カリンと言う、地味に憎たらしい特殊な巨乳予備軍がいる世界【4】
爆発の瞬間、リガーが吹き飛んで行くのが分かった。
……と、同時に……
……フッ!
……っと、消えて行くのを確認する。
……?
なんだ……それ?
まさか、身体が消えるとは思わなかったぞ?
しかも、意図的に身体を移動させたとか、そう言う代物ではなかった。
私の動体視力では追い付けない程の速さで動き『消えた様に見えた』と言う錯覚に陥ったのなら……『まだ分かる』のだ。
しかし、今のは明らかに違う。
完全に身体が消えていた。
もう、消失と言う感じだ。
あるいは、瞬間移動でもしたのか?
……ん? 瞬間移動?
……まさか?
そこまで考えた時、私は変態がいる方角へと視線を向けた。
リガーと私の二人が攻防を繰り広げている中……パラレルはどう言う訳か、アリンとカリンの二人と対峙する形で動かなかった。
そこに、どんな経緯があって戦闘が開始されなかったのかは、私の知る所ではない。
分かる事はパラレルが、リガーに対して空間転移魔法の類を使ったと言う事。
思えばあの変態……人間じゃなかったな。
そこを加味するのであれば、パラレルが空間転移魔法を発動させていても、なんもおかしな話しではなかった。
そして、タイミング的に言うのなら……まぁ、なるほど……と、私なりに納得する事が出来る。
吹き飛んだリガーの姿からすれば……ヤツは完全ノーガードで私の超炎熱爆破魔法を甘んじて受けていた。
正直、少しはガードしろよ! と、逆にハラハラしてしまうまでの勢いで、直撃をモロに喰らっていた。
……つまる所、リガーは思い切り瀕死の状態にある。
言うなれば、完全な戦闘不能状態と述べても差し支えない状況にまで陥ってしまったのだが……恐らく、この場所に転がっていれば、間違いなくリガーは回復魔法を貰って元の状態に戻ってしまうだろう。
それでは何の意味を持たない。
単純にわざと私の魔法を喰らった『だけ』になってしまう。
故に、昏倒したリガーを『別の所に送る』事で、今回の戦闘から強引に離脱させた訳だ。
それが、刹那の機転によって行われた物なのか? それとも単なる偶然か?
どちらなのかは知らないが、私としてはナイス・タイミングと言わざる得ないな!
「……パラレル。グッジョブだ」
少し間を置いてから、私はパラレルの間近までやって来ては、瞳をキュピーンッ☆ っと光らせてからサムズアップして見せる。
果たして、パラレルは叫んだ。
「どうしてリダさんがここに居るんですっ⁉︎ あなたは私の話を聞かなかったんですか? バカなのですかっ⁉︎ あなたがここに来ても、操られておしまいだと、何回言えば良いのです⁉︎」
パラレルは、額に怒りマークをでっかく作った状態で、私に思い切りがなり声を上げて来た。
……いや、パラレルさんよ?
「……じゃあ、お前に一つ尋ねてやろう。今の私は『操られている』か? いないだろう?」
「……へ?」
私の言葉に、パラレルはポカンとなった。
そこでようやく気付いた模様だ。
「そ、そう言えば……」
もっと早く気付いて欲しい所だ……全く。
……大体だな?
「……普通に考えてみろ? もし私が操られる立場にあるのなら、わざわざリガーが私を襲うか? カリンだって自分の駒になる存在を、己の戦力を使って攻撃するか? しないだろ?」
ここから考えても、すぐに分かる事だろう?
「……じゃあ、聞きますが? どうしてリダさんは大丈夫なんです?」
そんなの決まってる!
「私が知る訳ないだろ!」
「知らないのかーいっっ!」
真顔のまま断言する私を前に、パラレルが思い切りツッコミを入れていた。
なんて言うか、ビミョーに斬新だった。
いつもは変態がエロいボケ方をするのが定番だったからな!
「加護が付いているんだよ……リダ姉」
声が転がって来た。
声の主は……カリンだ。
カリンは、アリンの真横に立った状態のまま両腕を組みつつも、悠々とこちらを見据えていた。
「加護……だと?」
「……あら? 何? まだ気付いてなかったの?……勘弁してよ? 本当は気付いている物だと思って、敢えて言ってあげたと言うのに」
キョトンとした私の言葉に、カリンは意外そうな顔になった。
加護……ねぇ?
ん? 加護?……ああっっ!
分かった! パラレルの加護だ!
言われるまで気付かなかった。
確かに私は、パラレルの加護とか言う、何だか良く分からない加護を受けていた!
リガーが生きている並行世界から、私の住む並行世界へと戻る時に!
思えば、この加護を受けた時に、今の変態と共鳴する事で出会う事が出来たんだった。
……うむ!
何の役に立つのか良く分からなかったけど……実は凄い加護だったんだな!




