ドーンテン一族なのに、何故か胸元が大きい女性がいる世界【12】
……? なんだろう?
思い、私はポケットの中にあるスマホを手に取ってみる……ん?
「なんだ? ラインかな?」
取り敢えず、何かのメッセージを受けた事だけは分かった私は、スマホを操作して自分の受け取ったメッセージを開いてみる。
「……っ⁉︎」
そして、顔が強張った。
メッセージの相手は……カリンだったからだ。
ご丁寧にスタンプまで送られて来ている!
なんてこったい!
このスタンプ……メチャクチャ可愛いではないか!
……ではなく!
「どうしたの、おねーちゃん?」
「良くは分からないけど、カリンからのメッセージを受信した」
「……えっ⁉︎」
私の言葉を耳にしたアリンは、目を大きく見開いた状態で素早く私の真横にやって来ては、私の手元にあるスマホの画面へと目を向けた。
これこれ、アリンちゃんや。
姉であっても、他の人のスマホを勝手に覗いちゃダメじゃないか。
ちょっとマナー違反をしていたアリンに、少しばかり注意をしようかと思いたくなる様な行動を素早く行っていたアリンは……
「……私、行って来る!」
……って、待てぇ〜いっっ!
咄嗟に身体を翻しては、そのまま玄関へと向かっていた。
しかも、無駄に早い!
こう言う時のアリンと言うか……感情的になっている時は、マジで行動が早いな!
三歳のアリンも、感情が揺り動いた時の行動はメチャクチャ早かった!
特に、おもちゃ売り場に連れて行った時の行動速度は、5G張りに早かった!
出来れば4Gのままで居てくれませんかねぇっ⁉︎
「待て、アリンッッ!」
そうと、アリンを制止した頃には、
「行って来ます!」
バンッッ!
物凄い勢いで玄関のドアを開けて、外へと駆け出していた。
…………。
ほ、本当に……あの弾丸娘は!
「何が起きたんだ?」
他方、事情が分かっていないリガーは、呆気に取られた顔になって私へと尋ねて来た。
直後、私は自分のスマホ画面をリガーに向ける……と、同時に、
「内容は、それを読めば分かる! ともかく、私はアリンを捕まえて来る!」
スマホを押し付ける形でリガーへと渡してから叫び、私も自宅玄関へと素早く向かった。
玄関から外へと飛び出た理由は……リガーのヤツに言った通りだ!
そして、私が向かう先も確定している。
この近所にある、大きな公園だ。
どう言う訳か? カリンのヤツがここに私を呼び出して来たのだ。
一体、何がしたいのかは知らない。
そもそも、私達の妹であるカリンであったのなら、わざわざ私のスマホにメッセージなんぞ入れるまでもなく、帰宅すれば良いだけの話だ。
けれど、それをカリンはしない!
もう、この時点でカリンは……間違いなく、私の世界にいたパラレルだ!
そして、アリンは私のスマホの内容を見た瞬間に、物凄い勢いで自宅から外へと出て行ってしまった。
結局の所、私はこの世界の住人ではない……それだけに、今のアリンの気持ちをしっかりと汲み取る事は出来ないのかも知れない……知れないが、それでもアリンに言ってやりたい!
今のカリンは、お前の知っているカリンなんかじゃない!……と!
きっと、アリンにとってカリンは双子の妹であり、常に自分と一緒にいた半身も同然の存在なのだろう。
それだけに、アリンは『話せば分かる!』って感じの感覚があるのかも知れない。
けれど、それは恐ろしく甘い考えであると、私は断言してやりたい!
今のカリンなら、アリンを殺す事に一切の躊躇いを起こさない。
アリンの実力は……まぁ、私の妹だけに、それ相応の能力があると思うし? 早々簡単に死ぬ様なヤツだとも思えない。
けれど、相手は混沌龍を簡単に召喚してしまう様なヤツだ!
しかも、伝承の道化師によって能力を上昇させている危険性がある!
ここは、飽くまでも可能性があると言うだけのレベルで、実際の所は違うかも知れないが……どちらにせよ、私の予想を大幅に超える実力を持っていても、さして不思議ではない相手なのだ!
そうなれば、アリンが殺される危険性は飛躍的に上昇する!
せめて、私やリガーと一緒に行けよ! お前は何処の鉄砲玉だよ! マジで無駄に無謀な事をするのをやめてくれないかっ⁉︎
こんな事を考えつつ、私は息急き切って近所にある公園へと辿り着いた。
森林公園の一種であったそこは、結構な広さのある公園だ。
それだけに、この公園を待ち合わせ場所にする場合は、この公園の何処そこにいる……と言う感じの内容になる。
メッセージを見る限りだと、公園から入ってすぐの所にある広場だ。
土日や連休等の時に、ちょっとしたイベントが開かれる、イベント会場にもなっていたそこは、周囲が見渡せる程度の広さがある。
広場の端っこにはベンチ等があり、子連れのママさん辺りが良く井戸端会議を開く憩いの場でもあった。




