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カリンと言う、地味に憎たらしい特殊な巨乳予備軍がいる世界【11】

 もう、これは間違いない。


 今、私の前に居るのは、この世界では平凡に生活しているのだろう、私の妹……カリンだ。


「……ってか、本気で私はどうしてこんな所に居るのか分かんないんだよねぇ……私的に言うと、朝にさ? リダ姉の所に行ったじゃない? そこから先の記憶がスッポリと抜けているって言うか……瞬間移動でもしたみたいに、なんもないんだよ……これ、病気とかじゃないよね?」


「安心しろ。お前の頭は正常だ。特に病院へと行く必要もなければ、何か特殊な病気に掛かっている事もないと、私が保証してやる」


「えぇっ⁉︎ リダ姉……って、いつから医者になったの? そんな事が分かるなんて、カリンちゃんビックリ!」


 カリンは本気でビックリしていた。

 まぁ、言いたい事は分かるよ……うん。

 実際に、いきなり記憶が欠落している状態だと言うのに、大した根拠を示す事なく『私が大丈夫と言ってるから大丈夫だ!』と言われても『あんたは医者か?』って感じの返事を、かなり訝しい顔になって言うに決まっている。

 きっと、立場が逆だったのなら、私だって同じ事を言うかも知れないのだから。


 けれど、今回に限って言うのなら……ちょっと説明するのが難しい。


 並行世界からやって来た、並行世界の管理者にお前は乗っ取られていたんだ……と、しっかり説明した所で、余計に怪しまれるに決まっているのだからな!


 全く……面倒な逃げ方をしてくれた物だ。


「ともかく、大丈夫だ。お前だって分かるだろ? 別に身体のどこそこが痛いとかも無いだろうし」


「……いやぁ……それがさぁ? さっきからお腹の辺りが物すごぉ〜く痛いんだよねぇ……? これ、何だろ?」


 ……あ、いけね。

 そうか……そう言えば、私はカリンの腹部を思い切り殴っていたな。

 場合によっては、内臓に支障をきたすレベルで殴っていた。


 思った私は、


 治療魔法リカバリィ


 直後に、カリンへと治療魔法を発動させた。


「……前言を撤回する。やっぱり念のために病院に行って来い。何処も問題はないと思うが、こう言うのは石橋を叩く程度の方が良いからな?」


「そ、そう?……でも、今ので痛みが完全に消えたよ? てか、やっぱりリダ姉は凄いね? 医者なんか要らないよ? 一家に一人居て欲しいよね?」


「私は便利家電じゃないぞ?」


「違う違う、常備薬の方だよ!」


「どの道違うわっっ!」


 にこやかな笑みのまま答えたカリンに、私は即行でツッコミを入れた。


 ……やれやれ。

 やっぱりコイツは私の妹で決まりだな?


 さっきまでの、妙に小憎たらしい態度と言動は完全になくなっていた。

 その代わりと言っては難だが……アリン染みたボケを、ナチュラルに披露して来た。

 きっと、コヤツは素でボケているのだろう。

 まさに天然ボケである。


 ……けれど、まぁ……。

 

「……うむ。やっぱりカリンは私の妹だな。ちゃんと素直な良い子だ」


「……? リダ姉の妹である事を再確認されるとは思わなかったけど、そうだと思うよ?」


 笑みのまま答えたカリンは、そこでハッとした顔になる。


「……あ、そうだリダ姉! またブラが苦しくて仕方ないから、今度一緒にブラ買いに行こう? リダ姉もそろそろ交換……はしなくても良いかもだけど、新しいのはあっても良いでしょう?」


 ちょっと生意気な所はあるけどな!

 しかも悪意があっての事じゃない分だけ……ナチュラルにムカつくんですけどっ⁉︎


「私だって成長期だぞ? そろそろワンサイズ上の物にしようとは思っていた……いたけど、やっぱりまだもう少し様子を見ても良いかな?……程度の考えだ。よって、そんなの一人で買って来い!」


「えぇぇっ! 嫌だよ〜! だってさ? 私、こないだ買ったばっかなんだよ? もう、まじでまだまだ使えますぜ! 旦那! って感じなんだよ? それなのに、新しいの買いに行くとか……理不尽過ぎないっ⁉︎」


「私からすれば、同じドーンテン家の人間なのに、お前だけその台詞を口にする事が出来ると言う現状に理不尽さを抱いている所だよ」


 顔でも理不尽さを訴えていたカリンに、私もまた別の意味で理不尽さをアピールする感じの語気を込めて声を返してみせた。


 ……くそ。

 マジで世の中と言うのは不公平だ……。

 どうして、世の中と言うのは、持っている者と持たざる者の二者を作り出してしまうのだろう?

 両方、持っていると言う形ではダメなのかっ⁉︎



 胸の格差社会にはうんざりなんだよぉぉぉっっ!



「ともかく、そんなに一人で買いに行くのが嫌なら、アリンでも連れて行け。私は知らん!」


 心の中で魂の咆哮を放ち、泣き沈みながらもジタバタと聞かん坊みたいにもがきたい衝動に駆られつつ、私は苦々しい顔になってカリンの誘いを断った。

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