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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
第七編・おまけ短編
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打倒! リダ・ドーンテン!【15】

「取り敢えず……何が起こったのか、説明しろ」


 私は眉を捻ってからアシュアへと尋ねると、


「フハハハッ! では説明してやろう! ありがたく思うが良い!」


 やっぱり、無駄に高慢知己な事をほざくアシュアがいた。

 ソッコーで爆破してやろうかと思ったが……やめた。

 この状態で爆破してしまったのなら、状況を説明する事が出来なくなってしまうからな?


 ……思った私は、右手をフルフルと震わせながらも爆破魔法を発動させずに、アシュアを見据える。

 仏モードのリダさんで良かったな!


「今回の私が提供した、フェル君へのトレーニングは主に二つ。まず一つは『事実上のゼロに等しい時間で長期間の特訓を可能にさせた、特殊亜空間!』その名も『夢幻の部屋』だ! この部屋は人間が見る夢の空間と限りなく同じ性質を持つ特殊空間。よって時間の概念はない!」


 ……な、なるほど?

 相変わらず反則的な魔導器を作り出すな。


 アシュアの言葉に軽く補足を加えると……夢と言うのは、かなり特殊な存在であり、現実世界とは全く異なる特殊な世界でもある。

 簡素に言うのなら、数年もの長い時間が夢の中で経過したとしよう?

 しかし、それは飽くまでも『夢の中で起こった出来事』であり、現実世界の時間とは全く別の概念だ。

 極端に言うのなら、現実世界ではほんの一瞬にしか過ぎない出来事であったとしても、夢の中では何十年と経過していても、おかしくはない。


 今回のアシュアは、この現実世界とは全く異なる時間の概念を持つ夢の空間を擬似的に作り上げ、その特殊な空間でチャンピオンをトレーニングした訳だ。


 ……なんて事だ。

 相変わらず謎めいたアイテムを無駄に作ってはいるんだけど、不可能を可能にする自社のモットーはちゃんと貫いているぞ!


 つか、これを販売する予定があったりするんだろうか?

 もしそんな事をしてしまったら、この世界に沢山の浦島太郎が生まれそうで怖いぞ……。


 表現として浦島太郎と対比するのは正しくはないかも知れないが……要は、本来であればまだまだ青年である筈の人間が、何故か次の瞬間にはオジーさんになっているかも知れないと言う事だ。


 ハッキリ言って、このまま売り出したら、洒落になってない事態が起こりそうで怖いのだが……?


 アシュア達の場合、多少の欠陥や問題があったとしても、人気が出て収益が増えたのなら、平気で大量生産して販売してしまいそうで怖い。

 やっぱりお前は悪魔だよ、アシュア!


「そして二番目……それが、この薬……その名も『死にそうな時に飲むと強くなるB錠』だっ!」


 程なくして、得意気な顔になって小瓶に入っている錠剤を私に見せた。


 魔王にナールの時もそうだったが……相変わらず、ネーミングセンスは最悪だ。

 きっと、こないだのと一緒で、こっちも名前の通りなんだろう。


 そうなると……つまり、死ぬ程のダメージを受けた時に飲むと強くなるのだろうか?


「この薬は、名前の通り……致死に至る寸前までおのれを痛め付け……死の淵に瀕した状態で飲むと、瞬時に気力と体力と魔力が著しく上昇し、更に自分の能力まで大幅に上昇させるミラクル薬品! 苦痛の数だけ強くなれる、まさにマゾには打って付けの薬品! しかし! この薬品を開発したスタッフはみんなサディズムの極地に到達していると言う謎のヴェールに満ち満ちた薬剤!」


 ……いや、お前らのスタッフって、みんな悪魔だろ?

 そうじゃないにしても、悪魔みたいなヤツでもない限り、お前の会社に入社するとは思えないのだが?


 ついでに言うと、サドが開発したマゾの薬なら、ある意味で合理的かも知れないぞ。

 だって、サドだもの。

 マゾを虐めたい欲望が、そんなアホみたいな薬を作り出したんじゃないのか?


 ………まぁ、そこは良しとして。


「この薬を一錠飲み……最大限の効果が発揮すれば、死の淵から這い上がるばかりか、その能力を倍加する事が出来る! フハハハッ! 倍加だぞ? 2の乗数で能力が上がるのだ! どうだ、素晴らしいだろう!」


「……まぁ、確かに凄いな」


 大っぴらに威張り倒しているだけの効果ではある。


 確かに2の乗数で能力が上昇するのは滅茶苦茶と言える。


 仮に薬の効果が最大限に発揮したとしよう?


 一回目は二倍。

 二回目は四倍。

 三回目は八倍。

 四回目は十六倍。

 五回目は三十二倍。


 以後、64・128・256・512・1024倍……と、倍々で増えて行く事になる。


 仮に、こんなのを百回もやってしまったのなら、その倍率は2の100乗倍。


 もはや天文学的な数値だ。

 

「……これは、私も本気にならざる得ないかも知れないな」


 私は思わず生唾を飲んだ。


 飽くまでも最大限の効果を百回やったとしての仮定ではあったし、実際にチャンピオンが何回ばかり死の淵から生還していたのかは、私にも分からない。


 だが、決して楽観出来る相手ではない……と言う事だけは理解する事が出来た。

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