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女神と剣聖と勇者様【8】

 細かい事はさておき。


 シズ1000の話しは、今から五千年前から始まっていた。


 今から五千年前と言うと……黄金島の百年迷宮にて出て来たハロー彗星の脅威によって、世界が滅亡してしまった時の話しだ。


 ハロー彗星に関しては……まぁ、ここまで読んでいるのだから、もう説明する必要はないな?

 五千年に一回周期で自分達の世界にやって来ては、世界に脅威を与える凶悪な彗星だ。


 当時……ハロー彗星によって、完全に滅亡してしまったキータ国は、死の大地と成り果てていた。


 この地に、新たなる命の息吹を根付かせたのが……なんと、りんごだ。


 これには私も少し驚いた。

 まさか、神話レベルの話しに、りんごの名前が上がるとは思わなかったんだよ。


 まぁ、りんごはみかんの妹だしな?

 連中に時間の概念なんて、最初からないに等しい事を考慮するのなら……うん、難しい事は考えない様にしよう。


 りんごはキータの地に植物が育ちやすい環境を作り、大きな森を作り出した。


 ここはとっても理に叶っている内容だな?

 なんと言っても、この世界には魔力マナがある。

 

 自然資源とも言える魔力は、自然の恵みから生まれやすい。

 森林以外にも、海や川、肥沃な大地からも発生する。


 これらを考慮するのであれば、肥沃な大地にした上で、森林を作ると言う所から始めたのは、とても理に叶っていた。


 そこから、りんごは人間を生み出した。


 ……なんか、神様の様な事をしてるなぁ……オイ。


 ただ、ここらに関して述べるとかつての科学力と魔導力……つまり、古代の超技術があったからこそ、普通に生み出す事が出来たらしい。

 そう考えると、古代の技術ってのは素晴らしいよな。


 りんごは、それぞれ男児と女児の一人ずつを生み出そうとした。

 ……が、ここで思わぬ手違いが発生してしまう。


 元来、男女それぞれ一人ずつ……キータ国のアダムとイヴを生み出す予定だったのだが、どう言う訳か? 女児だけ二人生まれてしまったのだ。


 この手違いが、後に大きな問題を引き起こす事になってしまう。


 月日が流れ、一人の男児と二人の女児はスクスクと成長し、大人になって行く。


 そして、アダムとイヴの二人は結ばれ、その子孫達がキータの新しい住民となって、文明を築いて行く……と、こうなる筈だった。


 しかしながら、ここで問題が発生したのだ。

 先も言った通り、男は一人しか居ないのに、女は二人。


 別段、一夫一婦制と言う訳でもないのなら、一人のアダムと二人のイヴが、そのまま結ばれてしまえば良いだけの様な話しにも思えてならないのだが……ここで、りんごが面倒な事を言ってしまったらしい。


 なんと、アダムにめとられなかった方のイヴは、りんごと一緒に違う地方へと旅立つ形を取ってしまったのだ。

 どうして、こんな面倒な事をしてくれた物かね?

 別に、双方……と言うか、三者が結ばれると言う形で良いのなら、それで構わなかった筈だと言うのに。


 これが、更なる悲劇の幕開けとなってしまった。


 アダムは、二人のイヴの内、一人を選ぶと言う究極の選択を迫られてしまったのだ。


 ……そう。

 それは、アダムにとって究極の選択とも言えた。

 

 生まれた時からずっと一緒にいた、二人のイヴ。

 互いに気心も知れた仲でもあったイヴを、アダムはどちらも愛していた。


 どっちがどうと言う訳じゃないし、どちらかを選ぶと言う事も出来ないまでに。


 地味に優柔不断な話しではあるな? ここはスパッと、男らしくどちらか片方を選べと言いたくなる。


 けれど、アダムは人一倍の愛情を双方のイヴに持っており、とても決められない。


 その顛末に、アダムが選んだのは……自殺だった。


 中々に壮絶と言うか、なんと言うか。

 ともかく、どちらか片方を選ぶぐらいであれば、死んだ方がマシだと思ったんだろう。

 そう考えるのであれば、アダムがどれだけ二人のイヴを愛していたのかが分かる……かも知れない。


 私的に言うのなら、これが彼女達を愛した真の愛情と形容したくはない気持ちもあったりするんだけどな?


 だって、そうだろう?

 アダムはイヴを一方的に愛していたのか?

 ……違うだろう?

 アダムが愛してまなかった一方、イヴもまた、アダムの事を心から愛していたんだ。


 そんな彼が、自分から自殺したんだぞ?

 しかも、その理由が彼女達にあったのなら……どうなるよ?


 確実に絶望するんじゃないのか?

 あるいは、イヴ達なりに責任を感じて、自分を大きく責めてしまうかも知れない。


 事実、二人のイヴは大きな悲しみの淵にあった。


 ……そして、強い愛情があった故に……二人のイヴの内、一人が強い憎悪の感情を抱いてしまったのだ。

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