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キータ国とドーンテン一族と勇者様【5】

 ……もうね? 確定事項だと思っているよ。


 毎回マイカイまいかいmaikai! 本気で毎度毎度、面倒な事に首を突っ込むのは本意ではないのだっ!


 特に? 今回はどこをどう見ても、勇者・ユニクスの問題だ。

 そこに会長の私は一切の関与しない!

 今回に関しては特段私が行く理由も生まれていないしな?


 だから、ここは『触らぬ神に祟りなし!』で行こう!


 最初から関わる事なく、静かな無視を続ければ良いだけの話しであって……何も自分から面倒事に身を投じる必要性は塵も芥もなかった。


 よって、私は意図的にフラウとルミを称える感じの話しをしていたのだが、


「……ねぇ、リダ? もしかして……何か隠してない?」


 フラウが片眉を釣り上げて言う。


「そうだよねぇ? どう考えても、リダは『面白い事』を隠してるよねぇ? どーせ、また……自分達だけで楽しむつもりなんでしょう?」


 他方のルミも、怪訝な顔をして私へと声を吐き出して来た。


「……別に、何も隠してはいないさ……てか、そんなに気になるのならユニクスにでも聞いてみろよ? 私は無関係だし」


 完全に『私はあなたを怪しんでおります』オーラを全力で吐き出しながらも私へと視線を向ける二人に、私は両手を振りながら『何も知りません』のポーズを取って見せる。


「………」


「………」


 すると、二人はそのまま押し黙ってしまった。


 ただ、互いに何か思う所があるのだろう。


 少なからず、何かを思い付いたのだろうフラウは、


「なるほど、分かったよ。それじゃあユニクス姉に聞いてみる!」


 小走りに校舎の方へと向かって行った。


 他方のルミは、


「……ま、良いか。なんとなく痛そうだし」


 地味にヘタレた事を言っていた。

 

 きっと、あれこれ考えた結果……痛い思いをしそうだからヨシ! と言う答えに辿り着いたのだろう。

 普段の私であれば、ルミのヘタレ根性を叩き直してやりたい衝動に駆られてしまう所ではあるのだが……今回に関しては、そのチキン精神を買ってやろう。


 私も痛い想いをしたくはないからだ!


 ……以後の私達は剣聖杯で違いの健闘を讃えあう形で下校して行った。

 既にユニクスの話しはしなくなっていた。

 もちろん、そのユニクスを何処かに連れて行ったのだろう匿名希望の女神様の話題も。


 イシュタル様の事だ。

 きっと、ユニクスとウノでもしたかったに違いない。


 今頃は、ユニクスの部屋でウノの大連戦を行い、大連敗の末に涙と鼻水をブワッ! っと出しているのだろう。


 なんとなく無理がある様な気がするんだけど……あながち間違いでもない可能性だってあるから……なんと言うか、複雑である。


 そんなこんなで、私達は下校し……学園寮にある自室へと戻った。

 以後は、他愛のない日常と言える。


 特筆する事すらないだろう、変哲知らずの時間が普遍的に……


 コンコンコンッッ!


『リダ様! いらっしゃいますか! ユニクスです! あなたの琴線に触れる最愛の忠臣こと、ユニクス・ハロウであります!』


 ……続いて欲しかったなぁ……全くもうぅっ!


 夕食を作り、アリンとシャワーを浴びさせて、髪の毛をブラッシングしていた頃……やたら派手なノックと、不快指数が急上昇してしまう台詞を声高に叫ぶユニクスの声が、扉の向こうから聞こえて来た。


 防音ではないにせよ、結構厚みのあるドアだと言うのに……部屋の向こう側にいても聞こえて来るとは……どんだけ無駄にデカい声を出してるんだよ、お前は!


「分かった分かった! 今すぐ行くから、近所迷惑な勢いで喚くな!」


 近所と言っても、隣はルミの部屋だったし、その周辺も同学年の女子がいるだけではあったが……どの道、迷惑である事にはたがわない。


 思った私は、ブラシを机に置いてから、小走りに自宅の入り口ドアへと向かった。


 ガチャッ


「リダ様! 事件です!」


 バタンッ!


 私はドアを閉めた。


 コンコンコンッッ!


「いや、リダ様! 今回はマジです! 本当の本当に事件なんです! あの女神、やっぱり私に面倒な事を頼んで来やがりました! こんなの私だけでは絶対の絶対に無理なんです! 助けて下さいよぉぉぉぉっっ!」


 ドアを閉めた直後、半ベソ状態になったユニクスが、半狂乱状態で叫びながらも自室ドアをノックしまくって来た。


 ガンガンガンッッッ!


 更に強く叩いて来る。

 

 ガチャッッッ!


「えぇいっ! 喧しいわぁっっ!」


 余りにもうるさいので、額に怒りマークを付けて叫ぶ私がいた……直後、


 シュバッッ!


「……なぬ?」


 私は目がテンになってしまった。

 ドアを開けた瞬間、私の両サイドにあるツインテールの髪型が揺れる勢いで、風が吹いた。


 程なくして、風が生まれた原因が、ちゃっかりアリンの髪の毛をブラッシングしている姿があった。


 ……そこまでして私の部屋に入りたいのか、貴様ユニクスわぁぁぁぁぁぁっっ! 

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