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女神と加護と勇者様【13】

 対する匿名希望(女神)に関しては……まぁ、分からないな。


 私が分かる事は、女神だと言う事と……女神だと言う部分は公開している癖に、何故か名前は公開しないと言う、頭隠して尻隠さずな存在であると言う事。


 ああ、後もう一つ分かる。


 実力は極めて高い……って事だ。


「ふぅ〜む。これは見所のある試合になりそうだな」


 私は誰に言う訳でもなく口を動かすと、


「……お? そうだお?」


 ちょうど私の隣にいたアリンが、キョトンとした顔になって小首を傾げていた。

 ルミとの試合に勝利して間もなく、アリンも選手控え席も兼任している、選手入場エリアへと戻って来ていたのだ。


「フラウちゃんがこれから戦う人……桁違いに魔力があるお? エナジーも高いお〜?……そもそも、あの人は人間じゃないお〜」


 そこからアリンは私に言う。

 依然として、表情は小首を傾げた時のままだ。


 ……ふむぅ。


 どうも、アリンにはそう見えるらしい。

 

 正直に言うのなら、私はアリン程に匿名希望(女神)の実力を見抜く事は出来ていない。

 一応、自称女神なんだろ?……程度の感覚で、実際に人間なのか女神なのかを知っている訳ではなかったのだ。


 しかし、どうやらアリンには『ちゃんと女神』に見えるらしい。


 アリンは、前世が人工邪神だったからか? 時折、私もビックリする様な知識を持っていたり、私には感じ取る事の出来ない特別な感知能力を持っていたりもする。


 これらをトータル的に加味すれば、アリンの言っている事の方が正しい……と判断すべきだ。


 しかし、だな?


「アリンはフラウちゃんが心配だお……桁違いに能力が違うかりゃ、フラウちゃんが大怪我しちゃうんじゃないか……って。元々平べったい胸が、もっと無くなってしまうんじゃないかって、心配なんだお〜?」


 かなり真剣な顔になって言うアリンの台詞通りの実力差が付いている様には思えないんだよなぁ……?


「大丈夫だアリン。フラウはペッタン子だ。あれ以上は平たくならない。普通に考えてごらん? ゼロより下はないだろう? 無から無くなる事なんて無い……つまり、考えるだけ無駄と言う事さ?」


「それは違うお、か〜たま? ゼロより低い数値があるお? マイナスだお?」


 ……なん、だと?


 つまり、それは……。


「まさか、フラウの胸はえぐり胸になる……と?」


 クッ……なんて衝撃的なっ!


「そうなんだお……せめて平べったい所で食い止めないと……フラウちゃんが可哀想なんだおっ!」


「そうか……分かったよ……流石にえぐれるのは見過ごせない。同じ女性として……親友として! フラウのぺったん子な胸元を守る事を誓おう!」


「アンタに言われたく無いからぁぁぁっっっ!」


 私とアリンが、親子でフラウのカントー平野な胸元を守ろうと躍起になっていた頃、試合会場の方からフラウの怒声が飛んで来た。


 チッ……地獄耳め。

 お前は試合に集中してろよ……全く、面倒臭い奴だなぁ……。


「良い? リダ? こう見えて、私は1.5センチも成長しているんだよっ⁉︎ 分かる? これは大きな大きな……革命的な進歩だと思わないっ⁉︎」


 そして、周囲に老若男女の観客が、所狭しと座っているど真ん中で自分の胸事情を暴露していた。

 恥ずかしく無いのだろうか?


 つか、1.5センチの成長とか……靴のサイズでもあるまいに、やたら細かい時点で周囲の面々は察すると思うのだが?


 そんな私は、1.8センチの増加だ!

 ふふふっ! つまり、成長率でも私の方が勝っているのさ!


 何? お前だって細かいだろう……って?

 そんな些末な事を言ったら、立派な人間にはなれないぞっ!


「1.5センチの成長は分かったから、お前は試合に集中しろよ? もう、対戦相手は入場しているんだからからな?」


「負け惜しみ? ねぇ、それって負け惜しみ? 私より成長してなかったから、話を変え様としているんでしょう? あはははっ!……あはは……ねぇ、待って? 私はこれから試合なんだよ⁉︎ どうして右手向けるの? 私達って親友でしょう? その親友を、戦わずして瀕死にさせるつもり?……だから、その右手をやめて?。……うん、私もちょっと調子に乗った、ごめんなさい!」


 高慢知己の教科書みたいな高笑いをみせていたフラウは、少し間を置いた後に私に向かって頭を下げていた。


 程なくして審判に『そろそろ初めても良いですかねぇ?』って感じの声を向けられる。


 あれ? なんかデジャヴ?

 さっきのルミとアリン戦でも、同じ様なやり取りがあった様な?


 ともかく、フラウは審判にも頭を下げていた。


 地味に格好悪かった。

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