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キータ国とドーンテン一族と勇者様【23】

「え?……いや、その……ユニクスさんの力は、もう既に分かったので……無理に余計な体力を使わせるのは申し訳ないと思いまして……」


「そんな事で気を遣う必要はありませんよ? それより、ココナッツ様! あなたは間違っている! よりにもよって、あのリダ様の……何よりも尊く、尊大なリダ様の備品を懸けた大一番で、どぉぉぉしてあの様な木偶でくぼうが相手なのですか! これはリダ様への冒涜です!」


 ……どうしてそうなるんだよ……?

 あたしゃ、お前の価値観に驚く事しか出来ないんだが?


 一見すると冗談を言っている様にしか聞こえない台詞なのだが、ユニクスは至って大真面目に言っているんだろう……だからこそ、私は頭痛薬が恋しくなる。


「分かった、ユニクス。取り敢えず試験は終了。お前の強さはちゃんとココナッツ様に証明されたし、お前に私のボンボンもちゃんとやるから、それで納得しとけ」


 素直に物を言うのであれば、こんな事の為にわざわざ私が仲裁に入るのもバカらしいのだが……これでも今回はヤツのお供としてこの場にやって来ている。

 何よりキータ国を代表するのだろう始まりの女神に対して妙な因縁を吹っ掛けているだろうユニクスの態度は、トウキの恥だ。


 ユニクスのせいで、トウキ帝国の人間はみんなオツムがおかしい人間と勘違いされてしまったのなら、溜まったモノではないからな!


 思った私は、右側にあったボンボンを外しては、ユニクスへと手渡す。


「……し、仕方ありませんね! きょ、今日の所はこれで納得して置く事にしましょう!」


 私からボンボンを貰ったユニクスは、ホクホク顔になって素直に引き下がった……やれやれ、だ。


「恥ずかしい所を見せてしまいましたね、ココナッツ様……ユニクスも普段はもう少しまともな性質を持っていたりするのですが……たまに壊れてしまうのです。非礼をお詫び致しましょう」


 私は間も無くココナッツ様に対して頭をゆっくり下げた。

 ……正直、下げたくもない頭を下げる羽目になってしまった感は否めないのだが……これでも私は会長をしているからな? 部下の為に下げたくもない頭を下げる事に関して言うのなら、結構慣れているのさ。


「全く構いませんよ?……むしろ、私もあなた方を見くびっていた非礼をお詫び致しましょう……そうですね? 次の相手は、私が自ら試験官として試験の相手をさせて頂こうと思います」


 ………は?


「いや、その、あの、ココナッツ様が直々に、ですか?」


 しかも、最後の私だけ?

 いやいやいやっっ!


「そ、そんな……お気遣いなくっ!」


 私は両手をバタバタッ! っと全力でブンブン振りながらも叫んでみせた。

 同時に私は額に怒りマークをくっ付けた状態で、軽くユニクスを睨んだ!


 元を正せば、コイツがよけーな事を言わなかったのなら、私だってココナッツ様が召喚して来た、クリーチャーみたいな魔導人形とたわむれるだけで終わったと言うのにっっ!

 

「ははは……あのぅ……ココナッツ様? リダ様の実力は折り紙付きと言いますか、そこまで厳しく試験をする必要はないと思いますので、試験内容も同じでよろしいかと?」


 私に睨まれたユニクスは、口元をヒクヒクさせながらもココナッツ様へと提案した。

 一応、自分なりに悪い事をしたと、引け目は感じているらしい……うむ! 存分に反省しろっ!


「お? か〜たまなら、女神しゃまでも勝てる……むぐぅっ!」


 直後、キョトンとした顔になって口を動かすアリンちゃんがいたので、ソッコー口元を押さえた!

 この子わっ! なんて面倒な事を言ってくれちゃうのっ⁉︎


「あは……あはははっっ! アリンちゃんはまだ三歳なんで! そ、その……視野が狭いと言いますか、見解がまだ未成熟なんですよ! はははははっっ!」


 直後、私はすかさず笑いながらもココナッツ様へと叫んだ。

 ビミョーに笑って誤魔化している感じは否めないけど、ココナッツ様だって三歳児の言葉を間に受ける様な存在でもあるまい!


「そうですか、分かりました。それでは私がお相手致しましょう!」


 間に受けたぁぁぁぁぁぁっっっ⁉︎


 私は、内心で『ガーンッッ!』って顔になってしまった!


 いやいやいやっ!

 なんで、この女神様は三歳児の言葉にちょっとカチンと来てるの?

 しかも、安っぽい挑発以下の言動だったのにっ⁉︎


「さぁ、リダさん? 中庭の中央にいらして下さい?……大丈夫です。痛くはしませんから?」


 そうと答えていたココナッツ様の目は地味に座っていた!

 いや、これ、絶対に嘘! 絶対に痛いヤツ!

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