ドーンテン一族なのに、何故か胸元が大きい女性がいる世界【2】
地味に色々あったが、私達四人は混沌龍の元へと飛んで行く。
作戦開始だ!
既に、作戦の方は事前に話し合っている。
それぞれ、役割分担をする形を取る事が決まっていた。
まず、混沌龍を叩く役。
これを、私が担当する。
パラレルの魔法が発動するのに必要な時間がおよそ十分と言っていたから、この十分間で混沌龍を完全に弱らせる事が出来ればベストな状態と言える。
そうなれば良いけど……ここは、実際にやってみないとな。
次に追い返す魔法を発動させる係。
ここは説明するまでもない事だろう。
変態が担当する。
そして、変態が魔法を発動するまでの間に守る役をするのが、リガーとアリンの二人だ。
厳密に言うと、アリンがメインで変態を守る予定だった。
しかし、アリンは女の子だ。
とっても可愛い女の子だ。
変態の間近に居ては行けない相手だ!
そして、アリンもアリンで、変態を生理的に受け付けないと言う、致命的な性質を持っていた!
もちろん私も嫌だ!
これら諸々の理由があった為、アリン単体ではなくリガーも変態を守る役になっていたりもする。
……まぁ、パラレルがやられてしまったのなら、今回の作戦は完全に失敗したも同然だからな。
何としてでも、パラレルを守り切らなければならない!
この様な感じで、既に役割まで決めていた私達は、それぞれの役目を果たす為に、それぞれの立ち位置へと向かって行った。
パラレルは、混沌龍から遠からず近からずの位置に向かう。
混沌龍を追い返す、言わば逆召喚魔法とも言える物には、一定の射程距離の様な物がある為、離れ過ぎる訳には行かないらしい。
可能であればゼロ距離での魔法発動……つまり、手が触れられる距離で発動させると、より高い効果が得られるらしい。
つまる所が、あわよくばゼロ距離で魔法を発動させるつもりだった。
この関係もある為、混沌龍が視界に入る程度の距離に居たりもする。
他方、リガーとアリンの二人は、パラレルを中心にする形で、それぞれ前後に立つ形で待機していた。
厳密に言うと、パラレルの前後に浮いていると表現するのが、より妥当ではあったのだが。
一応、一秒でも早く動ける様にする為、滑空魔法を常時発動させた状態でパラレルは魔法を準備し、それに合わせる形でリガーとアリンの二人が防備する体勢を取っていた。
最後に、私だが……こっちは極めてシンプルだな?
上空で戦闘機と戦い始めた混沌龍へと突っ込んで行く! これだけだ!
「手加減はしないぞ? 最初からフルパワーでやってやる!」
答えた私は、
超龍の呼吸法レベル5!
超攻撃力上昇魔法レベル99!
超防御力上昇魔法レベル99!
超身体能力上昇魔法レベル99!
私の持てる全ての能力……補助スキルと補助魔法の全てを一気に解き放った!
最近は、レベル6も多少であれば維持する事も可能にはなっていたのだが……そこは敢えてレベルを一段階下げていた。
レベル5であっても、これまでのレベル4以下の状態と比較すれば、文字通り桁違いの能力を持っている。
簡素に言うのなら、いつぞやの胸無しコンビ……もとい、フラウと一緒に上位魔導師の試験を受けていた頃の私と比較するのなら、段違いの能力向上を見せているのだ。
さぁ……行こうか?
混沌龍の力……私に見せてくれよ!
ドンッッッッッ!
補助スキルと補助魔法を瞬間的に発動させた私は、勢いそのままに混沌龍へと体当たりして行く。
不意打ちだったからか? それとも、最初から避けるつもりがなかったからか? 私のボディアタックをモロに受ける混沌龍。
次の瞬間……混沌龍は、その巨体を思い切り吹き飛んで行く。
……おや? 意外とダメージになっていたりするのか?
何となくだが、それなりの手応えを感じた気がする。
勢い良く吹き飛んでいた混沌龍は、
ドガシャァァァッッ!
周囲にあった高層ビルに突っ込み………半壊させた。
……うぁ。
これはちょっとマズイな。
周囲が高層ビルとマンションで囲まれているのは、私にとって実に面倒な話と言える。
混沌龍と戦闘機が激しく戦っていたのは見えていたので……多分、きっと……まぁ、恐らくなんだけど、高層ビルの中には誰も居ないとは思う。
だから死傷者が出る様な事はないと思うんだけど……これ、弁償しろとか言われないよな?
…………。
どうしよ、顔とか隠せる道具を持ってくれば良かった!




