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キータ国とドーンテン一族と勇者様【4】

 ……よって、私は丁重にお断りした。


 尤も、それでも食い下がって来たんだがな?


 ……よって、私は奥の手を行使した。

 本当は使いたくはなかったのだが……アリンも大変そうだったからなぁ……。


 自分の意思なんてお構いなしに、強引な勧誘をされ……目を回している様な有り様だった。

 挙句『アリンは、冒険者になる予定はないお? お人形さんを愛でるコレクターになるんだお!』とかって、残念な将来の目標をしれっと言って来たアリンの言葉に『冒険者になれば、好きな人形を幾らでも買える様になるよ!』とかって、よけーな事を言って来た物だから、慌てて止めに入った。


 余談だが、この言葉を本気で信じたアリンは『アリン! 将来は冒険者になりゅっ!』……と、絶対に勘違いしているだろう台詞を、キラキラお目々で言っていた。

 確かに冒険者になれば、人形を購入出来るだけの報酬を得る事が可能だし、アリンの実力があれば欲しい人形を好きなだけ購入出来るだけの収入だって手に入れる事も可能だろうが……三歳にして、早くも自分の欲求に忠実な生き方なんぞさせる訳がない!


 ただでさえ、今のアリンは既に物欲の権化と化しているのだ!

 これ以上、今のアホみたいな物欲を増幅させる様な生活なんざ、させてたまる物かっっ!


 今以上に部屋が散らかるのはマジでごめんだっ!


 途中、私の本心がすこぉ〜しだけ出て来てしまった気がするが……そこはご愛嬌だ。


 どちらにせよ、アリンにとっても大変な一日になってしまった。

 恐らく、イシュタル様の方も大変だったに違いないのだが……ここに関してはそこまで心配はしていない。


 理由は簡素な物。

 多数のスカウトマンに囲まれた直後、煙の様に消えてしまったからだ。


 多分、空間転移魔法テレポートでも使ったんじゃないのかな……多分。


 身体は人間であっても、中身は女神様だからな。

 空間転移魔法ぐらいは普通に使えるのだろう。

 お陰で、スカウトの矛先がアリンに集中する羽目になり……かなりカオスな状態になっていたりもするんだが、余談程度にして置こうか。


「それにしても、やっぱりリダ達は凄いよね? なんて言うか、サラブレッドは血で走る的な?」


 こんな台詞を口にしていたのはルミだ。

 学園祭も終わった私達は、同じクラスに在籍していたルミ・ルゥ・フラウの三人とも、一緒に下校をしていたのだ。


 ここに居ないのはユニクスぐらいな物だろうか?

 ユニクスは三年だから、クラスはおろか根本的に学年からして違う。

 それでも、いつもなら何処からともなく現れては、一緒に下校するのだが……今回は全く姿を現さないな?


「……う〜む」


 私は少し唸り声を出して眉を捻る。


「……? どうしたのリダ? もしかして、便秘?」


 そんな訳あるか!


 やや悩む感じの表情を作っていた私へと、不思議そうな顔になってルミが声を掛けて来た。


「少し考え込んでいただけだ。それだけで便秘と勘違いするのはお前だけだと思う」


「そう? ねぇねぇ、フラウ? あなたはさっきのリダを見て、どう思った?」


「便秘だと思った」


 お前もかよ、フラウ!


 即座にルミから話しを振られたフラウは、何の躊躇をする事なく声を返して来た。

 揃いも揃って、私を何だと思っているんだ?


「じゃあ、なんだって言うの? リダが悩むのなんて、他は貧乳だって事ぐらいじゃないの?」


 悩んでないし、私は豊乳な方だ!


 フラウはかなり涼しい顔で答えて来た。

 そもそも、ペッタン子に貧乳の話しをされたくない。


「いや、ほら……ユニクスが居ないだろ?」


 地味に不本意な台詞を涼しい顔してナチュラルにほざいて来たのだが……私は敢えてスルーする形でルミやフラウの二人に答えると、


「……ああ、本当だ。確かにユニクスさんが居ないねぇ?」


 ルミはたった今気付いたと言う感じの声を返し、


「ユニクス姉なら、今回の四位だった人? ともかく、その一年の子に連れてかれてたよ? 私達が下校するのに気付いて、廊下で声を掛けようとしていたんだけど、一年の子? まぁ、名前も良く分からない子に背中から掴まれて、その後は猫の様につままれて……なんか、何処かに行ってたね?」


 フラウは指して興味もない口調で言っていた。


 ……ほう。


 恐らく……いや、ほぼ間違いない。

 ユニクスはイシュタル様に捕まったのだろう。


 どうしてそうなるのかは……一応の心当たりはあるかな?


「そうか……まぁ、その子には私も少しだけ知っている。ユニクスも悪い事にはならないだろうから……」


 フラウの話しを耳にして、私はそれっぽい事を言いつつ、


「それより、ルミもフラウも頑張ったな? 去年よりもかなり腕を上げていたじゃないか!」


 話しのベクトルを強引に変えていた。

 なんとなくだけど、関わったら負けだと言う思考が、私の中でデッカく生まれていたのだ。

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