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そもそも名前などあろう筈もない新世界【7】

 そろそろ、話を本文に戻そうか。


 ……以後、私達は周囲が真っ白以外に、特徴が一切ない……まさに白の世界としか言い様のない世界を滑空魔法グリードで飛んで行き……カプセルがある場所を発見しては、パラレルの加護を付与する事で管理する相手を変更して行く。


 そうこうしている内に……。


「……こ、これはっ⁉︎」


 リガーがハッと息を飲む。


 ボチボチ全員のカプセルを、パラレルの管理下に移動させる作業を展開していた頃……リガーが入っているカプセルを発見したのだ。


 おお!

 こ、これは、遂にリガーが元の身体に戻る事が出来るのではっ⁉︎


 そうと思った私が居た頃、パラレルはこれまで通りに加護を加え、そのままさっさと次に向かおうとしていた。


 ……おい。


「これ、リガーの身体だろう? そして、精神は今ここに居るよな? それなら、すぐにでも戻せるんじゃないのか?」


 あまりにもナチュラルに……これまでと同じ作業内容をして、しれっと次に向かおうとしていたパラレルを見て、私はツッコミ半分の声を吐き出して見せる。


「確かにリガーさんは居ますね? そして、これはリガーさんの肉体です。よって、精神と肉体が揃っているので、この場で元のリガーさんに戻す事は可能です。やる気になれば今すぐ出来ます」


 ……そうだろ?

 それなら、直ぐにやれよ!


「……なぁ、パラレル? 俺はお前のやりたい事が分からない。どうして直ぐに出来る事をやらないんだ?」


 ……ほら見ろ。

 リガーだって、お前の事を怪訝な目で見てるぞ……?

 

 実際、涼しい顔してスルーして行こうとしていたパラレルを見て、リガーは唖然とした顔になってパラレルに尋ねていた。

 まぁ、私だって同じ事を言うと思うぞ?


「……ふむ、そうですか。言われてみれば、あなた方は知らなかったのですね?」


 すると、パラレルは軽く納得する感じの声を吐き出してから、説明をする為に再び口を開いて来た。


「二人のリガーさんが、それぞれ自分の肉体に戻ると、意識がなくなります。言うなれば麻酔の様な物ですかね?……まぁ、半融合とは言え精神を引き剥がす訳ですから、それ相応の負担を強いられる訳です」


 ……ふむ、なるほど。


 精神は関係ないかも知れないが……思えば、私も並行世界へと移行する時は、決まって『寝ていた』な?

 すると……今ここでリガーを元に戻すと、リガーは意識を失う……と?


「リガーさんは貴重な戦力です。こんな所で意識を失われても困るんですよ?」


 ………ああ、なるほど。

 なんか、物凄く根本的な部分過ぎたせいか、言われて物凄く納得してしまった。


 要は、ここでリガーを戻してしまうと、リガーは意識を失ってしまう。

 直ぐに目を覚ますかは分からない。

 ……否、多分だが……パラレルの言い分からするとしばらく目を覚さないんじゃないだろうか?


 そうなると、リガーは事実上の戦闘不能状態だ。

 これから、どんな激しい戦いが待っているのか分からないと言う状態でやれば、コッチの戦力が著しく低下してしまうと言う事を知っていたのなら……まぁ、普通に考えてやらないわなぁ……。


「そう言う事だったか……分かった。確かにそうだな? この大一番で、俺だけ高鼾たかいびきとか……はは、やったらあかぱじだ」


 リガーは少し苦笑混じりになって言う。


「どちらにせよ、ここでリガーさんをコッチの管理下に置く事が出来たのは僥倖ぎょうこうですね? これで、リガーさんを相手にする不安材料は無くなりました。後は……リダさんだけですね」


 他方、パラレルは笑みで私に答えて来た。


 そう言えば、まだ私の身体は見付かってないな。

 

 これまで見付かっているのは、フラウ・ルミ・アリン・リガー・バアル・アシュア。

 その他だと、偶然公園付近に居たんじゃないのか? と思われる通行人の男性と女性の二人。


 なんと言うか、この二人は私達の事件に巻き込まれてしまった、可哀想な存在だとは思うのだが……しかし、ふと思う。

 この二人……どうしてか服を着てない。


 お陰で、変態が無駄に騒いで仕方なかったし、リガーもリガーで目のやり場に困っていた模様だし、私も私で男の方が見事な猥褻物わいせつぶつ状態であったが故に、どう言う顔をすべきかで悩んだ。


 しかし、思う。


 あの時、あの場所で、この二人は果たしてぱだかで何をやっていたと言うのか……?


 これまでのメンバーを見ている限り、カプセルの中に入っていたのはN65パラレルが作り出した異次元ホールみたいな物に飲み込まれた『当時の格好』だった。


 すると、この二人は夜の公園で、まさかの素っ裸状態だったと言う訳で……。


「……う、うむ。これは余計な詮索をしない方が良いな!」


 私は敢えて、それ以上の事を考えない様にした。


 その後ろで『もしや、これは……子作りっ⁉︎』……とかって、鼻息を荒くしたまま、言ってはならん事をほざくパラレルが居たけど無視した。


 ついでにリガーが『このおねーさん、胸デカイな』って感じの事を言っていたので、爆発してやろうかと衝動的に右手を向けたくなったけど、これも無視した!


 ここには変態しかおらんのかっ⁉︎

 これだから、男わっっ!

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