ドーンテン一族なのに、何故か胸元が大きい女性がいる世界【13】
余談になるが、この公園は私の世界にもある。
やっぱり、地理的な物は全く一緒なんだな。
……よって、この公園がどんな物なのかのあらましを知っていたりもする。
こう言った所は助かるな!
「……アリンッ!」
公園の広場にやって来た私は、その一瞬後にアリンの姿を発見する。
そして……その対面にはカリンの姿が。
……うむ。
どうやら、まだアリンは無事だった見たいだな!
「あ、おねーちゃん! なんか、カリンは大丈夫かも? 普通と言うか、いつも通りだし」
……って、なんでお前はそんなに呑気なのっ⁉︎
「バカか、お前は! カリンの記憶を元に、それっぽい態度とか取っているだけだろ⁉︎ カリンは双子の妹なんだから、そこらのビミョーな違いとかに気付けなかったのかよ⁉︎」
「え? 全然?」
何処まで鈍感なの、アリンちゃんっ⁉︎
「と、ともかく、ソイツから離れろ! 今のカリンは危険過ぎる!」
間もなく私は、即座にアリンを庇う形で回り込み、カリンの前に立ってみせた。
同時に、カリンをキッ! っと睨み付ける。
「……? どうしたのリダ姉? 何か悪い物でも食べたの?」
カリンは不思議そうな顔になって口を開いて来た。
コイツ……ぬけぬけとっ!
「ふざけているのか?……それとも、何か? 私に対しても油断を誘う事が出来ると?」
「やっぱり何を言ってるのか知らないけど……」
眉を釣り上げて言う私の言葉に、カリンはそこまで答えると口許を『ニィ……』と緩ませる。
そして、答えた。
「リダ姉は『詰めが甘い』ね? 私の事はしっかりと怪しんでいるのに『アリンには油断しない』んだから」
……は?
お前、何を言って……っっっ⁉︎
その瞬間、私の腹部に刃が生えた。
え?……な、なに……これ?
何が起こったのか、分からなかった。
直後、胸元から一気に込み上げて来る何かがやって来ては……喉元まで逆流して来て、
「ゴフッッッ!」
私は、口から大量の血を吐き出してしまう。
この瞬間に気付いた。
アリンの瞳は、明らかに常人の目ではなかったと言う事実に!
……や、やってくれるなぁ……っ!
まさに、カリンの言う通りだった。
私は完全に油断していた。
ハッキリ言って、アリンに襲われるとは、予想すら出来なかった。
「はぁはぁ………これは、何の、冗談……だ?」
息が荒くなりながらも、私は口を動かして行く。
これはヤバイ。
血を流し過ぎて、意識まで朦朧と…………。
「リダッッ!」
……。
リガーの声だろう………か?
なんか、物凄く遠くから聞こえて来る。
ああ、これはマズい。
まさか、この私がナイフの一発で、ここまでのダメージを受けるとは。
相手がアリンであったが故に、当たり前の当然の様に背中を見せてしまったのが命取りだった。
そして、やっぱりアリンはこの世界でも、かなりの実力があると言う事にも実感したよ。
普通の人間が、私にナイフを向けたとしても、瞬時に展開される透明なバリアが私を守ってみせる。
けれど……このバリアをアリンは一瞬で破って来た。
もはや、あるのかないのか分からないレベルで……だ。
こんな芸当が出来るのは、アリンに相応の実力があるから……と、予測する事が出来る。
…………ふ。
そうか……やっぱり、アリンちゃんは立派にたくましく育ってくれるんだなぁ……。
何となくではあるが、妹のアリンではなくて、愛娘のアリンが大きくなった時の事を考える私がいた。
結局、私にとってアリンは妹ではなく娘で……目に入れても痛くないまでに可愛い存在だ。
……アリン。
私は、お前が敵であったとしても……やっぱり、手が出せないや。
なんて言うか、さ?
結局、お前のお父さんを殺したのは私みたいな物だし。
この上、お前まで私が殺す羽目になったら……私はきっと……自殺するんじゃないかな……。
はは……。
心が弱い母親でごめんな?
私さ?
お前に殺されるなら、本望……なんて、割と本気で思ってるよ。
少しずつ意識が薄れて行く中……目の前が真っ白くなり……そして真っ暗になった頃……自分の意識がどんどんと無くなって行くのが、自分でも分かった。
◯◯●●●
…………。
………。
……。
「………はっ!」
……っと、意識が回復した先にあったのは……天井?
「ここは何処だっ⁉︎」
ガバッッッッ! っと起き上がった私は、周囲を軽く見回した。
周囲は無駄に暗い。
これは照明が必要だな。
……思い、ベットから起きがあった私は、部屋の入り口付近にある照明のスイッチを入れた。
そう言えば、私はいつの間にベットで寝ていたのだろう?
公園で倒れた時から先の記憶がなかった私からすれば、地味に違和感があった。




