。


「…………」


 パインの涙を見た瞬間、リオは思わず絶句する。

 表情を見る限り、パインを傷つけてしまった自分がいた事に、大きく後悔しているかの様な表情をアリアリと見せていた。


 実質、リオの性質は決して悪い方ではないだろう。

 守護霊は綺麗な物だ。


 ……時折、地味に黒ずんでいる部分がある様にも見えるが……うむ! そこは愛嬌だな!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ