リダさん、裏山探検に向かう【3】
......こうして。
「行けば良いんでしょ! 行けばっ!」
凄い不承不承ながら、私は放課後に裏山のダンジョン攻略に乗り出す事になって行くのだった。
●○◎○●
放課後。
「ここに来るのは半年振りですね。何だか少し懐かしいです」
「私はおとつい振りかなー?」
......とか言ってる、ユニクスとフラウの二人が、既にダンジョンの入り口で待っていた。
いや、特に構わないんだけどさ?
「お前ら......呼ばれてないのに、ちゃんと来れるって凄くないか?」
学校の授業が終わり、そのまま真っ直ぐ裏山に向かった私とルミ、パラスの三人だったが......しかし、普通にフラウとユニクスの二人はダンジョンの前で私達を待っていたのだった。
「もしかして、ルミが呼んだのか?」
「ううん? 呼んでないよ? てか、呼ぶの忘れてた。あはは~!」
......ですよね!
大丈夫だルミ。
私も普通に二人の存在を忘れていた。
しかし、そうなると不思議だ。
パラスがこの二人に声を掛けているとは思えない。
「......ふふ。リダ様の事を、この私が知らないと言う事はないのです」
......。
不敵に笑って言うユニクスがいた。
一体、どんな事をしてるんだよ......?
取り敢えず聞かない事にした。
聞いたら、怖い返事がやって来そうだったからなっ!
「まぁ、勇者が情報源だって事は分かったよ」
私はそれで納得する事にした。
「いや、ちょ......リダ様! 勇者と書いてストーカーと読むのは無理があります! せめて愛の成せる技と表現しては頂けないでしょうか!」
「爆発したいのか?」
「......」
ユニクスは静かになった。
どうやら、ダンジョン攻略前に爆発したくは無いらしい。
「てか、リダ。私達は友達でしょ? 友達を誘わないなんて水臭いと言うか......パラス様も一緒なのに、なんで私を誘わないのっ!」
そこで、機嫌を斜め45度にしてたフラウが非難がましい文句を言って来た。
最後は完全な本音に変換されていた。
「すまん。普通に忘れてた」
「扱いひどっ!」
爽やかに謝った私に、フラウはガーン! となる。
「もうぅっ! 私をのけ者にして、パラス様とあーんな事やこーんな事をしようと思ってたんじゃないの!」
いや......ないから。
プンスカ怒るフラウを前に、私の目がミミズになった。
「安心しろ......パラスはお前ので良いから。私は巨人にそこまで興味はないから」
「おい......俺は物じゃないぞ」
ミミズになった目のままフラウに言うと、今度はパラスが苦い顔になって口を開いて来た。
ああああっ! もうっ!
こんな調子じゃ、いつまで経ってもダンジョンに入れないじゃないかっ!
「もう、分かった! 分かったから、さっさとダンジョンに行こう! お前らに合わせてるとダンジョンの入り口で陽が暮れてしまうっ!」
そんなこんなで。
ダンジョン攻略は、私のダミ声から開始されて行くのだった。
●○◎○●
ダンジョンに入ると、直ぐに魔導ゴンドラが設置されてある場所に行き着く。
当然、私は初めてこのダンジョンに挑むので、このゴンドラを使う事はない。
生徒証をかざしても、一階すらクリアしてない私では、門前払いを喰らうのが目に見えているからだ。
「そう言えば、みんなは何処までこのゴンドラが使えるんだ?」
特に大した興味があった訳でもなかったんだが、取り敢えず聞いて見た。
この問いかけに、
「はいはい! ルミさんは、一階もクリアしておりません!」
元気良く、胸まで張って言ってた。
威張れない事なのに、凄く堂々と宣言してた。
「うん、分かってた。聞かなくても分かる茶番をありがとう」
「茶番にされたよっ!」
ルミは自分でボケてたのに、周り周って自分でツッコミを入れていた。
まぁ......姫はともかく。
「私は13階まで直通で行けますね」
淑やかな笑みを朗らかに浮かべつつ、ユニクスは私に言っていた。
「ふむ。なるほど、流石ユニクス」
「ここは練習用のダンジョンですし。そこまで凄い事でもありません......ああ、でも、リダ様からお褒めの言葉を頂けるなんて......もう、これはリダ様の心を鷲掴みに出来たと同義語なのではっ!」
「爆発するか?」
「......調子に乗りました、すいません!」
ユニクスは遮二無二謝って来た。
「私とパラス様は、12階かな? 噂になってる魔の13階に辿り着く直前なんだけど......最後のアレがねぇ」
フラウはちょっとだけ苦笑しながら言って来た。
......へぇ。
「お前ら二人が倒せない敵とかが出て来るんだな」
ちょっと意外だった。




