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もう一人の自分と、何もかもが自分の記憶と合致している世界【8】

 そこから、私は普通にジェット・コースターの入口方面へと向かった。


 少し前にも述べたが、休日だと言う事もあって既に結構な人数が並んでいる。

 ……正直、この列に並ぶのだけは、地味に嫌だな……。


「何だよ、リダ? お前……パラレルにスカートの中を盗撮されても良いのかよ?」


 ……と、そこでリガーが面白くない顔をしたまま私へと声を向けた。


 ……おや?


「なんだ、リガー? 私の事を心配してくれているのか? それとも? 彼女のパンツを激写しようとしているのが面白くなくって、嫉妬しているのか?」


 私は、少しだけニィ……っと笑って言う。


 リガーは地味に顔を赤くさせていた。


 ……何だよ、図星か?

 あははっ! オイオイ、可愛い所があるじゃないか!


「べ、別に、そんなんじゃ……ねぇし」


 挙げ句、顔を真っ赤にしながらも否定的な態度まで取って来た。


 ……ふ。

 素直じゃない態度がまた、地味に可愛らしいな!


「ははっ! まぁ、ちゃんと『対策はしてある』から安心しろ。それと、お巡りさんだって何もしないヤツを捕まえる訳には行くまい? それなら、一定のエサは必要だ」


 カラカラと笑いながら、私は意気揚々と列に並んだ。

 そこから十分程度だろうか?


 存外、早いペースで金網エリアまで列は進んで行き、


「うへへへっ!」


 もはやわざとやってんじゃないのか? って感じの声を出していた変態が、私の真下にやって来た。


 その頃、ちょうど空気を読んだんじゃないのか? って勢いで、警官が近くまでやって来る。

 

 その直後、私は警官に向かって叫んだ。


「お巡りさん! この人です!」


 私は、敢えて自ら金網の階段に上り、真下にやって来た変態パラレルを指差した。


 そこからは早かったな。

 うむ……国家公務員も良い仕事をする!


「あなたですかっ⁉︎ 確かに怪しいですね? そして、そのスマホで何をしようとしていたのですか? ちょっと、そこの交番まで来て下さい!」


「は? へ? い、いや、私は……その、この通り、善良な小市民でございまして、怪しい者では……」


「そんな、顔全体を覆うフードを被っていて、怪しくないはおかしいでしょう? さ、ともかく話はあっちで聞きますから!」


「い、いやぁぁぁぁっ! 私は無罪だぁぁぁぁぁっっ!」


 そして変態パラレルは、お巡りさんに連れ行かれた。

 贔屓目に言って、バカなヤツだった。


「……人間、ああはなりたくないな」


 リガーは遠い目をしてぼやく。


 私的に、あの変態が人間であるのかどうかで少し悩む所ではあるのだが……。


「同感だ……」


 だけど、リガーの言葉には賛同した。

 人間であるかないかは知らないが、ああはなりたくないと言う部分に置いては激しく同意する事が出来たからだ。


「それで? 対策ってのは何をしたんだ? 普通に、一枚ぐらいは撮られていたろう?」


 ……撮ってたのかよ。

 地味に気付かなかったぞ。


 ……まぁ、良い。

 どの道、ヤツがスマホでちゃっかり写真を撮っていたとしても、だ?


「大丈夫。ヤツのスマホ画面には、私のパンツは『写っていない』何なら、見る事だって無理だ」


 私は勝ち誇った笑みのまま答えた。


「……何でだ?」


「光魔法を使った……少し掘り下げると、光の反射を『私のスカートの中だけ』しない様にした。つまるに、真っ暗な状態にしか映らないし、肉眼で見てもやっぱり真っ暗なままだ」


 不思議そうな顔になって言うリガーに、私は軽く説明してみせた。


 物体と言う物は、光がある為、そう見えるだけに過ぎない。


 一例を述べると、だな?


 例えば赤い物体があったとしよう?  

 これは、厳密に言うと赤い色など最初から持っていない。

 では、赤い色は何処からやって来るのか?

 答えは『光』だ。


 厳密には、G2型光線……つまり、太陽光たいようこうがそうなのだが……まぁ、ここまで掘り下げると面倒な話になるから、今回は太陽光を『光』とする。


 光と言うのは無限に限りなく近い色彩を持っている。

 厳密に言うのなら、無限に近い色を表現する成分を持っているのだ。


 無限に近い色を持つ光を物体に当てると、一部の色成分を抜かす全ての光は物体にぶつかって反射してしまう。

 この『一部の色成分』と言う所がポイントだ。


 赤い物体であった場合、光の『赤い成分』だけ吸収し、他は全て反射する。


 すると、どうだろう?

 光から赤い色の成分だけ吸収する為、その物体は赤く見えるのだ。


 赤以外の光は反射し、目の中に光が届く事により、それを『赤である』と認識出来る訳だな?


 よって、反射しなければ、その光は届かなくなり……その物体を赤と認識出来ない。

 何なら、そもそも光その物を遮り、根本的に光が反射しない状態を作れば?……まぁ、ただ暗いだけだ。

 

 私のスカート内は、この様な状態を光魔法によって作り出し、真っ暗で何も見えない状態にした……と、こう言う訳だな?


 ちなみに、下から光を当てても同じだぞ? スカートの中に光が入ろうとした時点で、強制的に光が屈折して、中に入らない様にして置いたからな?


 極論からして、これら全てを総合的に述べると、こうだ。


 女子のスカートの中を盗撮する変態はくたばれ!

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