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もう一人の自分と、何もかもが自分の記憶と合致している世界【6】

「お互い、大変だな……」


 リガーの言葉を耳にし、私は苦笑する。


 なんと言うか……少しだけ気が軽くなったような気がしたよ。

 

「はは、確かに大変ではある……が、それでも思うんだよ? これで少しはコイツに借りを返せたかな?……ってな?」


 程なくして、リガーは言う。

 いつになく晴れ晴れとした……そんな、肩の荷が降りたかの様な清々しい笑みだった。


『きゃぁぁぁぁぁぁっ!』


 そして、腐リダが壊れた。


 ああ、もうっ!

 いちいち過剰反応するんじゃないよ!


 私は苦々し気持ちで腐リダへと答えつつ、

 

「そうだな……その気持ち、私も分かるよ」


 私も私で、リガーへと笑みを返した。


 その瞬間、リガーは少しだけ驚いた顔になり、そこから色々と葛藤している感じの態度を取っていた。


 ……ああ、私も傍目からすればあんな風な態度を取っているんだな。


 第三者の目で見ると、なんともマヌケな光景だ。

 二重人格状態である事を知っている私ですら、ビミョーにおかしな態度を取っていると思えてならない。


 ……そして、私も同じ様な事をしていると思うと……まぁ、なんか複雑な心境に陥ってしまうな。


『……どうかしたのかな、リガー君? なんとなく、おかしな態度を取っている様に感じるんだが?』


 そして、お前はなんでそうなっている事に気付かないのか?


 大した事じゃないだろ? きっとリガーの方でも色々と無駄に盛り上がってんだよ? 私の事……と言うか、私達の事を見てな?


『……えぇっ⁉︎ そ、そんな物凄い事になっているのか⁉︎ わ、私は興奮と喜びが溢れ出て仕方ないのだがっ⁉︎』


 お前もお前で、無駄に興奮し過ぎだ!

 全く! まだ、デートが始まった訳でもないと言うのに!


 そこまで考えた時……いや、もう既に始まってはいるのか……と、考えを改める。


 待ち合わせの場所に二人が揃った時点で、デートは始まるのだから、もう既に始まっていると述べても相違ないだろう。


 ……だけど、始まったばかりでこれでは……本当に先が思いやられる。


 内心で早くも気疲れが先行してしまった私は……しかし、乗り掛かった船であったが故に、色々と妥協しながらも、二人のデートに付き合って行くのだった。




           ◯◯●●●




 少しばかりリガーのヤツが言っていたかも知れないが、電車に乗って二駅程度で目的地の遊園地に到着。

 都心の遊園地であり、尚且つ休日であった事もあってか、周囲は人で一杯だ。


 私とリガーの二人は一日フリーパスを購入してから入園する。

 

 当然だが、中には様々なアトラクションや乗り物が設置されていた。


「ふぅむ……」


 軽く周囲を見回しながらも私は唸り声を上げる。


 ズバリ言うのであれば、私の生きている世界には、まだまだここにある乗り物やアトラクションの様な物がある様な文明には至って居ない。

 ともすれば、ここに近い程度の物なら、近未来に出来る可能性はあるかも知れないが……そこを差し引いても、ここまで立派な物となると……私が生きている間は難しいかも知れないなぁ……多分。


 ……うむ。

 もしそうであるとすれば、これはもう、この場で体験しない限り、二度と体験する事は出来なさそうだ!


「よし、リガー。まずはどれから行こう? 私的には、そこのジェット・コースターに乗ってみたいんだが?」


「おお、良いな! 俺もさ? きっとこんなの生きている内に二度と乗れない気がしてたから、色々と乗ってみたかったんだよな!」


 ああ、やっぱりリガーも同じ事を考えていたのか。


 思えば、リガーは私と限りなく同じ世界に住んでいた。

 ハッキリ言うのなら、違いは性別だけなんだ。

 そうなれば、やっぱり私と同じ事を考えても、全くおかしな話ではなかった。

 やはり、リガーは私なんだな!


「よぉ〜し! それなら、手始めにこれだ! これを乗ろう!」


 微妙にテンションを高くし、ウキウキ状態で言う私がいた頃……あ、リガーがビミョーに葛藤してる。

 ……うーむ。


 どうやら、この世界のリガーには、少しばかり刺激強過ぎた模様だ。


 ……ふ、自分でも怖い物だ。

 私の魅力と言う物の強大さに!


 ……と、地味にナルシストな感情が私の中に生まれていた頃、


「おかーさん? あれ、なに〜?」


 小さい子が小首を傾げながらも、不思議そうな顔をして母親に尋ねている光景が目に入った。


 純朴な質問を母親に見せていた幼女は、ある方向を軽く指差している。


 その先にいたのは……どう考えても怪しいフードを被っていた変質者みたいな奴だった。


「コラッ! アイミ! 他人を指差したりしちゃダメよ! その人はママも分からないけど、気にしないで置きなさい!」


 直後、母親は必死になって子供を庇う感じの動きを見せては、そそくさと何処かへ向かってしまった。


 ……そ、そうな?

 確かにそう言う態度を取ると思う。

 きっと、私もアリンが同じ事をしたら、アリンに対して似たような事を言うと思うし。


 よって、母親の態度は特段おかしな事ではなかったのだが……幼女が指した方のフードが問題だっ!


 なんでお前がここにいるんだよ? 変態パラレルっっっ⁉︎

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