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加護と剣聖杯と勇者様【16】

 私の一撃を受けたユニクスは、殴られた勢いそのままに左へと吹き飛ぶ……が、


 ドンッッッ!


 吹き飛んだ数秒後に、素早く地を蹴っては私へと突進して来る。


 ……と、同時にハイキックを繰り出して来るが、


「甘いっ!」


 私は叫ぶ。


 やはり、レベルを6に上げたのは正解だったなっ⁉︎

 ユニクスの動きをしっかりと見定める様になっていた私は、スゥ……っとユニクスの蹴りを避け、


 ズンッッッ!


 そのまま腹部にストレートをお見舞いしてやる。


「ぐほぉ……わぁ……っ!」


 ユニクスの顔が大きく歪んだ。

 これまた、私的に会心の一撃と言える。


 完璧にボディを捉えたからな?

 この状態でノックアウトしなかったユニクスを褒めてやりたい所だ。


 ……否、違う。


 今の一撃で仕留める事が出来なかったのは……私にとっての危機ピンチだ。


 同時に私は思い知らせれるのだ。

 何者にも屈しない勇気……とか言う、べらぼうなスキルが、尋常ではない能力をユニクスから引き出して来る……と言う事実に。


 次の瞬間、ユニクスが……消えた?

 

 ドカァァッッッッッッ!


 思った直後に、私の身体が宙を浮いた。

 ……と言うか、飛んだ。


 何処を蹴られたのか? 

 自分でも良く分かっていない……。


 多分、アゴの辺りを蹴られたんじゃないのかなぁ……顎が死ぬ程、痛いっっ!


 正直、アゴが割れたんじゃ?……なんぞと、本気で思えてしまうレベルの激痛を受けつつ、


 シュンッッ!


「っ!」


 上空を真直角に飛んでいた私に合わせる形で飛ん来たユニクスが眼前に出現し、


 バキィィィッッ!


 そのまま、クルンッ! っと空中で一回転し、オーバーヘッド・キックの要領で私の顔面を蹴り抜いて来た!


 ガードすら出来ずに蹴り抜かれた私は、逆に地面へと叩き落とされる形になり、


 ズドンッッッ!


 闘技場へと落ちて行く。

 きっと、とんでもない大きさのクレーターが出来たんじゃないのだろうか?


 これ、場外負けなんて事にはならないよな?

 地面へと衝突する瞬間、闘技場のど真ん中に落ちて行く所は見えたので……まぁ、大丈夫だとは思うんだが。


 どちらにせよ、レベル6ではもう止められそうにないっ!


 思った私は、


 スーパードラゴン呼吸法ブレイズレベル7!


 更にもう一段階、レベルを上げて行く。


 正直、6を超えて来ると……何もかもが音速の壁を超えて、衝撃波を撒き散らす戦いになってしまうし、必殺の攻撃や魔法なんぞを使った日には、天体の形が変わる可能性すら予測出来る!


 出来れば、このレベルまでは上げたくなかったんだけどなぁ……くそっ!


 だけど、仕方ない!

 私は負けず嫌いなのだ!


 特にユニクスに負けるのは嫌だ!

 だって、あいつにはらまされるかも知れないからだっ!


 もうぅ……考えたくもないけど、ユニクスだったら、絶対に人のみさおを狙って来るに決まっている!


 ハッキリ言って、私的に洒落にもなってない話だった!


 ボンッッッ!


 スキルのレベルを一段階上昇させた所で、巨大クレーターになっている部分から飛び出した私は、


 ブンッッッ!


 八体の自分を生み出す。

 残影連脚と言う技があるのだが……その技の応用だな?


 二体が四体、四体が八体になり、八体へと分裂した私が一気に相手へと蹴りを叩き込む技なのだが、今回は違う。


 八体の私が全員でユニクスへと『一斉攻撃』してみせる。

 

 あの当時の私だと、蹴りを叩き込むと言う一撃を行うので精一杯だった。

 ……だが、今は違う。


 しっかりと、八体の残影を残した状態で、常時攻撃をする事が出来る!

 つまるに、これは……分身を使っている状態と全く同じ!


 ……まぁ、本体は一体しか居ないし、実際には八人を『私一人でやっている』だけではあるんだがな?


 しかし、今のユニクスには『八体の私』がいる様にしか見えないだろう。

 この技を見よう見まねで使う事が出来るユニクスの場合、この技の種を知っている為、本来の私が一人しか居ないと言う事は、間違いなく知ってはいると思う。


 思うが……


「どうだ、ユニクス? お前に『私の本体が分かる』か?」


 ……私はニヤリと笑って言う。

 

 同時に他の七体もニヤリと笑った。


 ……ふぅむ。

 どうやら、本体と分身との間にタイムラグがあるんだな?

 これは、気付かれたら……簡単に本体わたしを見付けられる危険性がある。

 

 うむ! 無表情になっておくか!


「………」


 ユニクスは何も言わない。

 不敵な笑みを作りながら……ただ、八人の私を見据えるだけだ。


 なんとも不気味な状態ではある。


 果たして、ユニクスは私の本体を見抜いているのか?

 ……それとも、見抜いてはいないのか?


 なんとも微妙なニュアンスを受ける態度のまま、ユニクスは呼吸を整えながらも構えを取ってみせた。

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