表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1059/1397

ドーンテン一族なのに、何故か胸元が大きい女性がいる世界【13】

 余談になるが、この公園は私の世界にもある。

 やっぱり、地理的な物は全く一緒なんだな。

 ……よって、この公園がどんな物なのかのあらましを知っていたりもする。

 こう言った所は助かるな!


「……アリンッ!」


 公園の広場にやって来た私は、その一瞬後にアリンの姿を発見する。

 そして……その対面にはカリンの姿が。


 ……うむ。

 どうやら、まだアリンは無事だった見たいだな!


「あ、おねーちゃん! なんか、カリンは大丈夫かも? 普通と言うか、いつも通りだし」


 ……って、なんでお前はそんなに呑気なのっ⁉︎


「バカか、お前は! カリンの記憶を元に、それっぽい態度とか取っているだけだろ⁉︎ カリンは双子の妹なんだから、そこらのビミョーな違いとかに気付けなかったのかよ⁉︎」


「え? 全然?」


 何処まで鈍感なの、アリンちゃんっ⁉︎


「と、ともかく、ソイツから離れろ! 今のカリンは危険過ぎる!」


 間もなく私は、即座にアリンを庇う形で回り込み、カリンの前に立ってみせた。

 同時に、カリンをキッ! っと睨み付ける。


「……? どうしたのリダ姉? 何か悪い物でも食べたの?」


 カリンは不思議そうな顔になって口を開いて来た。

 コイツ……ぬけぬけとっ!


「ふざけているのか?……それとも、何か? 私に対しても油断を誘う事が出来ると?」


「やっぱり何を言ってるのか知らないけど……」


 眉を釣り上げて言う私の言葉に、カリンはそこまで答えると口許を『ニィ……』と緩ませる。


 そして、答えた。


「リダ姉は『詰めが甘い』ね? 私の事はしっかりと怪しんでいるのに『アリンには油断しない』んだから」


 ……は?

 お前、何を言って……っっっ⁉︎


 その瞬間、私の腹部に刃が生えた。


 え?……な、なに……これ?


 何が起こったのか、分からなかった。


 直後、胸元から一気に込み上げて来る何かがやって来ては……喉元まで逆流して来て、


「ゴフッッッ!」


 私は、口から大量の血を吐き出してしまう。


 この瞬間に気付いた。

 アリンの瞳は、明らかに常人の目ではなかったと言う事実に!


 ……や、やってくれるなぁ……っ!


 まさに、カリンの言う通りだった。

 私は完全に油断していた。

 ハッキリ言って、アリンに襲われるとは、予想すら出来なかった。


「はぁはぁ………これは、何の、冗談……だ?」


 息が荒くなりながらも、私は口を動かして行く。

 これはヤバイ。

 血を流し過ぎて、意識まで朦朧と…………。


「リダッッ!」


 ……。


 リガーの声だろう………か?


 なんか、物凄く遠くから聞こえて来る。


 ああ、これはマズい。

 まさか、この私がナイフの一発で、ここまでのダメージを受けるとは。


 相手がアリンであったが故に、当たり前の当然の様に背中を見せてしまったのが命取りだった。

 そして、やっぱりアリンはこの世界でも、かなりの実力があると言う事にも実感したよ。

 普通の人間が、私にナイフを向けたとしても、瞬時に展開される透明なバリアが私を守ってみせる。


 けれど……このバリアをアリンは一瞬で破って来た。

 もはや、あるのかないのか分からないレベルで……だ。


 こんな芸当が出来るのは、アリンに相応の実力があるから……と、予測する事が出来る。


 …………ふ。

 そうか……やっぱり、アリンちゃんは立派にたくましく育ってくれるんだなぁ……。


 何となくではあるが、妹のアリンではなくて、愛娘のアリンが大きくなった時の事を考える私がいた。

 結局、私にとってアリンは妹ではなく娘で……目に入れても痛くないまでに可愛い存在だ。


 ……アリン。

 

 私は、お前が敵であったとしても……やっぱり、手が出せないや。

 なんて言うか、さ?

 結局、お前のお父さんを殺したのは私みたいな物だし。

 この上、お前まで私が殺す羽目になったら……私はきっと……自殺するんじゃないかな……。


 はは……。

 心が弱い母親でごめんな?


 私さ?

 お前に殺されるなら、本望……なんて、割と本気で思ってるよ。


 少しずつ意識が薄れて行く中……目の前が真っ白くなり……そして真っ暗になった頃……自分の意識がどんどんと無くなって行くのが、自分でも分かった。




            ◯◯●●●




 …………。


 ………。


 ……。


「………はっ!」


 ……っと、意識が回復した先にあったのは……天井?


「ここは何処だっ⁉︎」


 ガバッッッッ! っと起き上がった私は、周囲を軽く見回した。

 周囲は無駄に暗い。

 これは照明が必要だな。


 ……思い、ベットから起きがあった私は、部屋の入り口付近にある照明のスイッチを入れた。

 

 そう言えば、私はいつの間にベットで寝ていたのだろう?

 公園で倒れた時から先の記憶がなかった私からすれば、地味に違和感があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ