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そもそも名前などあろう筈もない新世界【11】

 ここでリガーの加勢に入る事は……ヤツの楽しみを奪うだけだ!


 その証拠に、リガーの口元は緩んでいる。

 はは……こんな所まで一緒なのな?


「はは……ははははっっ!」


 リガーは、大きく高笑い!

 きっと、相手からすれば、何がおかしい?……って気持ちにすらなるだろう。

 そう言いたくなるのも無理はない……が、しかし。


「……うむ」

 

 私は両腕を組んだ状態で、その場を見守る事にした。

 もう、間違いない。


 あの笑い方……まるで、鏡でも見ているかの様に同じ行為をする仕草……それら全てが……私その物だ!


「……気でも狂ったか?」


 ユニクスは妖艶な笑みを作りながらも、リガーへと答えた。

 

 すると、リガーは即座に返答する。


「違うね? ちょっとお前を馬鹿にし過ぎた……それだけの話だ!」


 スーパードラゴン呼吸法ブレイズレベル6!


 返事と同時に、リガーはレベルを一段階上げた。


 ……刹那、


「……っ⁉︎」


 ドゴォッッ!


 ユニクスは吹き飛んだ!


 ……うむ。

 なるほど? やはりレベルを一つ上げると、見違えるまでにスピードが上がるな。


 現状の私は、レベル5までしか発動して居ない。

 ……だからと言うのも変な話ではあるのだが……私は、リガーが何をしたのか分からなかった。


 勝負に出たな、リガー。


 スーパードラゴン呼吸法ブレイズは、レベルが一段階上昇すると、文字通りレベルが違う戦闘能力を得る事が出来る。


 ……が、その反面、吸われるエナジー量も半端ではない!

 水の精霊王……ミナホさんの部下にいたであろう、特殊な能力を加護として受けていた私は、それでもスーパードラゴン呼吸法ブレイズ時に吸われるエナジー量を大きく緩和していたりもするのだが、ここを加味しても、レベル6まで上昇させると……自分でも良く分かるレベルで身体に大きな大きな負荷が加わる。


 恐らく……って一時間だろう。


 攻撃したり、魔法を発動させるなどと言う行動をせずとも……なんなら、立っているだけで大量のエナジーを吸われてしまう為……この補助スキルは完全なる諸刃の剣。

 このスキルが有効である内に相手を仕留めなければ、エナジーが完全に枯渇し……そして、成す術もなくやられてしまう……そんな大きなリスクをはらめたスキルでもあるのだ。


 強烈な一発を貰ったユニクスは、何もない真っ白な空間を吹き飛んで行く。


 ……ふむぅ。

 この世界も丸いのかな?

 なんと言うか、途中でユニクスが高く飛んで行き……そして、重力に吸い込まれて行くかの様に落下すると……そのまま見えなくなってしまった。


 つまるに、それは地平線の彼方まで吹き飛んでしまった為、この角度からだと見えなくなってしまった……と言う事だ。


 そして、地平線の彼方まで吹き飛んでしまったユニクスが戻って来る様子がない。


 ……?


「やけにアッサリだな?」


 私は少し小首を傾げた。


 確かにレベル6となったリガーの一撃は凄まじい物があった。

 レベルをまだ5に抑えている私からすれば、一発で脳震盪のうしんとうを起こすレベルのダメージを受けていたに違いない。


 ……が、ユニクスのエナジーは、まだしっかりと残っている。


 なんと言うか、カリンの時も感じたのだが……コイツらは、エナジーを外に放出するクセの様な物がある。

 よって……ユニクスがまだピンピンしていると言う事実が、遠くからでも分かってしまうのだ。


 そこらを加味するのであれば、


「まだ終わり……って訳じゃないな」


 リガーは呟く。

 エナジーの大量消費を防ぐ為、一時的にレベルを4まで落としていた。


 私的には5でも十分だと思ったんだが……まぁ、念のために4まで落として置いたのだろう。


 今の私……つまり、リガーのレベルになれば、もはや4の状態であれば常時そのままで居ても問題はないだろう。

 吸われるエナジーよりも、座ったり休んだりする事で回復するエナジー量の方が上回るからだ。


 レベルが5だと、これが出来ないからな。


 ただ、いつでもレベルを6に戻すつもりではいるのだろう。

 リガーは、戦闘状態の気迫を決して緩めず……そして、一切の油断をする事なく、虚空を見据えていた。


 厳密に言うと、虚空の先にいるだろう……ユニクスを見据えて。


 そこから十分が経過。


 ユニクスはまだ動かない。


「……どうなってるんだ?」


 私は眉を捩って呟くと、


「……っ! 分かりました! 貧乳です! 遂に、向こうは奥の手を出すつもりです!」


 変態パラレルが、ハッ! っと気付いた顔になって叫んだ。


 ……ほぅ?


「そうか……で? その貧乳と言うのは何だ? 向こうの奥の手だろ?」


 私は言う。

 地味に睨みを効かせた状態で。


 ……いや、だってだな?


 現状で、身体が見付かっていないのは……ユニクスと私だ。

 

 その状態で……だ?


「まさか、その貧乳とか言う奥の手は、銀髪でツインテールで、とっても可愛い女の子だったりしないか?」


 私は殺意の波動をこれでもかと言わんばかりに放ち、背景に『ズゴゴゴォォォッッ!』って感じの効果音を無秩序に放出しながら、変態パラレルに尋ねてみた。 

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