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ドーンテン一族なのに、何故か胸元が大きい女性がいる世界【15】

「お前の血液に適合する相手は、アリンか俺のどちらかだった……ま、可能性からすれば俺の方が高いと思ってな? それで、俺の血を輸血して置いた」


「え! そうなのっ! 今、初めて知った新事実だよ!」


 それを衝動的に言う事が出来るアリンちゃんに、私があなたの隠された新事実を知って衝撃を受けたよ!

 

 と、取り敢えず……だ。


 一応、私の体内にモンスターの生き血が投入されてはいない模様だ。


 助けて貰って置いて言う台詞ではないかも知れないけど……本当に勘弁して欲しいぞ……オイ。


 どちらにしても、リガーとアリンの二人によって助けられた……らしい。


 最後に『らしい』なんぞと言う曖昧な台詞を付けたのは……まぁ、言うまでもないな? 普通に意識を失っていたからだ。


 まさかアリンに、後ろからナイフで刺されるとは思わなかった。

 

 現状のアリンを見ると、元の状態に戻っているみたいで安心したが……あれは一体、なんだったと言うのだろう?


 ふと、こんな事を考えていた時だった。


 バンッッッ!


 自宅玄関のドアが、アホみたいな勢いで開くと……えっ⁉︎


 次の瞬間……私は見た事もない美男子に抱き締められていた!


 な? なっ! なぁっ⁉︎


 全く以て訳がわからない!


 ……だが、私にとっての驚きは更に続いた。


 謎の美男子に抱き締められた直後、アリンとリガーの目付きが大きく変貌したのだ!


 ……な、何が起きて……っ⁉︎


 直後、リガーとアリンの二人が、抱き締められている私ごと攻撃しようと動き出した!


 刹那、私の身体が素早く浮いた。

 ……と、思った次の瞬間には……私を抱えた美男子がリビングへとダッシュして行き、そのままベランダからダイブ!


 恐らく、玄関から外に出るのは難しいと考えての事なのだろうが……マジで何が起こっていると言うんだよっっ⁉︎


 シュバァァァァァァッッ!


 ベランダから外へとダイブして間もなく、滑空魔法グリードを発動させた美男子は、音速以上の速度まで超加速!

 一気にトウキの中心市街地から、郊外へと飛んで来てしまった。


「……追ってこない……か」


 しばらくして。

 軽く後方を確認していた美男子が、真剣な顔のまま呟くと……これまでマッハ2は出ていたろう速度を緩やかに減速して行き、最終的には地上へと降下して行く。


 降り立った先はトウキ帝国のトウキ州の南端エリアまで来ていた。


 ………。


 真面目に何が起こっているのやら。

 

 私を庇う形で、こんな所まで飛んで来た謎の美男子からすれば、それなりの段階を踏んだ結果、こうなっているのかも知れないが……完全に気を失っていた私からするのであれば、急展開にも程がある。


 どうにもこうにも、理解が追い付けない心境になっていた私は、状況の説明をして貰おうと、眼前にいた青年へと尋ねた。


「……あのぅ、申し訳ないのですが、アナタは誰です? それと……助けて貰った模様ではあるのですが、アリンとリガーの二人はどうなってしまったと言うのでしょう?」


「……? リダさん? 私の事を忘れたのですか? あなたのストライプなパンツが三度のご飯よりも気に入っているパラレルですよ」


 ……って、変態パラレルかよっっっ⁉︎


 にこやかな笑みのまま答えたパラレルの台詞を耳にした瞬間、私は猛烈な脱力感に苛まれた!


 言われてみれば、こいつの格好は全身をすっぽりとフードで覆っていた、胡散臭い占い師の格好をしていた。

 そして、異世界のパラレルではあったのだが……確かに、その世界にいたパラレルは物凄いイケメンでもある。


 あっちのパラレルは、中身もイケメンだったけどな!


 しかし、こっちの世界に存在していたパラレルの素顔を見るのは、これが初めての事だった。


 くそぉ……コイツがあの変態である事を知っていたのなら、私だって敬語なんぞを絶対に使わなかったと言うのにっ!


「なんだ、ただの変態かよ……ったく、マジで気付かなかったぞ」


「せめてルビを付けましょうよ! そして、枕言葉に『ただの』って入れたら、もう正真正銘、本当の変態になってしまうじゃないですか! もう、言葉の暴力にしかならないじゃないですかっっ⁉︎」


 パラレルは、瞳から『ブワァッッッ!』っと、大量の涙を流しながらも、非難がましい台詞を喚き散らして来た。


 顔はイケメンなのに、言ってる事とやってる事は残念極まった。

 きっと、こう言う奴の事を『残念なイケメン』と言うのだろう。


 地味に長いから、今風に略して置こう。

 頭文字で行こうか?


 そんな訳で、


「変態が嫌なら、次からお前は『ZI』で。でも、これもZIと入力すると、『じ』になるから、今からお前は『ジ』だ」


「いやいやっ!『ジ』とか、もはやなんの略なのか分からないですよ! 変に捻りすぎて、母体となる元の言葉が見えて来ませんから!」


 私なりに新しい略語を生み出した直後、パラレルが思い切り不服を口にして来た。


 何が不服なのかは、私には分からなかった。 

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