もう一人の自分と、何もかもが自分の記憶と合致している世界【19】
その後、一念発起したアシュアが、
「私、ちょっと用事を思い出しました! 今日の所はリダ様を殺そうとしても返り討ちに遭うので失礼します!」
殺伐とした台詞をしれっと含ませながらも、右手で『じゃっ、そう言う事で』って感じのジェスチャーを見せてから病室を後にし、
「待てアシュア! 貴様! この私を洗脳するつもりであろうっ⁉︎ そんな愚行が許されると思っておるのかっ⁉︎」
額に怒りマークをくっ付けたバアルが、忌々しいと言わんばかりの怒号を吐き捨て、アシュアを追う形で病室を出て行った。
………結局、アイツは何をしにやって来たのだろう?
ま、居ても居なくても構わない奴だし、どっちでも良い相手ではあるのだが。
どちらにしても……だ?
「なんか、こっちに戻って来た……って、実感が沸いて来たよ」
私は、誰に言う訳でもなく独りごちた。
結論からして、今でも夢現だ。
何と言うか……並行世界を移動する度に眠った状態にして……そして、そこから目を覚ましているから、なんだか夢でも見ていたんじゃないのか? って気持ちにさせてくれるのだ。
もちろん、あれが単なる夢であるとは思えない。
周囲にいるメンバーの全員が、全く同じ夢を見ていた……なんて、やっぱりおかしい話だ。
そう考えるのなら、あれは現実だった……と考えた方が、よりリアリティがある。
何より……この気持ちは……リガーと一緒にいた事で芽生えた、この気持ちは……夢なんかじゃ、絶対に生まれないと思う。
色々あったし、面倒な事や厄介な事が沢山あって……そりゃもう、目紛しい状況が続いたと思うけれど……楽しかったな。
リガーは、元気にしているだろうか?
出来れば、もう一回位は……また、会えると良いな。
……ふ。
まさか、私の心に、淡い感情が生まれてしまうとは……な?
アリンを抱きしめつつ、病室の窓から見える青空を見据え……いつものメンバーがあれこれと、拙い会話を始める中、私は別の並行世界に居るだろうもう一人の私に対して考えた。
そして……心の中でそっと、呟く。
リガー……お前に会えて……私は幸せだったぞ?
……と。
さぁて!
それじゃあ、退院だな!
明日からは、また普通に学園へと通い、私の知る日常が戻って来る事になるだろう。
私の記憶に寸分の狂いもない、私が私だからこそ存在する……存在し得る世界。
私は、戻って来た自分の世界を軽く見据え……再び始まる元通りの日常をぼんやりと考えつつ、微笑んだ。
当たり前にある日常……それは、当たり前であって、当たり前ではないのかも知れない。
なんとなく、この不思議な体験によって学んだ……そんな気がしたのだった。
第七編 -了-
はい、これにて七編目は終了になります。
久しぶりにリダ単独で書けたので、正直に言うとかなり楽でした。
まぁ、単独で書くと三位一体の時の様に、ブロットを色々とシンクロさせる分だけ、簡略化する事が出来たりする様な部分がなくなってしまう関係上、三つ全部のブロットをそれぞれ単独で用意する必要があった分だけ手間ではあるのですが。
しかしながら、そこを補って余りあるのが編集であります。
二画面編集がない!
一画面だけの編集が物凄く快適!
もう、シンクロしなくても良いんじゃない? つか、やっぱり二画面(場合によっては三画面)とか言う、もはや小説書いてる編集画面じゃないよね? って感じの書き方とかやるのは、ただの罰ゲームだし!……なんて事を考えながらも書いておりました。
……ま、三位一体はこの小説のコンセプトなので、またシンクロはさせるんですけどね。
ただ、今回はリダが先行して終わるのが早過ぎたと言うか、ちょっと帳尻が合わないので、他の二つを合わせる関係で、次も単独で書きます。
ただ、いつもの長編とは少し違い、結構短くなる予定です。
抽象的にザックリ言うと、単行本一冊に収まるんじゃないのかな?……程度。
数値に直すと、15万から20万程度で終わる……と言うか、その程度で終わらせると、他二つと同じ程度の時期に揃ってスタートする事が出来そうなので、調整をする目的から、次回も短めの長編にする予定です。
まぁ、その前に編末オマケ短編が入るのですが。
毎度、オマケ短編は遊び心を何歩も先に出す形で書いておりますが、今回もそんな感じです。
オマケ短編って、一番リラックスして書けるんですよね? なんでだろ?
感想・ブックマーク・評価などなどをしてくれた方に感謝します。
りぽさんの優しいコメントには、いつもパワーを貰ってます……本当、こんな拙い小説にコメを書いて下さり、いつもありがとうございます!
感想・ブクマ・評価はいつでも承っておりますので、お気軽にポチッ! っとやってくれたら幸いです。
それでは!
次のページからはオマケ短編になります。
良かったら、コーヒー片手にリラックスした状態で、気楽に読んで頂けたら幸いです。
リダの七編目をここまで読んで頂き、ありがとうございました!




