リダさん、死闘の果てに!【3】
なんだかもう......色々と考えるのもバカらしくなって来た。
つまり、こうだ。
私達がいる世界......ルミ、フラウ、ユニクスが生きるあの世界は、全てこの宇宙意思が趣味で作った箱庭に過ぎないと言う事になる。
バカなのかっ!
「こないだと言いましたが、実は結構な時間が経過してます......そうですねぇ? 四十億年位?」
『それ、もうこないだじゃないしっ!』
「私には時間の概念なんかないに等しいので......まぁ、お気に触ったら謝ります。ごめんなさい」
宇宙意思は、そこでペコリと頭を下げた。
『あ、いや......そう言う訳じゃないんだけど......なんてか、こっちこそすまない』
私も軽く頭を下げた。
きっと、私なんかでは考えも付かない様な概念がここにあって、それが常識なのだろう。
そんなアホみたいな世界にいたら、きっと私の常識なんか常識ですらないのかも知れない。
なんにせよ、彼女に悪気はないだろう。
むしろ、動機はなんであれ、私の世界を創ってくれた世界の親でもある。
ここは怒る場面ではない。
『この世界を創ってくれて......ありがとう』
私はにこやかに答えた。
「ふふ......本当に不思議な方ですね」
宇宙意思もつられるかの様にして笑って見せた。
そこから、少し笑みを曇らせる。
「けど......最近と言うか、ここ数万年程度前から、私の箱庭に別の宇宙意思がちょっかいを掛けて来るんです。本当、人のささやかな趣味を邪魔しないでほしいですよ......全く」
宇宙意思は溜め息混じりにぼやいて見せた。
ささやか......ねぇ。
そのささやかな世界に、私は生きているんだが。
もう......なんか、私と言う存在が凄まじくちっぽけに見えた。
「そこで、私は考えました。邪魔する宇宙意思がいるのなら、それを排除してしまえば良いと」
まぁ、簡素に考えればその答えに到達するわな。
「私は人の趣味を邪魔する宇宙意思を排除する為、箱庭の中に入ろうと考えました......が、しかし!」
そこで、宇宙意思は深刻な顔になった。
......なんだろう?
何か、深い理由がありそうな顔になっているな。
「私はここで一つの問題に気付いてしまうのです......私がそこに行くのはとてつもなく面倒臭いと!」
『行けよっっっっ!』
くわわっ! と、真剣な顔して、思いきりふざけた台詞を言い放った宇宙意思に、私は思いきり叫んでしまった。
「こうして、私は自分の分身を作りました。私の身体をベースにし、ゆっくり一万年と二千年掛けて造り......私とほぼ同じ能力を持った宇宙意思を」
八千年過ぎた頃から恋しくなりそうな時間の使い方だったが、そこは敢えてスルーした。
ネタ的に、今の若いヤツは知らないだろうし。
閑話休題。
どうやら、ひょんな所でみかんの誕生秘話を聞いてしまった模様だ。
そうか......あいつがチートなのは、存在その物がチートだったからか。
なんだか妙に納得出来てしまえるんだから......複雑だった。
「もし、他の宇宙意思と遭遇した時は、とっちめて下さい。やっぱり向こうも目的なく存在してるだけの暇人ですから。何しても平気です」
結構、殺伐な事を言うヤツだ。
そして、これがみかんの親だとわかると、色々と納得出来てしまう。
この親にして、あの娘ありって感じだったからだ。
「ああ、そうだ......折角、ここに来たのですし、何かプレゼントでも上げましょうか」
......?
プレゼント?
何をくれるんだろう?
そんな事を考えていると、
ポゥ......
私の身体が淡く光った。
程なくして、ゲーム画面の様なフォログラフィーが私の前に出現する。
画面を眺めると、様々なスキルの様な物が書かれていた。
これが、プレゼント?
くれると言うのか? ここに書いてあるスキルを?
うーむぅ......。
どうでも良いが、全部チート染みたスキルだ。
私は画面の内容をツラツラと読みながら、思わず唸ってしまった。
「表示の仕方は色々あるのですが、こっちの方が見やすいでしょ? そこから......そうですねぇ、三つ上げますか。普段は精々二つ位しか上げてないのですが、今回は私が貴女を気に入ったので特別サービス!」
『......どうも』
良くわからないが、取り敢えずお礼を言った。
てか、この画面も良く分からないな......何かのゲームか?
「選択を選ぶのに、時間制限はありません。ゆっくりじっくり考えて......ああ、そうだ、お茶でも用意しますか」
お茶、あるんだ......。
変なトコで驚く私がいた。
そこからお茶を飲み飲み、のんびり考え......三つのスキルを選ぶのだった。




