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そもそも名前などあろう筈もない新世界【8】

 あるいは、ウチのバカ男供の予測がその通りなのかも知れないが……そう言うナイーブな事は、こんな所で裸のままカプセルに閉じ込められてしまうと言う、一種の罰ゲームみたいな行為を行ったと言う事でチャラにして良いのではないのかと思う……ってか、それで良いよ、もう!


 何にせよ、これで私が知る限りだと……ユニクスと私の二人だけって事になるな?


「もう良いだろ? いつまで眺めているんだよ? 変態パラレル? いい加減、次に行くぞ?」


「いや待って下さいリダさん。こんな大っぴらな裸体は、きっと早々お目に掛かれる物ではありません! 紳士たるもの、ここはしっかりと目に焼き付けておかねばっっ!」


「分かった、もう一発爆発して置こう」


「さぁ行きましょう! 時間は有限です! こんな所で余計な時間を消費していては行けません! 一刻も早く、全ての身体を回収しなければ!」


 私に右手を向けられた所で、ようやくパラレルが動き始めた。

 その姿を見て、リガーも苦笑い状態のまま後に続く。


 何となくだが、リガーの奴も少しだけ名残惜しい様に見えるな。


 ……やっぱりリガーも、胸の大きい女の方が良いのだろうか?


 ………。


 いや、リガーの好みなんてどうでも良いし!

 つか、私の胸だって、それなりに大きいしっっ⁉︎


 無意識に、カプセルの中に居た女性と張り合ってしまった自分が居た事に気付いた所で、ブンブンッ! っと首を真横に振る私がいた。

 本当に何をやっているんだろうな?……私わっ!


 巻き込まれたのだろう二人の被害者が入っているカプセルにも、パラレルの加護を加えた所で次の場所へと向かおうとする私達。


 ……が、しかし。


 これまで順調に来ていた私達の前に、


「……ふぅむ……どうやら、向こうさんも動いた模様ですねぇ」


 そうとパラレルが答えた頃、


 ドォォォォォォンッッッ!


 強烈な爆発が、私達を襲った。


 ……っ⁉︎


 咄嗟に魔導防壁を発動し、その場はなんとか凌いだのだが……。


「……なぬ?」


 大爆発と同時に、こちらへと魔法を発動させた人物を特定した私は、思わず瞳を丸くしてしまった。


 発動させた人物……それは、ユニクスであったからだ。


「……なんでユニクスが?」


 私は動揺を禁じ得ない。

 それは、ユニクスが私達に攻撃を加えたから驚いているのではない。


 恐らく、今のユニクスはN65の管理下に置かれている為、単なる操り人形と化しているのだろう。

 強いて言うのなら、ユニクスは少し前に居た世界で、精神を半融合させている筈なので……今、肉体を動かしているのは、私の知るユニクスではないと言う事だ。


 それらを考慮すると……今のユニクスを動かしているのはN65なのだろうか?

 確か、カリンから離れた時に、スゥ……っと身体から離れては、消えて行った人型の精神体が、今のユニクスを動かしているんじゃないのか? そう、予測する事が出来た。


 しかし、驚くべき部分はそこではない。

 ポイントは、ユニクスが発動した魔法だ!


 この魔法は超炎熱爆破魔法フレインダムド


「どうして、ユニクスが……この魔法を?」


 私は愕然とした顔のまま、思わず独りごちてしまった……その時だ。


「フハハハッ! これは『思わぬ掘り出し物』だぞ? まさか、こんなにも優秀な器を持ち、底無しの潜在能力を持つ肉体があったとは!」


 ユニクスが歓喜に満ちた声で叫んでいた。


 姿は、ユニクスだった。

 少し前にいた世界へと向かう直前の時に見せていた服装と全く同じ格好をしている。


 ……が、しかし。


 私の知るユニクスとは、一つだけ大きく異なる物があったのだ。


 それは……髪の色だ。


 私が知るユニクスは黒髪黒目。

 鮮やかな黒髪を美麗に保っていた。


 しかし、今のユニクスは金髪碧眼。

 艶やかなブロードの髪を妖麗に見せていた。


 だが、実を言うと……元々のユニクスは金髪碧眼だったりもする。

 私の加護と言う名の呪いを受けた事で、その色を変化させていた。


 つまり、今のユニクスは……私に対しての加護を全て振り払った状態になる。


 ……嘘だろ?


 私は呆然となってしまった。


 理由は簡素な物だ。

 私の加護は、さっきも言ったが呪いの一種だ。


 私を主人とし……私から力を得る事が出来る一方……私に対しては絶対的な服従を誓わなければならない。

 よって、自力で解く事は根本的に不可能であり、私の許可がない限り、その加護……つまり呪いを解除する事は出来ない筈なのだ。


 ところが……どうだろう?

 今のユニクスは完全に私の加護を……その呪いを自力で解除しているではないか!


 この呪いは、さっきも述べた通り、基本的には私の許可がない限り解除する事は出来ない。


 しかし、強いて言うのであれば……一つだけ解除する方法がある。

 私の能力を大幅に上回り、私の持つ呪いの効果を打ち消せるだけのパワーを得る事だ。


 ここらを加味するのであれば……今のユニクスは……。


「……冗談だろ?」


 私は顔をくしゃりとしかめてしまった。

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