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加護と剣聖杯と勇者様【3】

 ……いや、違う!


 これは瞬間移動をしている『様に見える』じゃない!

 本当に瞬間移動してるぞ!


「チィッ! マジかよぉっ!」


 私は大きく舌打ちし……底無しに後悔した!


 スーパードラゴン呼吸法ブレイズによる、レベル1の差はハチャメチャに大きい!


 大きいなんて物じゃない!

 もはや、絶望的な差があると述べて良い!


 この時点で、私とアリンとの間にある差は圧倒的だと言うのに、その上……瞬間移動までして来るとか……もはや、笑えない!


 私はアリンの攻撃を、避ける事はおろかガードすら出来ずに喰らいまくる!


「こないだ買って貰えなかった新ハーピーちゃんの恨み! そして、これは最後まで楽しみに取って置いたウィンナーを途中で食べられた恨み! 最後は、居眠りしてたら額に肉って書かれた恨みなんだお!」


「待て! 最後の部分は私ではなく、やったのは担任のリーナだぞ!」


「それを止めなかったから、か〜たまも悪いおっ!」


 ドコォォォッッ!


 はぐわぁっっ!


 最後は地味に理不尽な台詞を叫びながらも、私を思い切り蹴り飛ばして来た!

 予想はしていたけど、私は何も出来ない!

 瞬間移動と言う反則技があったからと言うのもあるのだが、レベル3とレベル4とでは、大人と子供以上の差が生まれてしまうのが致命的だった!


 もう……ズドンッッッッ! っと上がるんだよ!

 

 ハッキリ言って、手も足も出ない状態だった私ではあったが……それでも何とか耐えて見せる。


 正直、このまま耐えても攻撃に転じる事なんて、出来そうな雰囲気すら全くなかったけどなっ!

 けれど、このまま簡単に負けるのは、母親としてしゃくじゃないかっ!


 だって『見事にボコられて終わりました』……じゃ、恥ずかし過ぎるだろ⁉︎

 天下の会長様ラスボスだぞ! 私はっ!


 唯一、助かっているのは、補助スキルによる高速治癒能力が、アリンの猛攻にギリギリ耐えられるスピードで回復してくれている……と言う事だろうか?


 かなり前に述べている事なので忘れてしまっている方もいるだろうが……実は、龍の呼吸法は発動者を徐々に回復させる能力が存在している。


 簡素に言うと、リジェネの様な効果だな?

 また、スーパードラゴン呼吸法ブレイズの域に到達すると、反則的に治癒スピードが上昇するので、ダメージを受けてから数秒もあれば自然治癒してしまう。

 まさに驚異的な治癒能力とも言えるのだが……ハッキリ言えば、受けるダメージが一撃で致命傷なら無意味なスキルでもあるし、治癒速度以上のダメージを受ければ、やはりやられてしまう。


 ……そして、その事実をアリンも知っている。


 ここがポイントと言えた。


「流石はか〜たま。レベル3の状態なのに、レベル4になってうアリンに食い下がっていられうんだお」


 そこまで答えたアリンは右手を私に向けた。


 …………。


 私、絶句。


 その構えは、私も良く分かる。

 うん、そりゃもうぅぅぅ……沢山やった!


 ただ、その構えを『向けられる』のは、何気に初めてだったかも知れないが!


 同時に思った。

 あの右手が、ここまで悪魔に見えて来るとはっ!


 アリンが何をしようとしているのかは……もはや、本人に聞くまでもなく予想する事が出来る。


 だから『何をするのかな?』なんて、野暮は言わない。


 言わないけど……それはちょっと勘弁してくれないかなっっ⁉︎


「ドーンテン一族は……爆破で解決しゅる、呪われた一族なんだお!」


 そして、そのネタはいいかげんひっぱるのやめよう!


 気合を入れて叫ぶアリンは、間もなく魔導式を紡ぎ終わり……発動させる!


 超炎熱爆破魔法フレインダムド


 ドォォォォォォォォンッッッ!


 ………と、なる筈だった。


 そして、全てが終わる……筈だった。


 アリンなりに考えたのだろう。

 チマチマ攻撃しても、私の治癒能力が高過ぎて、致命的なダメージにまで至らない……と。


 それなら、一撃必殺の技を発動させて、私との決着を一瞬で終わらせてやる!

 

 その上で考えるのなら、レベル4超炎熱爆破魔法フレインダムドは、まさに打ってつけだったと思う。

 喰らえば、間違いなく私は一発KOを喰らっていたに違いないのだ。


 そして、仮に私が避け様としても……恐らく、アリンはそれ以上のスピードで私に追いつくか、空間転移テレポートを使用する事で、着実に私へと魔法を当てに来たと思う。


 つまり、右手を向けて来た時点でチェック・メイト。

 私の敗北は濃厚であった。


 ……が、そうならなかった。


 なんでか?


 答えは、今のアリンが私に見せている。


「……お、おぉ……? ち、力が……入らないおぉぉ……?」


 コテンッ………と、大きく尻餅を付いてしまったアリンは、そのまま動く事が出来ない状態になっていた。

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