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リダさん、死闘の果てに!【4】

 まず私が最初に選んだのは『友愛』のスキル。

 これは、どんな相手とも仲良くなれると言う代物。

 

 ......うむ。

 どおりで、私は人見知りをしない訳だ。

 交遊関係も去ることながら、私が会長になった素因の一つでもある。

 人間は一人では生きられない物だ。


 次に選んだのが『剛力』のスキル。

 私は根本的にパワータイプの冒険者だった。

 ここらの関係があるのか? 今でもちょっとゴリ押ししがちだ。

 脳筋チックな私には必須のスキルとも言えるだろう。


 最後に選んだのが『無限成長』のスキル。

 努力に果てはない......が、悲しいかな、限界は何処かで到達してしまう。

 それではつまらない。

 努力の数だけ成果が出る自分でありたい。

 常に進化し続ける自分がいれば、向上心だって薄れないだろう。


 以上の三つを手にした私は、宇宙意思によって彼女の箱庭へといざなわれて行くのだった。


 


 .........


 ......


 ...




 ......ふむ。


「最初は酷い悪夢だったが、最後は中々に興味深い夢だった」


 夢から覚めた私は、地味に感慨深い気持ちになった。

 本日も休みだ。

 土日は連休と言うのは、学生の特権って所だろうか?


 まぁ、週休二日制の場所もあるから何とも言えないけど、私にとっては有り難いな。

 軽くもそもそとベットから身体を起こして、ゆっくりと立ち上がる。


 それにしても、これがこの世界の真実であるのなら、人によっては発狂しそうな事実だな。

 何せ、この世界はただの箱庭なのだから。


 宇宙の中で長い永い時間を掛けて生まれて来た宇宙意思が、他にやる事もなくて暇潰しに創られた世界。

 それが、この世界なのだから。


「プライドの高い人間なら、ふざけるなって叫びそうな世界だよ......全く」


 私は苦笑しながら呟いた。

 人によっては絶望し、発狂しそうな事柄かも知れないが、私はそうとは思わない。

 前にも言ったかも知れないが、どんな理由であっても何であっても、この世界を創ってくれた事に感謝したい。


 そもそも、世界が創造された理由なんか、根本的にありもしないんだ。

 色々な偶然が発生した末に、たまたま生まれただけに過ぎない。


 当然、なんらかの目的を見出だす事など皆無。

 けれど、理由はどうあれ、私達はこの世界で楽しく生きている。

 それならそれで良いのではないのだろうか?

 下手に難しい事を考えるから、頭が狂ってしまうんだ。


 私は馬鹿で良かったよ。

 余計な事を無駄に考える事なく、今と言う世界を楽しく生きて行けるのだから。


「さて、今日はどうしようかな」


 休みの日だし、昨日はチズさんの所に行って来たから、今日は部屋の掃除とかしながら、まったりとした一日を送ろうかな。


 ふと、呑気にほけーっとしていた時だった。


 コンコンコン!


 やや、荒々しい感じのノックがドアの向こうからやって来た。


「......?」


 何だ? 


 良く分からないけど、ノックから地味に焦っているのが分かる。

 一体、何が起きたと言うのだろう?


 ガチャ


「どうした? 何かあったのか?」


 ドアを開けると、そこにいたのはユニクスだった。

 女性寮だったからだろうが、性別は女に戻っていた。


「大変ですリダ様っ! 学園内の闘技場に......っ!」


「闘技場? あんなトコで大変な事が?」


 ......まさか?


「もしかして......アインのヤツが?」


「恐らく......アインかと」


 表情を引き締めて言う私に、ユニクスも神妙な顔付きのまま答えて来た。

 恐らくと、曖昧な表現をして来たのは、アインが全くの別物に変貌していたからだろう。


 私が見ていた時点で、既に半分はおかしな姿に変わっていた。

 そこから予測するに......。


「ヤツは......もう、完全に人間の姿を捨ててしまいました」


 力無く答える。


「......そうか」


 私も短く答えた。


 これは私の予測に過ぎないのだが、私がこの世に転生して来るちょっと前に、違う宇宙意思がこの箱庭世界にちょっかいを掛けていると言っていた。

 そこからみかんが誕生し、ちょっかいを掛ける宇宙意思を排除しようとしている。


 つまり、だ。


 ここがゲームの世界だと言っていたアインは、このちょっかいを掛けて来る宇宙によって、この世界に転生して来たんじゃないかと思った。

 もしそうであるのならば、私とアインは紙一重だったのかも知れない。


 死んだ所までは、全く一緒だった。

 その後に偶然飛んで行った場所が違っただけなんだ。

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