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女神と剣聖と勇者様【15】

 女神様の事情はさて置き……私は、自宅玄関前に呼び鈴の様な物が設置されている事に気付いた。

 これを押せと言う事なんだろう。

 余り裕福な家庭には見えないが……この世界では珍しいインターホン機能を設置している時点で、この自宅に女神様が住んでいる可能性は濃厚だろう。

 こんな特殊な魔導力をしれっと当然の様にみせている時点で、この世界の相場を考慮すれば、普通ではないからだ。

 

 私はインターホンなのだろう、呼び鈴のボタンを押してみた。


 すると、


 ピンポォーン☆

 

 ………。


 冗談みたいな呼び鈴の音が鳴った。

 厳密に言うと、呼び鈴風味にした、女性の声がした。


 これは一体、どんな冗談なのだろう?

 きっと、このインターホンを作成した人物は、遊び心満載で作ったに違いない。

 

 インターホンを鳴らして間もなく、ドアの向こう側から『トタトタ』と、小走りに近付いて来る音が聞こえて来た。


 玄関ドアが開いたのは、そこから間もなくの事であった。


「はいはいぁ〜い! 朝も早くから朝刊の勧誘とかならお断りしますよ〜?」


 ガチャッ!


 やたら快活な声とほぼ同時に、玄関ドアが開いた。

 どうやら、私達を新聞の勧誘か何かを勘違いした模様だ。


 余談だが、現在の時刻は朝の六時半になろうかとしている所。

 こんなに早くからやって来る新聞勧誘の人間なんて居ないと思うぞ……?


 地味にボケた行為を平然とやってのけた人物は、黒髪の美少女だった。

 なんと言うか、この辺では余り見掛けない顔と言うか、人種だな?


 基本的にキータは、金髪や銀髪の人種が多い。

 まぁ、寒い場所だからな? 結果的にそうなる。

 肌の色も白い傾向にあるのだが、そこらを考慮した上で行くと、彼女はちょっと褐色系の色合いがある感じだな?

 

 ただ、全体的に言うと顔立ちの整った美少女と表現する事が出来る。

 地味にボケた台詞を臆面もなく語っていたが、顔立ちからすると、何処か利発そうではある。


 そんな彼女であったのだが、


「……? どちら様?」


 私達の顔を見て、小首を傾げながらも尋ねて来た。

 どうやら、新聞の勧誘ではないと言う事には気付いた模様だが、私達がどんな目的でここに尋ねて来たのかまでは分からなかった模様だ……そりゃそうか。


 しかしながら、彼女なりに何か思う所はあったらしい。

 私達……と言うか、ココナッツ様の姿を見た瞬間にハッ! っと息を飲む様な態度を一瞬だけ示していたからだ。


 ……ふむ。

 その態度を見る限り、決して『全く知らない』と言う訳でもなさそうだな。


「いきなり大人数で押し寄せて、驚かせてしまった事はすまないと思っている……本当はういういと言う剣聖も来る予定だったんだが、ここに来る途中でみかんのパーティー……まぁ、ういういさんがいつも冒険をしている連中と合流する事になっていてな? 今回は不在だが、後で来るかも知れない。またぞろぞろとこの家にやって来たらすまん……とだけ、先に謝って置こう」


 私は努めて友好的な笑みを作りながら答えた。


 余談になるのだが、実はういういさんもこっちに来る話しになっている。

 昨日……ういういさんがチェックインしていたホテルへと押しかけて行ったのは知っていると思うのだが、その時にういういさんもこちら側の人間として協力してくれる手筈になっていた。


 よって、本来であるのなら、この時点でういういさんも一緒にパイン宅へと向かうと言う事にもなっていたのだが……見事にもぬけの殻だった。


 何なら、既にチェック・アウトしていた位で……その後、ういういさんが何処に向かったのかはサッパリ分からなかった。


 ただ、ホテルのスタッフさんの話しを耳にする限りだと『お知り合いの方と一緒にチェック・アウトしていたみたいですよ?』との事だったので……そうなると、みかん達がういういさんと合流したと言う可能性が濃厚なんじゃないかと予想している。


 ういういさんの話しを聞く限りだと、どうやらみかん達パーティーは、この街にあるチアキの地下迷宮を攻略していたみたいだからな。


 話しによると、この『チアキの地下迷宮』には、裏ダンジョンなる物が存在するらしく、難易度が半端なく高くなる反面、かなりレアなお宝が多数眠っているとの事。


 よって、ういういさんもみかん達と一緒に裏ダンジョンを攻略していた。


 だが、ちょっとしたアクシデントが発生したらしく、ういういさんだけ一足先にダンジョンから外へと出ていたらしい。

 シズ1000の話しによれば『ういういがドジってワープ・トラップに引っ掛かっただけ』らしいのだが……そこらは敢えて聞かない事にした。


 厳密に言うと、余り詳しくは聞く事が出来なかった。

 その話しをしながら『プッ!』っと失笑していたシズ1000と、地味に口喧嘩を始めていたからだ。


 本当に、この二人は事あるたびに同じ感じで喧嘩をしているんだよな……良く飽きない物だ。

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