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もう一人の自分と、何もかもが自分の記憶と合致している世界【2】

 ……挙句の果てに、


「おお、それは面白い! 確かにリダさんは、もう一人のリダさん……うーん、なんか同じリダさんだと表現が難しいですね? それじゃあ、リダママと腐リダさんでどうです?」


 私達の会話を聞いていたパラレルが、無駄に乗り気だった。


「腐リダってなんだ! 私が腐女子だからかっ⁉︎ 色々な男子の掛け算をするのが得意だからかっ⁉︎」


 それ以外の何者でもないと、私は思うんだが……?

 さり気なく区分けの仕方が絶妙だったパラレルに、私はちょっとだけ苦笑いだ。


『私の方は構わないぞ? リダママと言うのは……あれだろ? アリンの母親だからだろ? 実際に一児の母親だしな? うん、良いんじゃないのか? 腐リダとリダママで』


「良くないだろ! このままだと、私は腐ったリダだぞ! おかしいだろ? リビングデットか? 私はっ⁉︎」


 まぁ、腐った死体と言うか、ゾンビも腐リダも似たような物と言う事で良いんじゃないのか?

 他の腐女子は知らないが、少なからずお前の精神は腐り切っているぞ!


『ともかく、腐リダ? 取り敢えず、リガーと付き合いたいのであれば、まずは私生活から改善しておけ。そうすれば自然と付き合える。以上だ!』

 

「待って! 散々、私の身体を好き勝手に使った果てに、用事が済んだらポイッ! っと捨てる気なのかっ⁉︎ そうは問屋が卸さんぞ、リダママ! そして、貴様がリダママなら、私はリダ姉で良いだろ! 起点がアリンとの関係なら、それで良い筈だ、違うかっ⁉︎」


『いや、ダメだ。腐リダにしとけ。だって面白いし』


「そんな理由で、私の名前を腐らせるなよっ⁉︎」


 腐リダは、今にも泣き出しそうな勢いで叫んでいた。

 ちょっとからかい過ぎたかも知れないな。


 まぁ……どっちにしても、だな?


『私はお前の世界の住人ではない。本来なら別の世界に住む人間なんだ。早々長居も出来ない。お前の世界に私が再びお邪魔する事を、そもそもパラレルが許してくれる筈もないだろ?』


 私は苦笑いのまま言うと、


「いいえ、許可します」


 オイィィィィィッッッ⁉︎

 

 パラレルが超アッサリ許可して来た。

 いや、そう言うのは空気読んで不許可にしとけよ!

 お前は並行世界の管理者なんだろうにぃぃっ!


「腐リダさんの言う通り、リダママさんは腐リダさんに恩があります。そして、この借りは永遠に返す事が出来ません……そう、今と言うチャンスを除けばね? それなら、どうです? 良い機会ではありませんか? せめて、最後に腐リダさんのお願いを聞いてみては?」


 ………。


 そ、そう言われると、私も言葉に詰まる。

 結局の所、確かに私は腐リダの世話になった。

 そして、大きな借りとして存在している。

 更に言うのなら、この借りは永久に残り……それを返す事も出来ないと言う事は重々承知している。


 ……ぐぅ。


「それに、ですね?……実は、リガーさんの方も同じ様な感じになっておりまして……つまり、そう言う事です」


 ……へ?

 あっちのリガーも、似た様な事をっ⁉︎


 ちょっと呆れた。

 男なら、もっと……こうぅ……ズバッ! っと、格好良い所を見せろよ!

 

 こんな事を考えた私ではあったのだが……一方で、思う部分がある。


『つまり、あっちのリガーも腐リダが好きなんだな? なんだ、両想いなのか? 良かったな、腐リダ!』


「両想いであっても、やはり色々と心細いだろ? だって、私は腐リダだぞ? 異性とか……その、男子とデートなんて、ハードル高過ぎて……途中でパニクるだろっ⁉︎ だから、最初はリダママの助けが欲しいんだ!」


 ……うぁ、コイツ居直りやがった!

 自分が腐である事をしっかりと逆手に取る形で、腐った生活をしているJKの女子力で、いきなり二人きりで好きな男子とデートなんてハードル高過ぎるわぁぁぁっっ! って感じで、ちゃぶ台でもひっくり返しそうな勢いの激昂を見せる腐リダ。


 やっぱりお前は腐リダで良いよ! もう!

 取り敢えず、比喩に腐った用語やシチュエーションを用いなかった事だけが唯一の救いだったぞ!

 

「……なら、こうしましょう? 今回はかな〜り特別に、リダママと腐リダ……そして、リガー君の二人の精神をそれぞれ半融合し直し……更に二人の間でのみ意思疎通が取れる様にしましょう。抽象的に言うと『二重人格』みたいな感じに、精神を融合し直します」


 腐リダに対し、地味に呆れる私がいた頃……パラレルが驚きの提案をして来る。


 ……そんな事が出来るのかよ……?


 ……いや、出来るんだろうなぁ……。


 思わず自問自答してしまった。

 最初は単なる変態かと思ったが、実際は違ったのだ。


 そう、コイツは単なる変態ではない。

 能力のある変態だった。

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