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そもそも名前などあろう筈もない新世界【20】

 ……ちくしょう! やっぱりあの時……みかんのヤツに何がなんでも会長職を押し付けてやれば良かった!

 アミダの神が……あの、アミダさえみかんに微笑まなければっっ!


 ………。


 いや、過ぎた話はよそう。

 ただ、虚しいだけだ。


 余談だが、この物語の冒頭にある通り、私が会長になったのはアミダクジで決まった事だった。

 そして、ジャンケンにすれば良かったと、何回も悔やんだ話だ。

 はは……本当に、些末な話さ。


 会長職をそんなんで決めるな!……と言われるまでになっ!


 ともかく、話を本題に戻そう。


 ゼロ・パラレルの言い分は分かった。

 無限に近い全ての並行世界を統率するゼロ・パラレルと呼ばれる者であるのなら、確かに一つの並行世界で起きた問題に、いちいち首を突っ込んでいたら、身体が幾つあっても足りないだろう。

 それだけ多忙だと言う事だ。

 そして、私も否定出来ない。


「なるほどな……ついでに言うと、どうしてパラレルが、率先して動かなかったのか? その理由も分かったよ。全てを統率する者が、一つの些末な厄介事へと全面的に加担すれば、他のパラレル達に示しが付かない……そう言う事だろう?」


「……ふむ、流石は会長のリダさん。その通りです……厳密に言うのなら『この程度の事件なら』他でも起こっております。そうなれば? こうなりますよね?『そこを片付けてくれるのなら、こっちも手伝ってよ? どうして、そこだけ贔屓するの?』と。だから、私が派手に動く事は厳禁と言えました……簡素に言うのなら、お忍びなのですよ? 本当の私は自分が元来いるべき場所で、しかるべき職務を遂行している『事になっている』のです。そうなのですから、ここで派手に動いて、自分の所在地を知らせる様な事は『なるべく』やらない様にしていたのです」


 ……はは、そう言う事かよ。

 特に『なるべく』と言う部分に納得だ。


 だから、ギリギリまで動かなかったのか。


 何から何まで納得だ。

 本当は簡単に終わらせる事が出来るだけの能力があっても、敢えてやらなかったのは……そう言う裏付けがあったんだな。


「最後に三つ目……では、それだけ多忙であって、些末な物事に過ぎない今回の騒動に、この私がわざわざやって来た理由。なんだと思います?」


 ……へ?


 やんわり微笑んで問い掛けて来るパラレルに、私はポカンとなってしまった。


 えぇ……と?

 ふむ……う〜ん……。


「すまん、わからん」


 私は素直に降参した。


 ……普通に考えても、サッパリ答えが出て来ないからだ。


「そうですか……答えは至ってシンプルなのですがね?……まぁ、良いでしょう。では答えます」


 答えたパラレルは、そこで表情を一気に引き締めた。


 ……?


 そんなに真剣な顔になるまでの話なのか?

 いや、今までもパラレルにしてはまともと言うか……真面目な話ではあった。


 なんと言うか、なるほどと納得出来るレベルの理由だったのだ。


 しかし、その理由を更に超えて来るかの様な?

 そんな、中核的かつ重大な理由があった……と言う事なのだろう?


 けれど、解せないな。


 パラレルが、私達を救ってくれた理由……そんなのがあるとして……果たして、今の私にすぐ答えられる様な物が……


「リダさんが気に入ったからです! その平べったい胸! 鮮やかなブルーと白のストライプなパンツ! もはや、完璧と言っても差し支えない太腿ふとももっっ! 完璧なのです! 他の世界には、沢山のリダさんが居ます……居ますが、違う! ちょぉぉぉぉっと違う! 惜しいけど、違う! このビミョーな違いに気付ける紳士な私、スゲーッッ!」


 ドォォォォォォォォォォンッッッッ!


 変態は爆発した!


 最後はオチかよっ! バカじゃないのかっっ!


 と、ともかく……一応は……本当に一応、変態が『今の私』を気に入った為、自分の性癖全開でこの世界の私達を助けたと言う事だっ!


 ああ、もうっ!

 聞きたくなかったよ、そんな残念な話っ!


 と、ともかく……。


 私の完璧ボディーがゼロ・パラレルにとってツボだったらしい。

 半融合中の私は、ボォォォォンッ! って感じに豊満な胸が付いているけどな!


 でも、これ……解除したら無くなるのか。


 ……ぐ、む、むぅ……。


 これ……解除しないままで……とか、だめかな?

 ダメ……だよ……ねぇ?……はは。


 い、いや! 私は、元の状態であっても、ボォォォンッ! って感じの胸あるし!

 戻っても全然問題ないぞ!

 ただ、ちょっとだけ……うん、ちょっとだけ名残惜しいかなぁ……いやいやっ! 違う、違うぞ、私!


 な、なんにしても……だ?

 これで、どうにか終わった事だけは確かだ。


 ……うむ!


 私はなんにもない、真っ白な世界のど真ん中で……プスプスと身体全体から黒い煙を吐き出してはバッタリと倒れた変態を軽く見据えつつ、ようやく全てが終わった事を実感した。


 ……と言う所で、今回はここまで!


 次回で最終章だ!

 ここまで読んでくれてありがとうなっ!



 ……ま、物語全体は終わらないんだけどさ。



 次回に続く!


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