ドーンテン一族なのに、何故か胸元が大きい女性がいる世界【1】
ともかく、まずは混沌龍!
何を置いても、混沌龍をどうにかしないと、私達に未来はない!
そうと思っていた私達は、素早くマンションから外へと出ては、混沌龍が浮いている上空まで飛んで行こうとして…………自宅に戻った。
何でか?……って?
うっかり、制服のままマンションから出て来てしまったからだ!
アリンの方は、家着になっていたので、シャツにジーパンと言う姿だった。
よって、空を飛んでも全く問題ない。
しかし、私に関して言うのなら大問題だ!
制服姿と言う事は、スカートを履いている。
この格好で空を飛べばどうなる?
答えは、とってもシンプル!
自分の股を無駄に見せる羽目になると言う事だ!
その事実を教えられたのは、空を飛んで数秒後。
やけに、私の後ろ……と言うか、下の部分をわざと飛んで来たパラレルの姿を見た瞬間に気付いた。
そして、奴は答えた。
「ストライプですか……なるほど、男心をくすぐるパンツを履いてますねぇ? 良いですよ? うん、良い! 流石はリダさん! 地味にエロいのをチョイスしてますね!」
その一秒後にパラレルが爆発したのは言うまでもない。
……まぁ、そこはともかく。
私は顔からファイヤーしちゃっている状態のまま、急いで帰宅した!
くそぉぉぉぉっ! あんな変態に自分のショーツを見られるとか、最悪だっ!
もう、精神的には混沌龍と戦いたくないレベルだったし、このまま自宅の寝室でしばらく不貞寝して居たい気持ちで一杯になっていたりもしたんだけど……もちろん、そんな事を言っている場合ではない。
仕方がないので、部屋にあるスキニー・パンツを素早く履き……そして、無造作に制服を脱ぎ捨てると……タンスにあったキャミソールを超速で身に付けては、ベランダから外へと飛んでみせた。
本当は、ちゃんと玄関から外に出たかったんだけどな……着替えのロスタイムとかあるし、もうみんなは外にいるし……少しでもショートカットしたかったのだ。
「すまん! 待たせたな!」
キャミソールにスキニー・パンツと言う姿に変わった私は、苦笑混じりになって周囲の面々へと声を出した。
「別にそこまで待ってないよ? むしろ早かったね……おねーちゃん」
私の言葉に、アリンが少し意外そうな顔をし、
「何気に可愛い格好をして来たな……ちょっと驚いたぞ」
リガーが地味にツッコミを入れたくなる様な台詞を私に返して、
「その格好では、リダさんのパンツを拝む事が出来ませんね……残念です。キャミソールと言う事は胸元に魅力を感じるポイントがあるのでしょうが……まぁ、リダさんですし」
ドォォォォォォォォォォンッッッ!
パラレルが爆発していた。
どうしてお前は、私の怒りを買う様な台詞を平気で語って来るんだよ……?
「よし、変態が滅んだ所で、作戦開始と行こうか!」
「その変態が、作戦の要になる存在だったりするよ、おねーちゃん」
……くっ! 面倒な事態になってるなっ!
治療魔法!
仕方ないので回復魔法を発動してやる……感謝しろよ!
「……まさか、リダさんが私に治療魔法をして来るなんて……はっ! もしかして……リダさん、私に気があるとか?」
上空で爆破して墜落し、地面に頭から突っ込んで気絶していた所を治療魔法で回復してやったら、かなり頓珍漢な台詞を臆面もなくほざくパラレルがいた。
衝動的に爆破魔法を発動してやろうと思ったのだが……爆破しようと右手を向けた直後、アリンとリガーの二人によって羽交い締めにされ、爆破魔法を強引に止められてしまった。
「離せぇぇっ! 私は、コイツを爆破しなければ、気が済まないんだぁぁぁぁっっっっ!」
「そう言うのは後にして、おねーちゃん! 全部が終わったら、幾らでも爆発して良いから!」
ジタバタもがきながらも喚く私へと、アリンは全力で私を制止しながら叫んでいた。
「いや、アリンさん! そこはちゃんと言うべきです! ちょっと冗談を言った位で、そこまで本気で怒っては行けないと! もっと、寛容な心を持つべきであると説得して下さい!」
喧しいわっ!
直後、変態が余計な事を言っていたが、取り敢えず全員がスルーしていた。
この台詞まで間に受けていたのなら、間違いなくパラレルは再び爆発してしまうからだ!
うむ! 分かっているな! アリン、リガー!
「と、とにかく! これ以上は喋るなパラレル! お前が口を動かすたびに爆発されて居たんじゃ……いつまで経っても始まらない!」
少し間を置いてからリガーがパラレルへと叫ぶ。
実際、喋らない事がベストな気がするから困りモノだった。




