カリンと言う、地味に憎たらしい特殊な巨乳予備軍がいる世界【5】
「正直に言うとさ? 私もビックリしたよ……まさかN68パラレル『如きの加護』で、私の管理下から強制的に離れるとは思わなかったからねぇ……」
カリンは肩を竦めて言う。
何と言うか、当たり前の当然の様に同じパラレルを見下す様な口振りだった。
「N68『如き』とか吐かすが、お前と同格の管理者だろ? その言い方は余り感心しないな?」
「……冗談でしょ? 確かに私の持つパラレルとしての地位はN68と同じかも知れないけど、能力差は話しにならないじゃない? 自分よりも能力の低いヤツを見下すのなんて当然でしょ?」
……お前、それを本気で言ってるのか?
しかも、軽くせせら笑う感じ言うカリンがいた。
コイツ……絶対に友達が出来ないタイプだ。
どちらにせよ、今のカリンはN65だったな。
カリン本人がこんな性格だったのなら、きっと私はしばらくこの世界に残って、コイツの性根を叩き直してやらんと気が済まないレベルだ。
「……お前の性格は良く分かったよ『N65』パラレル。ズバリ、私が現在思っている気持ちを素直に話そう。腐れ外道と会話するのは疲れる。さっさとぶちのめしてやるから掛かって来い」
……答え、私はゆっくりと構えを取った。
補助魔法と補助スキルはまだ有効だ。
かなり手加減してくれたリガーに対してこんな事を言うのは些か気が引けるが……丁度良い準備運動になったな?
程良く身体が温まった所で本番を迎えると言う意味では、リガーとの戦いも無駄ではなかった。
「……へぇ? 大した自信だねぇ? そこのパラレルは、私に対して全く手が出せないで居たと言うのに」
構えを取ってみせた私を見て、カリンが悠然と好戦的な笑みをニィ……と浮かべる。
他方、その頃……隣にいたアリンも攻撃態勢に入ったのか? 私に対していつでも攻撃出来る様な姿勢を見せて来た。
……ぐむぅ。
この時点で私は気付く。
……これ、このまま戦ったらダメなんじゃないのか?
カリンに操られているアリンはもちろん……カリン本人だってN65に操られている身だ。
言うなれば、これは同士討ちである。
「……はぁ」
私は軽く嘆息してから、
「そうな? どうして変態が攻撃しなかったのかは分かった……が、まぁ……その、あれだ? お前は一つばかり大きなミスを犯しているな?」
軽い口調でカリンへと言う。
この言葉に、カリンは不思議そうな顔になった。
「ミスだと? 私が一体、いつそんな真似をしたと言うの?」
ちゃんちゃらおかしい!……って顔になって、私を鼻で笑っていた。
……なんか、地味にムカつくんですけど?
思えば、この妹は私の精神を逆撫でする様な言動をナチュラルに吐き出す娘なんだよな!
ついでに言うのなら、実に挑発的なボディラインの持ち主でもあるし!
だが、そこは関係ない!
「……ま、リダ姉の様な? 胸のない女の言う事なんて、私は気にしないから構わないけど?」
やっぱりムカつく!
「今回の事に胸は関係ないだろ! 今すぐ取り消せ! それと、私の胸はちゃんとある!」
「はぁ? それ……本気で言ってるの? あははははっ! ダメ、それ……マジでウケる!」
カリンは比喩でも何でもなく、腹を抱えて笑っていた!
よぉぉぉぉし! 貴様は泣かす!
お前が妹であろうと、なんであろうと、絶対の絶対に泣かす!
なんなら、私の中にいるもう一人の私も同意しまくってる!
これなら行ける! 貴様の根性を、完膚なきまで叩きのめしてやるから覚悟しておけっ⁉︎
「ともかく、お前は大きな失態を犯した! 私に加護があるから、私はお前の管理下から離れたと言う事実を、ご丁寧にも私に暴露した事だ!」
私はズバリ叫んでやった!
すると、カリンはキョトンとした顔になり、
「それがどうかしたの? つるぺた姉ちゃん?」
更に私の逆鱗に触れて来やがった!
ぐぬぬぬぬぅぅぅぅっ!
「もう許せん! 泣いて謝っても許さん! 貴様には、どの道キツゥゥゥゥゥイお灸を据えてやらんと、マジで勘弁ならん! ドーンテン一族にしては豊満な……豊満過ぎるその胸……しっかりと矯正してやるからな! 絶対に、だ!」
「やだやだ……これだから、胸のない女のひがみは嫌だ……ああ、ハイハイ! 好きなだけ言ってれば? 口ではなんとでも言えるし? 要は私を倒すと言ってるんでしょう?」
そこまで答えたカリンは、妖艶な笑みを色濃く作り……構えた。
「じゃあ、やって見れば? 胸のないお姉が、この私に勝てるとは思えないけどさ?」
胸と実力は関係ないからなっっ!
そして、私はお前よりも胸はないかも知れないけど……ちょぉ〜っとだけ足りないかも知れないけど、実力に関して言うのなら圧倒的にずば抜けているからな!
その現実を、思い知るが良い!




