ドーンテン一族なのに、何故か胸元が大きい女性がいる世界【10】
しかし、それが一般的なのかと言うのなら、もちろんそんな筈はなく……むしろ、特例中の特例と言える。
そうなれば、みかんの様な超特例な存在が、偶発的に私達の世界を管理していたと言うのか?
これも、ちょっと現実的には考えにくい。
私としては、そんな確率など宝クジが一等前後賞合わせて、纏めて大当たりを引いた確率と同じ程度なんじゃないのか? そうとさえ思えてならない。
まぁ、全くのゼロではないのだが。
だけど……可能性からして、おおよそ現実的とは言い難い。
なら? もっと現実的な予測をした方が良いのではないだろうか?
そうなると……どうなる?
平の状態でも、しっかりと努力して能力を上げた?
いや、でも……努力をした結果であったとしても……それにしては、余りにも能力の上昇率が高過ぎる。
それに、地道な努力が実を結んだ結果であったとすれば、ここまで脅威的な能力へと上昇する前に、上位のパラレルへと昇格するのが先なのではなかろうか?
まぁ、私はパラレルではないので、並行世界における昇格システムなんて知らないから……ここは何とも曖昧な感覚になってしまうのではあるんだが、仮に冒険者協会であったのであれば、ほぼ間違いなく昇格する案件だ。
しかし、当の本人は上位のパラレルになってはいない。
そこから考えられるのは、主に二つだ。
昇格するつもりがなかった。
昇格するよりも先に、急激な能力上昇が起きた。
この二つだろう。
どちらも、可能性としてありそうな気がするんだが……何となく前者の可能性は低いんじゃないのかなぁ……と予測している。
だってだな?
アイツは、ビミョーに傲慢なんだ。
穏やかで控え目な性質の持ち主には、どうしても見えなかった。
そう考えるのであれば、能力が上位のパラレルに相当しているのに、その地位は平のままであったのなら、相応の義憤を撒き散らすんじゃないのだろうか?
そうなると、私的に言うのなら後者である可能性の方が、よりしっくり来るんじゃないのかなぁ……と、思えてならないのだ。
実際の所は、まだ判明して居ないし……こんな物は、私の固定観念で物を言っているだけに過ぎないんだが。
けれど、仮に後者だったと考えよう?
それじゃあ、コイツはどうやって急激な能力上昇を果たす事が出来たと言うのだろう?
何かをキッカケに、突発的な能力上昇を起こす……なんて事があるのか?
微生物の突然変異でもあるまいし……早々、滅多に起こるとは思えない。
だけど……うーん。
「……なぁ、変態? もし、パラレルと言う存在が能力を上昇させるとして……どんな物がある? やっぱり地道なトレーニングとか積んだりするのか?」
「もう、デフォルトで変態と言って居ますねリダさん? そう言うアホな事を言う人には答えたくない気持ちがあるのですが……良いでしょう。パンツ一枚で手を打ちます!」
ドォォォォォォォォンッッッ!
……うむ。
つい、いつもの癖で爆破してしまったな。
まぁ良いや……今すぐ聞かなければならないと言う話でもないし。
「……なるほどな? リダの言い分は分かった。つまり、混沌龍を召喚した相手の能力が不自然に高いのは何故か? と言う事か」
そこから、リガーが私へと口を開いて来る。
本当……リガーだけが、まともに話をしてくれるなぁ。
私的に言うのであれば、リガーがこの場にいてくれて、真面目に助かると思えて仕方ないよ。
「そうなんだ……混沌龍を召喚した相手って、そこの変態と同じレベルのパラレルである筈だろう? それなのに、実力的に言うのなら……パンツを欲しがる生ゴミの実力を大きく超えている」
「言われてみるとそうだねぇ……そんなにパンツが欲しいのなら、カリンから一枚くすねて来て上げても構わないけど、おねーちゃん? バレたらおねーちゃんのせいにしても良い?」
「私のせいにするんじゃないよ!……まぁ、そこは大丈夫だ。変態にくれてやるショーツはない。だが、相手の能力が反則的に上昇していたとすれば……どうしてそうなったのかを、この場で考えて置いた方が良いような気がするんだよ」
答えた私は両腕を組んで、唸り声を上げる。
別に、相手の能力が急上昇したからと言って、その秘訣を知る必要なんて、今の所は皆無にも等しい。
……そう、分かっている。
分かってはいるのだが……何となく、そこが妙に引っ掛かってならない。
何だろう?
前にも、こんな事があった様な気がする。
突発的に、一瞬にして能力を激変させる様な……そんな、ハチャメチャなスキルを持つ、特殊な存在が……。




