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そもそも名前などあろう筈もない新世界【13】

 もう、本当……コイツのアホさ加減には、少しついて行けなくなっているよ……全く。


 しかし、アホ過ぎる台詞を口走ってはいるが……パラレルの言っている事にも一理ある。

 このまま行けば……間違いなくやられる!


 思った私は、


「……じゃあ、お前の能力を使えば、私とリガーを半融合させる事が可能なんだな?」


 未だ地面に額を擦り付けているパラレルに対して問い掛けると、


「はい! 伝承の道化師の能力を得たN65ですら無理な能力であっても、全ての並行世界を統括するこの私! ゼロ・パラレルであるのなら、そこまで難しい話ではありません! そんな訳で……さぁ、合体しましょう! ヤリましょう! ユニクスさんとあっちの貧乳は待ってくれませんよ!」


「さり気なく貧乳とかほざいた事は覚えて置こう……取り敢えず、爆破一回な?」


「リダさんって……細かい事を言う人間って言われません? 本当、他人からすれば些末な事なのに、さも大仰な怒り方をする人だ……って言われたりしますよね?」


 私にとっては些末なんて形容が出来ない代物だからな!


 ああ、もうっ!

 コイツの無駄話に付き合っていると、余計な時間が掛かって仕方ない!


「半融合をするのなら、早くするぞ!……そろそろ、連中がこっちに来そうだ!」


 直後、切迫した口調でリガーが答える。


「分かっております! では、合体!」


 そして、パラレルが大きく叫んだ。

 心成しか? 合体の部分を無駄に強調していた様な気がしたけど……スルーして置いた。


 それに……ツッコミを入れる余裕なんてなかったしな!


 こんな事を述べたのは他でもない。

 パラレルが無駄に強調して『合体!』と言う台詞を言った瞬間……私の意識が溶けた。


 ……何と言うか、不思議な気分だった。


 私の中に……何かが入ったかの様な? そんな気分だ。


 外見は、完全に私と言うべきか?

 強いて言うのなら……胸が大きくなっていた。


 ……おお!

 わ、私の胸が、ダイナマイツに!


 これで、ルミやユニクスに負けないだけではなく、フラウを涙目にしてやれるではないかっ!


 ……いや、そうなんだけど、そうではなくっ!


「ふっふっふっ! どうですか? そのボディーは? その身体はリダさんとリガーさんの二人を混合合体させた時に、私の権限を使って根本的な肉体のフォルムを『シルエットからして違う』形状まで変化させました!」


 シルエットが変わるまでの爆乳なのかよっ⁉︎

 いや、幾ら何でも、シルエットが変わるとか……ちょっと言い過ぎなんじゃないのか?

 ホラ……私だって、最初から少しはあった訳だし。


 ………。


 いや、そうじゃなくて!


「まぁ、お前のふざけた言葉に関しては、もはや爆破の一発や二発で済むとは思っていないし、後で色々と言ってやりたい部分はあるが……今回は……今回だけは、お前の変態にグッジョブをしてやろう! シルエットの事はちゃんと覚えて置くけどな!」


「そこは忘れて下さい!……そして、今は私の紳士トークに華を咲かせている場合ではありません! 今度こそ……来ます!」


 私の言葉に、パラレルは少しあたふたした口調で素早く声を返した瞬間、


 ズドンッッッッ!


 爆発にも似た衝撃波が、あたり一面に広がった。


 なんて事はない。


 ユニクスと……そして、私の身体を半融合させた存在が、私の前にやって来たからだ。


 メインは……ユニクスかな?


 ……って、おい!

 私と融合したのなら、私の部分もちゃんと残しておけよ!

 大体がユニクスじゃないかっ!


「……待たせたな?」


 私と半融合している筈なのに、外見的にはユニクスとちっとも変わって居なかった存在……もう、ほとんどユニクスだから、コイツはもうユニクスでいいや!

 ともかく、ユニクスは不敵な笑みを作りながらも私に口を開いた。


「なぁ……お前? 半分は私なんだろ? どうして、私の部分が全くないんだ? 普通は半分が私であるのなら、私の名残みたいな物があったりするんじゃないのか?」


「……ふん、リダの部分を言っているのか? そんな物は要らん。外見だけで言うのなら、ユニクス……つまり、この外見で既に完結しているんだよ?……美しい顔と完璧なボディ。もはや、ここを変更する必要はない。違うか?」


 だからって、私を完全に消すなよっ⁉︎

 もう、私の部分は外見的に全部要らないって事になってしまうじゃないかっ!


「そう言うお前だって……外見は、リダのままだろ?……ああ、すまない。全部ではなかったな? 良く見るとシルエットレベルで極端に異なる部分があったな? あははははっっ!」


 更にユニクスは、私とっての逆鱗に値する部分を嘲笑う。


 ……ふ、ふふふっ!


「良く言った……ユニクス。いやN65! 貴様は絶対の絶対に泣かす!」


 私は額に巨大な怒りマークを作った状態のまま、心の中にある憤怒をあらん限り言霊ことだまに乗せ……痛烈なる怒りの波動を吐き出していた。 

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