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リダさん、死闘の果てに!【14】

 ガチャ......


 その時、ゆっくりと室内のドアが開いた。

 開けたのは......ここの関係者の人かな?


 良く分からないけど、女の看護師さんっぽい人が、清潔感のある服装で部屋の中にやって来た。


「......っ!」


 そして、私の姿を見るなり、ハチャメチャに驚いて見せる。

 なんでそんなに驚いているんだろう?


「あ、どうも」


 とりわけ、無難な挨拶なんかをして見せた私。

 しかし、彼女は私の挨拶をガン無視して回れ右した後、駆け足で部屋の向こう側へと行ってしまった。


「人の顔を見るなりいなくなるとか......御挨拶だな」


 ちょっと苦い顔になっていた頃、


「だ、大丈夫かねっ!」


 なんか、妙に偉そうな白衣の人がやって来た。

 ......まぁ、そうな?


 何となくだけど、状況が掴めて来たよ。

 ここは病院の集中治療室だ。


 そして、私は生死の境にいた。


 ここを加味するのなら、この白衣の格好をしてる先生は、間違いなく医者だ。

 正確に言うのなら、医療魔法を専属に扱っている先生だ。


 ......ついでに言えば。


「お前......こんなトコで医者なんかしてたんだな」 


「......」


 半眼になって言う私に、偉そうな白衣の先生は無言になった。


 しばらくしてから、白衣の偉そうな人は言った。


「やっぱり会長か......そう言うアンタこそ、こんな所に担ぎ込まれるなんて......何やったんだ?」


「ちょっと、この世界にあるゴタゴタに首を突っ込んだら、最後はここに来てた」


「無茶苦茶してるな」


 白衣の偉そうな人は難しい顔になってから嘆息していた。

 眼前にいるオッサンは、元々は冒険者協会の重役だった。

 ......が、何故か突然辞めて、どっかに行ってしまったんだが......まさか、医者になってたとはな。


 名前は


「で? リット? 私は退院しても良いか?」


 ......と、私が述べた言葉の通り。


 協会本部でも、何度か顔を合わせてはいたけど、それ以外にも何度か一緒のパーティーを組んでた頃があって、それなりに顔見知りではある。


 だからと言うのも変な話なんだが、


「もう大丈夫って言うなら、サッサと退院してくれ。ここはアンタ見たいな化物染みた回復力のある人間が居て良い場所じゃないからな」


 私の事をあらましは知っている。

 リットは厄介払いするかの様な口振りで吐き捨てた。

 ここまで邪険にされるのは心外だけど......まぁ、良いか。


 逆に言えば、私が担ぎ込まれた場所がここで良かったのかも知れない。

 他なら、確実に精密検査行きだ。

 

 そこから、色々な手続きを経て、ようやく退院って感じになっただろう。

 

「もしかしたら、また来るかも知れないが、その時もよろしく頼む」


「出来れば来て欲しくはないんだがな......」


 ニッと快活に笑って言う私に、リットは本気で嫌そうな顔になってた。

 そこまで本気で嫌な顔しなくても良いのに......。


「リダ様っ!」


 程なくして、ユニクスの声が聞こえた。

 ......?


「お前、学校は?」


 私は素朴な疑問を口にする。

 今が何時なのか知らないけど、確実に学校で授業を受けている時間である事に違いない。


「只今、臨時休学中です!」


「休学したのかいっ!」


 馬鹿なのっ!

 自主休学とか、もうアンタ、留年したいのかいっ!


「まぁ、そう怒るな......ユニクスさんは、お前が寝ている間、ずっとこの病院にいたんだ。色々と病院の仕事と言うか、雑用までしてくれて助かったんだ」


 雑用させるなよ。

 てか、ユニクスの服装が、どっかの作業服染みた物に見えたのは実際にここで雑用してたからだったのか。


「会長はとっとと居なくなってくれても結構だが、ユニクスさんはウチにいてくれると助かる。いっそウチに就職しないかい?」


「申し訳ないのですが......その申し出は了承致しかねます。私はリダ様の為に、ここへと来ておりましたから」


 かなり本気で言ってたリットに、ユニクスは淑やかな笑みでやんわりと断りを入れた。


「そうかい......残念だ」


 あ、本気で気落ちしてる。

 ......うん、そうな。

 ユニクスは雑用だけでなく、治療系の魔法やその技術スキルもあるからな。

 

 そこはさておき。


 後日談になるのだが、私は一週間程度寝ていたらしい。

 もう、植物人間状態からの回復が絶望的だと思われ、集中治療室から個室に移される所だった......との事。


「所で......野暮な話を聞くが、君ら二人はその......そーゆー関係か?」


「どーゆー関係だよっ!」


 リットの質問に、私は思わず喚き声を上げてしまった。


 ......ったく!

 どうもこうもあるかっ!


「そうか......しかし、会長にその気があるとはな......道理で、男に興味がないと......」


「爆発したいのか?」

 

 どこか納得混じりだったリットに、私は額に青筋を立てて右手を向けてみせた。

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