表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1163/1397

学園祭と剣聖杯と勇者様【15】

「……し、しまったぁぁっ!」


 場外に落ちて、思い切り悔しがるチャンピオン。

 

 多分、この前回の二次予選で、アッサリとアリンを場外に落としてしまったから、思い切り油断してたのだろう。

 

 まぁ、お互い様か。


 思えば、前回はアリンが油断して場外に……今度はチャンピオンが油断して場外に落ちていた。


 私的に言うと、どっちもどっちだ。


 つまるに、極論からすれば、


「……油断大敵」


 私は誰に言う訳でもなく独りごちた。


 結局は、油断の二文字が敗北の要因なのだろう。

 ……ま、私としては体育館が吹き飛ばなかったし……ヨシとして置こうか。


 バアルに弁償しろと言われる心配がなくなったからなっ!


 ……かくして。


「勝った……勝ったんだお! だけど、ビミョーにスッキリしない戦い方だったお! 本気でやれと言いたいかもだおっ!」


 それをお前が言うんじゃないよ? と言いたくなる様な台詞を臆面もなく吐き出していたアリンが、一位通過で本戦へと進んで行くのだった。




          ●●●●●




 ……と、地味に長くなってしまったが……この様な経緯を経て、ようやく剣聖杯がスタートする。


 当日は、学園祭と合同……と言うか、学園祭のメイン・イベントとして開催されるのが剣聖杯なので、周囲は完全なお祭りムードだ。


 二度言う様で恐縮ではあるのだが、学園祭の一つでもあるので、教室では各々の出し物を行っており、私のクラスではお化け屋敷の様な事をやっていた模様だ。


 ……まぁ、私は剣聖杯で選手をする関係もあり、余りたずさわる事はなかったのだが。


 しかし、それでもフラウやチャンピオンの二人は、しっかりとクラスの出し物の準備とか雑用などを、色々とやっていたらしい。


 ああ見えて、フラウはクラスでも優等生だからな。

 きっと、クラスメートにも頼られるのだろう。


 私は全然頼られる事はないんだけどなっ!


 これでも会長だし、成績も良いんだけどなぁ……どう言う訳か? 私は周囲のクラスメートに頼られる事はない。


 女子は、チャンピオンの一件から、地味に邪険な態度を取る者が増えたし。

 男子は、魔王リダと言う、根も葉もない虚構の存在へと勝手に祭り挙げてくれた為、今でも恐怖の対象にされる事が多いし。


 ……くそ。

 どうして、こうなった?


 私的には、少し不本意な部分も多々あるのだが、クラスの行事に関してはフラウの方が、強いリーダーシップを発揮する事が通例になっていた。


 ここらの事情もある為、私やアリン、ルミやルゥ姫のニイガ・プリンセス・コンビなどなどは、普通に剣聖杯の選手として専念する事になって行くのだった。


 選手宣誓は、昨年優勝者の私だ。


 正直、こう言うのは余り得意ではない。

 だけど……まぁ、一応は会長とかやってたからな?

 なんだかんだで、それっぽいスピーチと言うか、選手宣誓をやったりもする。


「か〜たま! 格好良かったお! なんか、日頃のか〜たまとは別のか〜たまに見えたんだお!」


「うむ! そうだろう、そうだろう! 日頃のか〜たまとは別の凛々しいか〜たまに……うん? いや、待って? アリンちゃんにとってか〜たまは常日頃から凛々しさがあったりしないのかい? そりゃ、いつもは優しいか〜たまをしているから、そう言う慇懃いんぎんな態度とか顔とかはしてないかも知れないけど、もっと別な褒め方とかなかったのかな?」


「ないおっ!」


 選手宣誓の言葉を終わって戻って来た私は、瞳をキラキラさせた状態で言うアリンちゃんの言葉に、心因的な衝撃を受けた。


 ……くっ!

 こんな事では行けない!

 次からはもっと……こうぅ……威厳ある母として生きなければ!


「でも、普段のか〜たまが一番好きだお! アリンは、優しいか〜たまが大好き〜!」


 ……うん、でも良いか。


 いつも『キリリッ!』ってしている事ばかりが母親じゃないよね?……って所で、私の考えが纏まった。

 少し娘に甘いかも知れないが……まぁ、良いではないか!


 私はアリンちゃんに好かれたいのだ!


「う〜。さっきの選手宣誓は見事だった、う! だけど、リダが選手宣誓をすると言う話を聞いた時は、私もちょっと期待していたのだが……少し期待をし過ぎた! う!」


 程なくして、冗談みたいな台詞を真剣な顔をして言う剣聖様がやって来る。


 ……そう言えば、この大会を開催しようと立案していたのは、剣聖のシズだったな……。


 シズに付いては、私の話にも少しは出ているので、知っている方もいるだろう。

 

 トウキ帝国より北にある国・クシマ国にて冒険者協会の会長をしている者だ。


 そんなシズの肩書かたがきと言うか……称号が『剣聖』だった。


 元々はの一族と言う、特殊な部族の戦士だったらしい。

 まぁ、私はそこまで詳しい事は知らないから……まぁ、興味を持ったら、みかん本編辺りを見れば、少しは分かると思う。

 ……少ししか書いてないが、私が知っている事よりは、より掘り下げた話しを見る事が出来るぞ?


 そこはさて置き。


「シズ……お前、今年も呼ばれてたのな?」


「う! 当然だ! この大会は、私の暇潰し……ゲフンゲフンッ! 私の趣味で始めた事だからな!」


 私の言葉に、シズは瞳をキュピ〜ン☆ っと輝かせて答えた。


 言い直してはいたけど、言い直した台詞も普通に大概だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ