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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第七編・おまけ短編
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打倒! リダ・ドーンテン!【19】

「………参りました」


 チャンピオンは言う。

 少し悔しそうで……だけど、何処か晴れやかな顔で。


「僕がトレーニングで使っていた薬をリダさんが使えば、確かに僕を大きく上回りますよね……そこで、自ら僕の攻撃を受けて瀕死になった。そして、瀕死のギリギリで『わざと』アシュアさんがいる方向へと蹴り飛ばされて、その隙にアシュアさんから薬を奪い……飲み込む。その場の判断で即座に思い付ける行動ではありませんよ。しかも……圧倒的な能力差があったのにも関わらず、それですらもあなたの計算通りに事が進んでいた……その時点で、僕の敗北は決まっていたと言う事ですね」


 ……ま、少しセコイ方法だとは思ったがな?

 しかしながら、この薬はお前だって何回も服用してたのだろう?


 それなら、私だって一回ぐらいは飲んでも良いと思うんだよ!

 ……って事にして置いてくれないかなっ!

 100マールあげるからっっ!


 内心、やっぱり自力では勝っていないんだよなぁ……と、ビミョーに自分を戒める感じの思考を抱きつつ、


「……ま、もしお前が自分の懐に、同じ薬を隠し持っていた場合は、逆に形成がひっくり返っていたかも知れないんだけどな?」


 私は苦笑しながら声を吐き出すと、


「それは無理です。どうやら、この薬……上限があるみたいで、一定の回数を服用すると、それ以上の能力上昇は望めない模様です。もっとも、気力・体力・魔力の回復だけは残る模様なので」


 ポケットから小瓶を取り出して見せ、


「……この様に、持ってはおりました」


 全てを言い終わらせてから、チャンピオンは苦笑した。


 ……なるほど。

 この薬も有能に見えて、思わぬ落とし穴があったんだな?


「ただ、私の経験上……20回は能力の倍加が見込めました。きっと、この能力は既に僕が持っているだろう潜在能力をも超過し、幾度もの限界突破さえ果たしたのではないのか? そう思っております」


「まぁ、20回なら……そうかもな?」


 2の20乗って事だからな。

 もう、メチャクチャだぞ?


 分かり易く、数値を並べよう。


 2の一乗から順に、乗数を20乗まで書くと……

 

 2・4・8・16・32・64・128・256・512・1024・4096・8192・16384・32768・65536・131072・262144・524288・1048576・2097152。


 ……こうなる。


 純粋に全部倍加した場合なので、正式な倍率ではないかも知れないが、全て瀕死で倍加を20回繰り返した場合は、その能力値が二百九万七千百五十二倍になる計算だ。


 取り敢えず無限じゃなくて良かったよ……これ、百乗とか千乗とか行ったら、片手で天体を滅ぼせる能力とかになってしまい兼ねないぞ。


 ……うむ。


 もう一つ、この薬を封印しなければならない理由が生まれてしまったな。

 この薬は、強力過ぎる!

 まかり間違えて、アシュアやバアルなんぞが服用すれば、世界を消し炭にしてしまう悪魔王が誕生してしまう!


 奴らの基礎値は、チャンピオンとは比べ物にならないからな!

 そんな奴が掛け算方式でパワーアップなんぞしたら、とんでもない事になってしまう!


「……やれやれ。本当にあの悪魔王アホが経営している会社は、ロクでもない物ばかり作り出すよな」


 本当にマジで勘弁だ!


「はは……そうかも知れませんが……けれど、良い経験でしたよ? 僕の伸び代は、もうないのかも知れないけど、それでもまだ『基礎値』を上げる努力をすれば、まだ上がるかも知れない。今後もしっかりと鍛錬を惜しまずに頑張って……また、リダさんに挑戦するつもりです」


 チャンピオンは爽やかな笑みを作りながら答えた。


 この言葉に、私はちょっとだけビビった。


 いや……だってだな?

 基礎値の底上げをすれば、能力が上昇する……としよう?


 既に倍加を二十回しているチャンピオンは、基礎値を上昇させると……その能力値を2の二十乗倍化すると言う事になる。


 普通の人間がステータスを1上げたら1しか上がらないが……チャンピオンの場合は1上がると約210万倍上がる事になる訳で……。


「はは……ははは……そ、そうだな……うん、その時は……まぁ、私も頑張るよ」

 

 引きり笑いのまま、私は一応の頷きを返した。


 わ、私も……2の20乗まで倍加して置こうかな……はは、はははは……。


 でも、二十回も死の淵を乗り越えないと行けないのも嫌だな。


 ………。


 と、取り敢えず、そこは保留だ!


 もしかしたら、もうチャンピオンの能力は完全に頭打ちになっているかも知れないしなっ!

 

 てか、そうであってくれる事を切に願う私がいたのだった。

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