キータ国とドーンテン一族と勇者様【20】
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突発的に自殺しようとしたユニクスのせいで、無駄な時間を消耗してしまった私達であったが、どうにか宥める事に成功した私達は、ココナッツ様の試験を受ける事になった。
不合格であった場合は、もちろんトウキへと帰る事になる。
……わざと不合格になって、サッサと帰ると言うのも手だな。
「ちなみに、わざと不合格になろうとしている困ったちゃんには、それなりのお仕置きもあります……そんな事は万が一にもないとは思いますが、そのつもりで試験を『ちゃんと受けて』下さいね?」
………。
ヤベェ……バレてますがなっ!
仕方ない……ちゃんと受けるか。
そもそも、ココナッツ様が一定の試験をするのも、私達の身を案じてくれているからだ。
それだけ危険かつ熾烈な戦いになる可能性が濃厚であるが故に、私達が死亡する危険性が高いと認識した場合は、今回の一件は素直に辞退して貰う……と、この様な趣旨があるに違いない。
もちろん、わざと不合格を貰おう……とか言う、不心得者の為に作った試験ではないのだろう。
……でも、私の場合合格しても、御褒美がないんだよな。
「ああ、リダさんが合格した時は、豪華! キータ国の地酒を『好きなだけ召し上がる』と言う……」
「受けます! いやぁ! メチャクチャ楽しみなんですけど!」
私はココナッツ様の言葉が終わらないうちに、ソッコーでOKサインを出した!
つか、最初からその言葉を言って欲しかった!
ショタ系美少年を用意するとか……もう、色々と倫理的にアウトな事じゃなくてさ? そう言うので良かったんだって!
え? お前は未成年じゃないのか?……って?
本当の私は会長だぞ? 社会人だぞ!
実年齢は言わないけど、未成年ではないとだけ断言して置こう!
そう言う事なので、私は法律的にも飲酒可能な年齢なのさっ!
さぁ、浴びる程、飲んでやろうではないかっっっ!
俄然やる気に満ちた私がいた頃、
「真面目にやって頂けるのであれば、私はそれ以上の事は申し上げません」
ココナッツ様はニッコリ微笑みながらも私に答えていた。
「ええ! 俄然、ファイトが沸きました!」
私は瞳をキラキラさせながらも頷いた。
「……アリンは心配なんだお……飲んだくれのか〜たまが、両手をプルプル震わせながら『アリン! 酒をくれ!』と、強請って来る未来がやって来るのが、ものしゅごぉ〜く心配なんだお……」
その一方で、アリンが下世話な心配をしていたんだけど、私の鼓膜にアリンの言葉が入る事はなかった。
つか、そう言う余計な心配とかしなくて良いから……そろそろ、試験とやらを始めようじゃないか。
さっきから、ユニクスが暴走したりして……無駄に時間が過ぎてるんだよ?
折角、早朝に空間転移魔法で、素早くキータへとやって来たと言うのに、気付けば太陽がしっかりと昇っている。
時間に余裕があったのなら、破滅の女神と戦う前に少しばかりキータ観光でもしてから行こうかと思っていたと言うのに……ユニクスのお陰で台無しだった。
全く……どうした物か。
「では、ココナッツ様? 私達はどんな試験を受ければ良いのですか?」
ともすれば、お昼までには終わるかも知れないし、そうなればキータ観光だって可能だろうと思っていた私は、やや急かす感じでココナッツ様に尋ねると、
「そうでしたね?……では、こちらに」
温もり漲る太陽の様な笑顔を浮かべながらも、私達を案内して行った。
こう言う顔をしている時のココナッツ様は、本当に女神としか形容出来ない。
事実、女神様であるのだから、当たり前と言えば当たり前か。
広くて立派な神殿を進むと、途中で信者と思われる人と擦れ違うのだが、それらの全てが深い敬愛を込めてココナッツ様に会釈をしていた。
ここから考えても、ココナッツ様はこの神殿の最高神であり、心から愛されているんだと言う事が分かる。
そんなココナッツ様を守った勇敢な戦士が、私の先祖なのかと思うと……なんだか、少しばかり誇らしいな?
特にそこまで興味と言う興味を持たなかった私のルーツだが、この時ばかりは幾許かの興味を持った。
今度、暇な時にでも、自分探しの旅をするのも悪くないのかもな?
自分の先祖達が住んだ……このキータに、さ?
……と、この様な事を考えつつ歩く事、五分程度。
神殿の中庭らしき場所に案内された私達は、
「ここの中央に一人ずつ立って下さい。試験は、あなた達の誰か一人が中央に立った時点で開始されます」
ココナッツ様の説明を軽く受ける事になった。
なるほど、一人ずつ……か。




